「恋と呼ぶには気持ち悪い(TVアニメ動画)」

総合得点
68.1
感想・評価
191
棚に入れた
662
ランキング
2146
★★★★☆ 3.4 (191)
物語
3.3
作画
3.2
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.4

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ネタバレ

タック二階堂 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ぜんぜん気持ち悪くないどストレートなラブコメ。

詳細は公式でも。

今期、「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」と並ぶ、社会人とJKのラブコメ枠でしょうかね。

パツキンのイケメンリーマン、天草亮は行きずりの女性と朝までコースを過ごした後、駅で人にぶつかられて階段から落ちそうになります。それを傘の柄で首根っこを引っ張って助けてくれたのが、JKの有馬一花でした。

=====初回視聴後、所感です。
{netabare}
顔色が悪い亮に、自らのお弁当を差し出すぐらい心優しい一花に心を射抜かれたものの、彼女は立ち去ってしまいます。しかし、なんとまあ都合がよく偶然にも、亮が帰宅すると、家には妹・理緒の友達として一花が遊びに来ていたのでした。その日から、亮の一花への猛アプローチが始まるのでした。でも、一花にとって亮の行動は「気持ち悪い」ものと感じるのでした。

という初回。

はい、ギャグ色強めのラブコメといった感じですね。

制作はNOMAD(ノーマッド)。作画、キャラデザは不可寄りの可といったところ。pixivで連載されていた漫画が一迅社から書籍化されたものをアニメ化されたという感じみたいです。

初回は、これまた可もなく不可もないといった感じ。コメディ要素も、これといって面白いとは感じませんでしたが、これからの展開に期待しましょう。
{/netabare}
=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
やっぱ、出オチの作品なんでしょうかねぇ……。

もう、やることがなくなって学園祭の模擬店に主人公が、中学時代からの親友のカメラマンと遊びに行くなんてことやってます。

なんていうか、設定だけインパクトある作品にありがちなのですが、無理のある設定だからキツくなっていくんですよね。だって、そもそも社会人とJKの接点なんて無いもんね。接点がないものを無理くり結びつけると、そりゃ無理が生じてきますよ。その点「恋は雨上がりのように」は上手かったね。バイトってのは自然っちゃ自然だから。

2話にして、早くも暗雲。まだギリギリ継続という感じですが、次回次第では判断せざるを得ないでしょう。
{/netabare}
=====第3話視聴後、追記です。
{netabare}
イケメンビジネスマンが、おぼこいJKに言い寄るだけの話なら飽きるなあと思ってましたが……。

いいですね。クラスメイトのライバル君を絡めてくるのは。圧倒的優位かと思われた主人公ですが、ライバルの高校生男子はずっと一緒にいられるアドバンテージ。さらに、世代が近くて趣味が合う。

こういうのでいいんですよ。こっちよりも「ひげひろ」のほうが遥かに気持ち悪いですよw
{/netabare}
=====第5話視聴後、追記です。
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修学旅行で沖縄に行く一花たち。そこで一花は多丸と急接近。カメラマンとして同行した益田と話しているのを、ナンパされていると勘違いした多丸は一花の腕を掴みます。

帰京し、おみやげを渡しに亮と会う一花。なりゆきで映画を観ることになりますが、ふとした瞬間に亮に腕を掴まれた一花は、多丸のことが脳裏にフラッシュバックします。映画も、自分と亮、多丸の姿に重ねてしまい、天秤にかけているような自分の心に少し嫌悪して落ち込む一花。

さて、この三角関係はどうなっていくのでしょうか。
{/netabare}
というお話。

やー、これは面白いですね。評価をグッと上げました。リアル気持ち悪いひげを剃るアニメなんかより遥かに面白いし、ヒロインの一花も同じJKですが、遥かに可愛い。まあ、作画はあっちのほうが上かもですけど。

女性作者、監督だけあってキャラの心情描写や行動が非常にきめ細かい印象。たとえば、沖縄で多丸がさんぴん茶を一花におごるシーン。亮のことを意識して「高校生の俺がおごれるのは、これぐらいだから」というセリフ。

はたまた、映画館で亮が一花に「こちらのほうがスクリーンが見やすいですよ」と席を替わる。でも、それは隣には男2人が座っていたからと一花は気づくというシーン。

こういうところに目が行くのって、やっぱり女性ならではだなって思います。ひっくり返ってもひげを剃る作者からは出てこない発想じゃないでしょうか。

「イヤよイヤよも……」という一花の女心も実にうまく描いています。いやホント、ぜんぜん気持ち悪くないですよ。どストレートなラブコメ。これからの展開が楽しみです。
{/netabare}
=====第9話視聴後、追記です。
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一花に告白した多丸。その返事に逡巡していた一花は、意を決して多丸を呼び出し、自分の気持ちを伝えます。「好きな人がいるから」。そんな2人帰り道、偶然にも亮に会ってしまいます。多丸は男らしく「さっき有馬に振られたんです」と。そして「あなたの笑顔で隠している部分が原因で、有馬が悲しむようなことだけはしないでください」と。

亮は多丸が断られたといううことは、つまり俺のことが……と言い掛けますが、一花の表情を見てハッとさせられます。うんうん。それはいくら何でもデリカシーなさすぎです。振る女の子の気持ちもわからないとね。

