「クー!キン・ザ・ザ(アニメ映画)」

総合得点
計測不能
感想・評価
4
棚に入れた
16
ランキング
7662
★★★★★ 4.2 (4)
物語
4.3
作画
4.2
声優
4.0
音楽
4.3
キャラ
4.2

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けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

2人で行ったクー!キン!ザ!ザ!3日連続クー!キン!ザ!ザ!いつも心にクー!キン!ザ!ザ!

1986年にソ連時代のグルジア(ジョージア)共和国で制作され、ソ連をはじめ世界中でカルト的な人気を集めた伝説のSF映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』をゲオルギー・ダネリヤ監督自らが2013年にアニメ化した92分の長篇
オリジナルの実写版を観たことがなかったので本作の日本公開に合わせて実写版もリバイバル上映していたので両作ともセットで観てきました


























舞台は現代のモスクワ
世界的に著名なチェリストの中年男性、ウラジーミル
彼の甥だと名乗り物乞いの様に近付いて来た青年、トリク
2人は偶然出会った「自分は異星人だ」と言う怪しい出で立ちの男が持っていたテレポート装置に触れてしまった事がキッカケで、キン・ザ・ザ星雲の惑星プリュクに飛ばされてしまう
一面荒野が広がるプリュクで、ペペラッツと呼ばれる釣鐘型の宇宙船に乗って彼等の前に現れたのは、チャトル人のウエフとパッツ人のビー、それとロボットのアブラドクス
相手の思考が読める彼等は本来言語を必要としないが、公言可能な罵倒語は「キュー!」
それ以外の全ては「クー!」と口にした
トリクは地球の物を珍しがる彼等に自分達を助けてくれる様に交渉を図るが上手くいかない
しかしウラジーミルの持っていたマッチを「カッツェ!」と呼び興奮した彼等の態度が一変する
どうやらプリュクではマッチはとてつもなく貴重品らしい、ということに気付く
マッチ(カッツェ)をネタに地球へ帰る算段を模索する2人だが、プリュクの数々の不条理に振り回されていく


①チャトル人より身分の低いパッツ人はツァークと呼ばれる鼻輪の様な鈴を付け、「クー!」の挨拶を忘れずにしなければならない
②パッツ人が芸を披露する時は必ず檻の中から見せなければいけない
③エツィロップという権力者には「クー!」をしなければ暴力を振るわれても文句を言えない
④燃料は「ルツ」と呼ばれ水から作られる、逆に水はルツを戻さなければ手に入らない
⑤カッツェを沢山持つ者は黄色や赤のズボンを履き、身分の高さを証明する
⑥ペジェ様と呼ばれる“たるんだオッサン”を崇拝する


次々と身に降りかかる不条理にプライドの高いウラジーミルはウンザリしていた
しかしトリクが適当にチェロを弾いて歌ったロシア語の歌がやたらとウケた
歌を歌って稼げば地球帰還への資金になると一縷の望みを抱く二人だが・・・


























SF映画といってもとてつもなく派手な視覚効果やアクションがあるわけではない、ゆる~い中にちょいちょい風刺を利かせたコメディです
常々SF映画とは『スターウォーズ』の様なビッグバジェットだけではなく、要はアイデア次第なんだと思い知らされます


さてオリジナルの実写版とアニメ版の違いです
まず両者に直接的な繋がりは無く、アニメ版は純粋に現代を舞台にリメイクされた、と考えて差し支えないです
実写版では冴えないロシア人中年と苦労人なグルジア人青年の、当時のソ連社会を皮肉ったコンビでした
ですが本作では現代が舞台なので2人ともロシア人になり、社会のメタファーよりも惑星プリュクの不条理とソレにもがく2人の悲喜交々にフォーカスが絞られています
釣鐘型宇宙船に乗って現れる宇宙人も、ウエフとビーに加えマスコット的な位置付けとしてロボットのアブラドクスが加えられました
ですがそれ以外のあらすじは実写版、アニメ版、共に殆ど共通しています
アニメ版の方がややテンポが良いのであえてアニメ版だけ観るのもアリだと思います
ですが実写版のクライマックスで鍵を握る存在であるアルファ星人が登場しないのは胸が熱くなるポイントが1つ減ってしまった、とも感じました
キャッチコピーは【時空が歪む!】なんですけどね・・・肝心の時空を歪めるアルファ星人が出てこないという・・・
それと実写版では実質主役扱いされていたウエフとビーを演じるロシアでは著名な芸術家のエヴゲーニー・レオノフとユーリー・ヤコヴレフの“如何にも宇宙人らしい”怪演が光っていました
その一方、流石ダネリヤ監督自らがリメイクしただけのことはあり、両者を続けて観ても20年以上の時を隔て、しかも実写からアニメになった、とは思えないほど自然な仕上がりを見せています
作中では重要な役割をする劇伴もオリジナルと同じギア・カンチェリが手掛けています


あまり肩肘張らず観られるB級映画が好物の方や、オリジナル版を知っている方にオススメの作品だと感じました
観終わった後には『マッドマックス』の「V8!V8!V8!」と同じくらい本作の「クー!」を声に出したくなっていることでしょうw


ちなみにダネリヤ監督は2019年に逝去され本作が遺作となりました
面白い映画をありがとうございます

投稿 : 2021/06/05
閲覧 : 372
サンキュー:

5

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