「第501統合戦闘航空団 ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN(TVアニメ動画)」

総合得点
72.3
感想・評価
182
棚に入れた
664
ランキング
1134
★★★★☆ 3.7 (182)
物語
3.6
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.8

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ネタバレ

なばてあ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ペーネミュンデの射影幾何と萌えの虹

『{netabare}ハサウェイ{/netabare}』をアニメ史上に残る革新と褒め散らかしておいてなんだけど、「そうそう、こおゆうのでいいんだよ、アニメなんて!」的なすがすがしさが感じられる作品だった。

1期、2期、『ブレイブ』と通しで見ると、脚本の進化がパないことがいちばん印象的である。1-2期のころは、もう「そうそう、こおゆうのでいいんだよ、アニメなんて!」とさえ言えないような子供騙しのクオリティで、とりわけ細やかなセリフの彫琢は微塵もない感じでつらかった。

唯一、1期は「{netabare}ヒト型ネウロイ{/netabare}」との交感という興味深いプロットがあって、そこだけは高く評価出来るポイントだったと思うけれど。でもそれ以外のストーリィはというと、ひと言でいうなら「陳腐」に尽きるとしか。

けれども『ブレイブ』と本作あたりから、セリフの彫琢がしっかりとなされ、プロットとプロットの繋ぎも洗練され、もちろん大筋ではアニメっぽい予定調和の範疇なのだけれど、実地に映像をみながら物語を追う時にはイヤなノイズも感じられず、「上質」という言葉さえ似つかわしい経験が得られるようになった。

わたしは『ブレイブ』が好きで、それは、スーパースター揃いの501と比べると、502のメンバーは能力的に劣っていて、その劣っているという事実から派生する状況の困難が説得的だったということがある。「ストパン」シリーズなのに、肌にヒリヒリする切迫感が、たしかにあったのだ。

裏を返せば、501は宮藤芳佳のチートっぷりにちょっと鼻白んでしまうということでもあった。ただ、本作では芳佳のチートっぷりは上手に漂白されており、物語の繊細な解像度を妨げることをしないままにそれに起伏をつけるスパイスとなっていて、そのあたりもじつに巧みだと思う。

「萌え」さえやっておけば、あとはどうでもいいと割り切っていたかのような1-2期の頃から、全方位に向けてしっかりと作り込んでそのうえで「萌え」をも訴求しようとする本作にいたるまで、プロダクション全体の意思統一の進化には敬服せざるを得ない。

あとは細かなことだけれど、リアルミリタリーのトリビアを翻案したさまざまな仕掛けが、しっかりとアクセントになっていておもしろい。・・・V2ロケットとか、なるほどねって思う。ミーナの発出ポイントを慎重に探る場面もいろいろ示唆的で、ミリヲタなら静かに昂ぶるポイントではないだろうか。

エーゲル回の6話とエイラーニャ回の8話はまちがいなく神回。1期のころの雑なカプ処理を思い出すと、ここまで関係性が掘り起こされていることに驚嘆の念を禁じえない。11-12話の盛り上がりも秀逸で『ブレイブ』に引けを取らないストーリィの充実が見て取れる。

あきらかに『ブレイブ』に優っているのは、CGの馴染ませ。空戦シーンを引きでおさえたカットにおいて、キャラクタがCGモデルで再現されているのだけれど、『ブレイブ』と比べると、かなり手書きキャラクタとの落差が小さくなってきた。すばらしい。全方位的な洗練というのはまさにこういうところ。

すべからく出来が良く、かつシリアスすぎず、肩の力を抜いて見ることのできる佳作といえる。「そうそう、こおゆうのでいいんだよ、アニメなんて!」的な良さみに満ちていて、とても好感のもてる仕上がり。1-2期を視聴することが前提とはなるけれど、アニメ好きなら見て損はない作品だと思う。

衝撃:★☆
独創:★★
洗練:★★★★
機微:★★☆
余韻:★★★☆

投稿 : 2021/08/15
閲覧 : 243
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