そして亮は一花にホワイトデーについてのプレゼンをします。これは特にどうでもいいシーンではあるんですが、ファミレスのディスペンサーで戸惑っているおばあさんを助けた一花のやさしさ、心の綺麗さを亮と視聴者に植え付ける効果はありました。

で、亮はアリエッティから飲みに誘われますが、実はサシ飲み。そこで、アリエッティは告白します。でも、亮は片想いの相手がいると知っていますので、それでも好きでいていいかと。そして、相手が一花という妹(理緒)の同級生で高校生であることを知ると、いずれ年の差で苦しむことになる。私じゃダメかな、というところでED。次週「傷つく覚悟」を待て。
{/netabare}
というお話。

いやあ、回を追うごとに面白くなってきましたね。本来、他の作品と比べるのは良くないとは思いますが、同じ曜日(東京圏)で同じ社会人とJKのラブコメという題材では比較せざるを得ないですね。「ひげひろ」と。

で、ここまでは圧勝です。

設定こそ似たり寄ったりの無理やりなJKとの出会いですが、そこからの展開で大きく差が付きました。脚本勝負という意味では、本当にこの「恋きも」は巧み。適度にライバルを登場させるというのは、どちらも同じですが、多丸もアリエッティもキャラに魅力があり、ムーブに共感が持てるんですよね。異常な女上司だの過去に体を売ったクズ男だの、ろくでもない設定の向こうとは比べ物にならないですね。

惜しむらくは作画。そして、動きながら録音しているという噂のアフレコ。キャラデザに関しては、まあこんなもんでいいだろというアバウトなもの。これは脚本がいいので見慣れてきますが、アフレコだけは慣れませんね。聞き取りづらいったらありません。

とはいえ、毎週楽しく観ています。続きが気になる引きもいいですね。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}{netabare}
ガンガン押しまくってきた亮ですが、一花の気持ちがこちらに向いたと気づいたら、腰が引けてしまうんですね。こんな年上の自分が、JKの一花と一緒にいていいのかと。

や、今さら?

でまあ、親友の益田に相談すると、同じことでキレられるわけなんですが。ギリギリの線ですよね。「これまで押しまくっていたくせに、何いきなり逃げ腰になってんだよ」と思うか、「社会人がJKと恋愛するという責任を一気に感じ始めたのよね」と取るか。

でまあ、一花が亮に直接、想いを伝えたいということで、偶然にも恵比寿駅で亮を見かけた一花。声を掛けられなかった自分。でも、どうしても伝えたい。好きって言いたいということで、「亮さん」と叫びます。

これまでの気持ちの流れを話し、亮に告白。嬉しさのあまりキスをする亮。最後に一花が「大人になるまで待っててくれますか」「ゆっくり、一緒に大人になりましょう」で、ハッピーエンドです。
{/netabare}
という最終回でした。アマプラは1週間先行しているので、地上波勢は↑は開かぬように。ネタバレしています。

控えめに言って、号泣しました。

何の涙なんだろうねぇ。おそらくは(というか絶対)、亮が本懐を遂げたことに対する涙ではないです。初回からずっと抱えてきた、一花の健気さに涙したんじゃないかな。

一花は本当に、等身大の魅力的なヒロインだったと思います。パッと目を引く派手な美人ではありませんし、奇抜な見た目をしているわけでもない、おとなしい感じのJKです。10歳も年上のイケメン社会人から猛アプローチを受け、戸惑いつつ、気持ちが揺れつつ、自分の本当に気持ちに気づいていくというストーリー。年ごろの揺れる女心というものを、実にうまく表現していたと思いますよ。

女性作家と女性監督、女性脚本・シリーズ構成と、女性で固めた布陣で作られた本作。だからなのか、とにかく人物の心理描写がとても巧みでした。やや、亮が女性の理想の男性になっちゃったかなという嫌いはありますが(今まで女遊びが激しかったけど、私に恋したら一途になってくれるイケメンという感じね)。

一花の母親が言うように、5歳10歳の年の差なんて、大人になれば気にならなくなるもんですが、高校生ではそうもいかないですよね。そういうところも、なんというか等身大って感じで良かったですね。

全般的に、作画・キャラデザは「こんなもんでいいだろ」感が強く、決して褒められる出来ではなかったですね。ただ、それでも一花のキャラの魅力は十分に伝わってきました。

音楽は特にEDが良かったですね。最終話のEDの入り方なんか、盛り上げて涙を誘う効果を発揮していました。

声優さんは、一花のCV:小坂井祐莉絵さんがはまり役。一花の魅力を後押ししたのは、この方の声質と演技に依るところも大きかったと思います。亮のCV:豊永利行さんも上手い方なのですが、いかんせん録音手法が特殊で、しかもキャラを作っていたせいか低音で聞き取りづらいことがしばしばあったのが残念でした。

総じて、泣かされたアニメは評価が高くなってしまうのは仕方ないですね。でも、佳作のレベルではあると思います。これは、この1クールでいいかな。このあとの続編とか観たいとは思いませんので。
{/netabare}

投稿 : 2021/06/15
閲覧 : 474
サンキュー:

8

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