「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(TVアニメ動画)」

総合得点
89.3
感想・評価
6798
棚に入れた
30623
ランキング
83
★★★★☆ 4.0 (6798)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.3

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

持てる者すら満たされない虚構の青春王国

青春を斜に見て、色々こじらせている、ひねくれぼっちの男子高校生が、
見かねた教師に“奉仕部”での活動を命じられ、
同じくこじらせている美少女部長と遭遇して始まる、
同名ライトノベル(未読)のアニメ化作品1期目。

【物語 4.5点】
シリーズ通じて機能する驚異の重層構造プロット。

スクールカーストの外側にある奉仕部が、
厄介事相談にアレコレと世話を焼くことで暴き出される、
まがい物の人間関係の上に成り立つ青春の欺瞞。

一方でこれは奉仕部顧問による、捻くれた部員を青春に適応させる教育の一環。
社会の人間関係など所詮、偽物だが、それでも皆、折り合いを付けて生きている。
奉仕部の活動を通じて、他コミュニティーの事例研究(ケーススタディ)や人脈を積み重ねることで、
自身の問題を解決に導くための引き出しを増やして行く。

水面下では、比企谷×雪乃×結衣の三角関係も着実に進展しており、
カーストとは無縁の安息の楽園と思われた奉仕部にも地雷が着々と埋め込まれる様が、
ラブコメ波動受診アンテナを立てれば観察できる。

その他、雪ノ下家の歪んだ家庭環境など。

3期『~完』まで観終えて振り返ると、
各層が持つ複数のテーマ、視点に耐え得る、かつ後々まで伏線として活用可能な、
噛み応えのあるシナリオが展開されていたと感服します。


【作画 3.5点】
乱調……だが、妙に頭にこべり付く。

1期の制作ブレインズ・ベース。2期以降のfeel.に比べ、
随所にソース不足によると思われる不安定な作画が散見。

だが、主人公・比企谷八幡の顔面のインパクトは本作が一番強烈。
特に目。見事に腐った魚の目の持ち主が、
「青春とは嘘であり、悪である……」云々と呪詛する。
もうドンだけこじらせてるんだよとw

その他、会話劇が虚飾に覆われた青春の本質に肉薄した時に現われる
そこだけ妙にリアルな信号機等の背景美術とか。

どんな暴投が繰り出されるか油断できない。
ある意味、スリリングな作画として印象に残っていますw


【キャラ 4.5点】
主人公・比企谷八幡。ヒロイン・雪ノ下雪乃。
ボッチとして悟りを開いてしまった二人がこじれているのは想定内として、
もう一人のヒロイン・由比ヶ浜結衣も、
表面上は「やっはろー!」な陽キャで、平生はカースト内でも
付き合いの良い子を演じられている。
が、相談に乗ってみると、結衣も重症……。

リア充と目されたグループ全体が嘘を重ねて要受診状態。
後半には集団丸ごとケーススタディ。
{netabare}キャンプで小学生カーストをぶっ壊す比企谷の荒療治に加担。{/netabare}
だが他人事には合理的判断とやらを下せても、
いざ自分たちの事となると、激痛にイケメンスマイルも歪む。

{netabare}「どうして、そんなやり方しかできないんだ」{/netabare}
リア充グループの支柱・葉山隼人と
比企谷の対立点が際立つ最終盤が2期にも繋がる沸点。

{netabare}才能も無いし、努力もしたくないけど、名声は欲しい。
“キョロ充”相模。嫌なキャラだけど心当たりが多すぎます。{/netabare}


要所で助言する顧問・平塚先生、横槍を入れる雪ノ下陽乃(姉)もスパイシー。


あとは比企谷八幡&材木座義輝の名について。
足利家が崇めた八幡大菩薩に、足利幕府13代将軍の名を拝借するとは。
不協和音とか、横死とか、不吉な予感しかしませんがw
いつか義輝がまともなラノベを完成させることを尊氏も祈っていますw


【声優 4.5点】
多数の意味を持つ場面で、時に望まない姿を演じてみたり。
キャラを成立させるだけでもハイレベル。

比企谷役の江口 拓也さん。
仕掛ける際のボイスには、説得力だけじゃなく、
ヘイトを集める自爆戦法も辞さない、毒味も効いており、
正論だが間違っている生き方を視聴者にも思い知らせる。

ヒロイン・雪乃には早見 沙織さん。結衣役には東山 奈央さん。
脳も蕩けるラブコメの予感も、
比企谷と雪乃は皮肉り合うばかりで恋は中々芽を出さず……。

CV.はやみんはデレるとぐうかわ何だから、
比企谷君もチョットはやる気出してくれよ~w


【音楽 4.0点】
劇伴担当は音楽制作集団・MONACA。
曲だけ聴くと無難な青春BGM。

が、笑顔で上品なお言葉が飛び交う文化祭準備のBGMが昼ドラだったり、
比企谷と雪乃が毒突き合う奉仕部に
温かいアコースティックギターの良作「リセットボタン」を流したり。

誰も本音を語れない上辺だけの青春など偽物
との思想が選曲でも表現される。

OPは、やなぎなぎさんの「ユキトキ」
雪乃がツンドラでも、ちゃんと恋が始まっていることが分る良曲。
早く、解凍して差し上げましょう♪

EDは「Hello Alone」。雪乃&結衣のデュエット曲。
ウキウキなメロディーとは裏腹に、歌詞はひねくれぼっちの悲哀に満ちる。
ピアノベースの結衣・ソロバラードverもあり。
ヒッキーそういう所だぞと説教されているようで耳も心も痛いです……。

二人は文化祭でも「Bitter Bitter Sweet」でデュエット♪
{netabare}舞台は天国。屋上は地獄w{/netabare}

投稿 : 2021/02/10
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サンキュー:

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