「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(アニメ映画)」

総合得点
84.1
感想・評価
429
棚に入れた
1958
ランキング
293
★★★★★ 4.2 (429)
物語
4.0
作画
4.4
声優
4.3
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

平成の怪物アニメ、完結。(4D体験談追記)

【物語 4.5点】
新劇だけでなく、『エヴァ』全体が完結。

舞台設定や登場人物の現況等に意外性はあるが、
メインストーリーは事前に示された課題を真っ直ぐに決着させる実直な内容。

上映時間は2時間半超あるが、長尺は群像の丁寧な掘り下げと総括に費やされる。
{netabare}エンドロール後に新展開などもなく、ただ、終劇と銘打たれるのみ。{/netabare}
俄に信じ難いかもしれませんが、本当に終わります。

(ただ、{netabare}ゴルゴダだのマイナス宇宙{/netabare}だのは『シン・ウルトラマン』関連?と思しきワードでもあり、
『エヴァ』は終わっても“シン”シリーズは続きそうな予感w)

人類VS使徒の生存をかけた神話に、本作がどう位置付けられるかなど、
子細については一度の鑑賞では情報量が多すぎて考察しきれません。

でも残された謎より、今回こそ素直に「おめでとう」と言える嬉しさ、
エヴァにさよならする寂しさが入り混じった感慨の方が先に立ちます。

その感慨は新劇だけでなく、TVアニメ版、旧劇と、
思い出が多い程、大きくなります。


【作画 5.0点】
制作・スタジオカラー

実写特撮映画『シン・ゴジラ』にて、
3DCGの下敷きとなる大まかな映像・プリヴィズ版の制作で参加した同スタジオ。
確立されたプリヴィズのノウハウが生きる。

絵コンテでイメージを指定して、最小限の作業工程で映像を構築する、
従来のアニメ制作過程を必ずしも取らない。
アニメや実写の枠に囚われない、作業量の総量規制にも拘らないw
自由な映像作りの一大実験場でもある本作。

人型汎用兵器の範疇を超えた360°アクロバティックなバトルシーンのみならず、
前半は例えば{netabare}綾波の“そっくりさん”の農作業体験や、“姫”の散髪{/netabare}など、
実写邦画を彷彿とさせる現実の日常所作も表現。

後半の“儀式”では、一見するとチープなCG群衆等も目に付く。
が、時間と労力を惜しまない彼らが、
ケチって積み木の如きCGビル群等をひっくり返しているとも思えず。
“儀式”の虚構を揶揄するために、
3DCGの“不気味の谷”の不気味さを敢えて活用しているのでは?
と思えてならずツボりますw
(みんなのトラウマ……{netabare}白くて巨大な綾波さん!?も不気味にパワーアップして帰ってくるゾw
変よ、これ!…………絶対、変w{/netabare})

現実と虚構、リアリティとイマジナリーといったテーマ性も深化する中、
実写的に構築された映像は現実が人を立ち直らせる場面で、
アニメ的に構築された映像は過去や虚構に人が囚われる場面で。
多彩な画風を物語にマッチさせる意図も伝わって来るような、
観ていてワクワクする作画でした。


【キャラ 5.0点】
ここまでやるのか!?想定以上に広く深いファン必見の群像劇の総決算。

特に{netabare}碇ゲンドウの掘り下げの深さと、
サブはシンジのクラスメイトや温泉ペンギンのその後までカバーする広さ。

何より“大人になった”シンジ君とゲンドウが互いに逃げずに向き合えて本当に良かった。{/netabare}

“ゆとり”?と思われたミドリも根性を見せて、新劇からの世代も包括。

しかし、イマドキの若い男を論評する伊吹マヤの逞しさには、
あの吐いてばかりいたマヤが……といった感じでたじろぎますw


【声優 4.5点】
アスカ役の宮村 優子さん。
ナヨナヨしたシンジ君に威圧ボイスで発破をかけるのは平常運転ですが、
本作のそれは、シリーズ四半世紀分の愛憎が籠もっているかの如き迫力w
あの……{netabare}無理矢理、食糧喰わすシーンの演技は強烈w
それだけに{netabare}シンジに好きだったと告白された時のデレは強烈な萌えでしたw{/netabare}{/netabare}

マリ役の坂本 真綾さん。
ニャ~♪からEVA8号機の咆哮までw奮迅のご活躍♪
最終作で私はようやく、マリの魅力に気付かされました♪


アヤナミレイ(仮称)の心をポカポカさせた小母さん役の
ベテラン女優陣4人には私の心も温められました♪


【音楽 4.5点】
劇伴は鷺巣 詩郎氏で完走。
クラシック曲はバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」が再登場し不吉な予感w
スリー・ドッグ・ナイトの「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド」(1971)もクラシックアレンジされ起用。
ギリシャ語で歓喜を意味するカラーに相応しいクライマックスですが、
こうした楽曲が明るい場面で使われないのは経験者なら覚悟の上でしょうw
他にも特撮映画のBGMに、まさかの{netabare}ユーミンのカバー{/netabare}など、
最後までスタッフの趣味全開です。

主題歌も宇多田 ヒカルさんが「One Last Kiss」で完走。
何処か哀愁が漂う歌詞を、先端のアレンジで朗らかに歌い上げた、
本作の恋模様ともシンクロ率良好なラブソング。
それにしても『シン・ゴジラ』もそうだったけど、
ルーブルがどうのと歌い出すこの曲といい、本編の出だしといい、
“シン”シリーズはフランス偏重w

あと、最後の打ち上げ花火とばかりに、爆音轟音が激しいですw


【感想】
正直、『エヴァ』が普通に終わるとは思っていなかったので、私は呆然としていますw
キチンとさよならを言えてない気がするので、
近々、もう一回、シッカリと別れを告げに、映画館に行くつもりです。

初回投稿・2021/3/10


【追記】
で、早速、4DX/2Dで再鑑賞行って来ました♪

4D効果はアクションの臨場感を重視した後付け4Dの域。
色々な角度から“庵野爆発”が炸裂してグラグラしましたw

日常シーンでの4D効果がもう少し欲しかったかなとは思います。
{netabare}土の匂い{/netabare}とか、あまり感じられなかったのは残念。

4Dで観て、座席が動かないシーンの多さから
本作は心をじっくりと描写した集大成作だったと再認識。

今回は終わる覚悟が出来ていたので、
キチンと別れを告げることができました。

さらば、全てのエヴァンゲリオン。

投稿 : 2021/03/11
閲覧 : 447
サンキュー:

25

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