「図書館戦争(TVアニメ動画)」

総合得点
81.9
感想・評価
1982
棚に入れた
11545
ランキング
379
★★★★☆ 3.7 (1982)
物語
3.8
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.7

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nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

アニメ好きな人は、今こそ表現の自由を考えるべき。

 このアニメはまあ甘ったるい白馬の王子様ストーリーがありますが、ヒロインがか弱い美少女ではなく、かなり面白い性格をしているので男性が見てもギリセーフです。といっても半端じゃない甘さなので気を付けてください。
 また、大真面目に戦争ごっこをやっていますが、人は死にません。そこは冷めてみるとつまらないので、受け入れましょう。

 そして、ストーリーは、スリルも迫力も、ホロリとするところもあってメチャメチャ面白いのです。ヒロインの豪快なのにメンタルが乙女なキャラがいい味となって、周囲に愛されながら様々な問題に立ち向かいます。
 ちなみに原作者は女性なので心理描写が繊細です。

 さて、本作は本の検閲に対する戦いを主題としており、表現の自由問題となります。

 真面目な話をすると、表現の自由というのは民主主義の根源です。ある意味、他の権利よりも1段上です。なぜか。公権力が暴力装置をもって、言論を封殺することが可能になったとき、独裁への道が始まるからです。これは人類にとって最大の権利の侵害になります。

 なので表現の自由や知る権利を制限する法令、たとえそれが児童ポルノ等の倫理的な問題の解決の近道だったにせよ、本来は策定されるべきではありません。一度何かの表現を制限することを覚えた為政者はどんどんエスカレートするからです。

 そして、今、SNSやポピュリズムといった新たな言論統制が生まれつつあります。全人口のわずか0.1%レベルの意見が批判なく世の中に受け入れられることで世論になって、社会が動く世の中になりました。一旦世論が形成されると、それが法律以上の制約となって、言論が封じられます。
 ジェンダー、人種、環境、文化盗用などなどの問題になると、個人の考えがあっても、予め答えが形成されているため、自由な議論が困難になっています。厳密には公権力ではないので表現の自由の侵害ではありませんが、新たに表現の不自由問題となって、クリエーターたちに暗い影を落とします。

 われわれが好きなアニメもポリティカルコレクトネスを初め、そういった規制に浸食されて、どんどん表現が不自由になっていったとき、われわれが見る価値があるものが作れるか、ですよね。
 もちろん、性、暴力、グロその他の線引きをあらかじめ提示して、不用意に嫌いな人は見ないように注意する必要はありますが、作ってはいけない、表現してはいけない、となったときに、アニメは死を迎えるでしょう。アメリカのコンテンツが急速につまらなくなった歴史が証明しています。

 この素晴らしいストーリーのアニメを通じて表現の自由の大切さが広まればいいなあ、と思います。

投稿 : 2021/06/05
閲覧 : 505
サンキュー:

8

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