「86-エイティシックス-(TVアニメ動画)」

総合得点
83.2
感想・評価
626
棚に入れた
2148
ランキング
327
★★★★☆ 3.9 (626)
物語
3.8
作画
4.1
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

k57x83 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

我々は、悪魔だ

以前から気になっていてアマプラにあったので視聴
原作未読


ちょっと気になる点はあるけれどかなりの良作
映像美、心理描写、戦闘シーン、どれも一級品で
時間あたりの密度が凄かった
そして心抉る物語・設定の数々
続きが気になりすぎて睡眠時間を1/3に削って一気見



◆物語・設定
非常に緻密に練り上げられたと感じる
また、携わった人達も本当に原作が好きで、
それらの熱い想いまで伝わるようだった

設定自体はそこまで目新しさはないが、
演出を工夫することで視聴者の心に残るよう
描いている
以下が特に印象的だった
・1つの会話をハンドラ側、プロセッサ側と両方の側面から見せ、
 部屋の風景などの違いを強調することでより
 その2つの境遇的差異を強調
・ファイドのメモリの映像
・時系列の入れ替えとタイトル挿入タイミング、
 (リゼロ1期旧版のような)ED挿入タイミングの工夫
 (それによる次の展開への興味促進)

あらすじにまで気を使っているのには本当に関心する
最初あらすじを読んだとき、2国間の戦争の話かと思って
視聴開始した
が、実は進撃の巨人(壁内)のように
サンマグノリア共和国が最後の人間の住む領域であり
人間VS機械の最後の戦いというのが途中で判明した
(1期を視聴した限りでは)
あらすじのみで全部がわからないよう工夫されている
(最近はあらすじ見れば本編見なくて問題ないの多いよね)

心理描写・伏線回収も上手く
レーナの悪魔としての成長(それによる目的の実行)
もあり、見ごたえがあった


ただ、1点気になることが
レーナは物語の途中、
・敵はこちらのレーダー範囲部分の戦力を減らし、
 こちらのレーダー範囲外での戦力増強している
・敵は新兵器開発をしている
・敵は進化しており、戦争は2年では終わらない

という戦況もろもろひっくり返るような情報を
入手しておきながら
叔父(元帥?)との話の中の交渉材料として使用しなかった

感情論だけで叔父を説得に行く→失敗が何度もあり
脳みそ腐ってるのかと思いました
(レーナが叔父ならわかってくれると思っているというのなら、
 そう考えているという描写を入れるべきです)
覚悟決めたはずなのにちょっと叔父に凄まれたり
痛いところを指摘されるとゆらいだり
部下の命を背負って交渉しにいっているという覚悟が足りない

また、後半の親友の説得は上手かったけど、
兵器無断使用に関しては急に出てきた感があるので
そこもしっかり描いてくれるともっと良かったです
(書類偽造したのか、攻撃部隊に直接言ったかはわからないけど
そのあたり)

最後の終わり方、普通に受け取ればシンが敵側に連れていかれると
いう感じでしたが、2期どうなるでしょうか
個人的には前作主人公が敵側で登場とか
結構好きなので(AC4→faとか)期待大です
機械が死を求めて来た話や、シンの最後のセリフから
ファフナーみたく敵側にいて味方的な動きする感じもあり得ますね
どちらにしろ楽しみです


テーマと私見については思うところがあるので後述します


◆声優・キャラ
誰も彼も割とすぐ死んじゃうので名前は覚えられなかったけど、
キャラ立ちはしっかりしているし役割もあり良かった
一人一人の境遇とか設定されてて好感が持てた


◆作画
記載済みだが物語・設定に即した演出があり、
バトルシーンも(3Dだが)よく動いていた
たぶん魅力の一つにレーナの顔があると思うが、
崩壊もなく最後まで走り切っていた
ドレスで化粧したらとんでもない美人でびっくりした


◆音楽
OP、ED抜群に良い
音楽と映像のマッチングが凄く、
音楽だけでも購入するレベルなのに(avid購入済み)
映像と合わせるとか本当に力が入っている

作画と絡んだ話になるが、
特にEDがツボだった
EDは動きは少ないんだけど非常に印象的な仕上がり

昨今の映像が良い=作画が良い=良く動くもの という風潮は
間違っていると教えてくれる
こういう、印象・心に残るものがいいんだよ

BGMはまあまあ良い、でしょうか
途中ちょっと出てきすぎているところがあり
気になりましたが、全体的には高レベルだと思います。



◆テーマとその私見について

皆様はどう感じられたでしょうか
私は、この物語のテーマは以下だと思っています

「残酷なシステムを享受している人は、
残酷なシステムを作成した人と同罪である」

「そのシステムによって、虐げられる人たちもまた、
 同じ人である」

ハンドラの葛藤と叔父、アンリエッタとのやりとり、
プロセッサの日常や葛藤が印象的に描かれていたので、
このように考えました


さて、
残酷なシステムは現代日本においてはいくらでも見つかります
身近なところで、たとえば、

社員やバイトをゴミみたいに扱うことで
成り立つ外食・アパレル産業

エンジニアのサービス残業で成り立つ銀行システム
(タイムリーにみ〇〇が障害出したので)

田舎に原発を押し付けることで成り立つ都会の電力事情

保健所職員の過労によって報告されるコロナ日報


たぶん、私たちの周りのもの、何をとっても、
残酷なシステムによって生み出されたものでしょう
きっと知らないだけで

私たちは、たぶんサンマグノリア共和国で
何も知らず生活を享受する市民と同じなのです

私たちのこの生活は、プロセッサのような
誰かの、犠牲の上に成り立っていると想像します

今この時も、どこかの誰かが、虐げられている
同じ人だというのに

けれども、きっと何もできはしないのです


アンリエッタは、レーナのことを悪魔と言い
レーナはこう返します
「ええそうよ、私も、貴方も」




残酷なシステムを享受している我々は、悪魔だ


20210821初稿
20210822加筆修正
 ◆物語・設定 2期の話
 ◆音楽 話の流れがおかしかったので修正

投稿 : 2021/08/22
閲覧 : 359
サンキュー:

11

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