「ダーリン・イン・ザ・フランキス(TVアニメ動画)」

総合得点
84.8
感想・評価
1070
棚に入れた
4664
ランキング
264
★★★★☆ 3.7 (1070)
物語
3.5
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.7

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nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

男女の愛が生命をつなぐ。この時代によく言い切ったと思います。

 本作は露骨な「トップをねらえ」の第6話のオマージュでラストを締めくくっています。本作ほどの高水準のアニメを作るクリエータたちが「マネ」でやるわけもありません。一つ目は「別れ」ですね。仲間たちに2度と会えないという事。次に「帰還」です。つまりあの2人は帰って来たんだと言いたかったのだと思います。

 ただし帰ってきた意味合いが違うわけです。これは「輪廻」ですね。生命は回りまわっているんだと言うこと。これは生まれ変わったからハッピーエンドということではなく、2人の死の意味が地球で花咲いて、また命が生まれ始めたということでしょう。だから偶像は壊れ、桜として花開きました。
 それは、本作の大きなテーマである「生命は男女で子孫を残してゆくことが未来につながる」ということにつながります。2人の子供から読み取れます。
 ラストのこのシーンだけでテーマが読み取れる工夫をしたんだと思います。

 大人対子供は、停滞VS未来への可能性でした。長寿社会の停滞、共同意識VS個別意識もありました。こうやって1つ1つ並べるとテーマがいっぱいで説教臭いしどっかで見たような主張ばっかりという感じもしなくはないですが、これをまとめるとどうでしょう。
 少子高齢化で生殖を諦めた今の日本の状況になります。恋愛の否定、男女それぞれグループを作って遊んでいる、童貞処女率の高さ、長寿化により生殖本能が無くなってゆく現状(実際に北欧などで男性の精子が極端に減少を始めているそうです)など。共同意識は情報社会で人とのふれあいの喪失なのかもしれません。
 一つ間違えると男女に限定した恋愛、出産肯定の話なので今の社会でこれを言い切ったのは勇気がいると思います。社会とは出産なくしては成り立たないので、本来あるべき主張ですが女性の権利の前にその主張は今やバッシングの対象ですので、是非はさておきよくぞ主張したと思います。

 ストーリーは役に立たなくなった人間の廃棄から始まるディストピアものから、謎の男女共同生活、謎の男女がエロい恰好で運転するロボット、そして謎の敵と謎だらけでした。そもそも主人公とのパーソナルな話も含めて、02は何者?というのがもちろんあります。

 ロボットバトルモノ、途中の結婚の結末までのストーリー、02と主人公のストーリーなど、それぞれ面白かったです。構成も良くて、学園恋愛ロボットバトルアニメとしての前半、SF的な説明と問題が大きくなる敵の正体が見える後半、全体を通じる愛情と生命のようなテーマが上手く絡んでいました。
 ただ、前半が分かりやす過ぎるため、後半以降であれ?という否定的な意見が出そうな危険な構成でもありました。

 アニメはとにかくキャラデザが可愛いのはもちろんですが、ロボットのデザインもエロ可愛いんですよね。これはすごいと思います。アニメも丁寧につくってあり、作画や演出は見事だったと思います。

 男女の恋愛、そして次の世に命を繋ぐ。難しいテーマを面白いストーリーに仕立てたかなりいい作品だったと思います。
 視点の変化についてこれない人を振り落とした故に、作品の出来のわりに評価が低くなった気がします。また、トップをねらえの他、エヴァ、グレンラガン等々あえてオマージュした部分を誤解されたのかもしれません。

投稿 : 2021/09/01
閲覧 : 311
サンキュー:

8

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