「ひぐらしのなく頃に卒(TVアニメ動画)」

総合得点
68.3
感想・評価
299
棚に入れた
944
ランキング
2079
★★★★☆ 3.4 (299)
物語
3.0
作画
3.5
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.3

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ネタバレ

クソアニメの魔女 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

炎上した理由については考えさせられたが、良い部分はたくさんあった

ひぐらしのなく頃にの正統続編である業の決着編です。
時系列は解における祭囃し編の後。
過去作である無印、解を観てないと業、卒の描写について意味が分からない点が多いと思われるので、できるなら旧作を参照してから視聴することを推奨します。

古手梨花が仲間同士の絆や信じることを力に、鷹野三四の願いが引き起こした永遠とも言えた、呪われし惨劇の運命を打ち破った旧作。
業、卒はそうした力を闇堕ちして“繰り返す者”となった北条沙都子が逆手に取り、鷹野との戦いから得た経験を活かそうとする梨花を新たな惨劇の渦に引き摺り込みました。

仲間をテーマにした旧作。
作者は一度完結したテーマからあえて脱却を図り、仲間を信じることに関して、その弱さ(特に依存性)という危険性について説いた。そんな意欲作とわたしは捉えています。

意欲作、と言えば聞こえは良いのですが、その結果様々な問題点が付随して大炎上した本作。最たるものは心理描写の弱さや重要な描写の欠如でしょう。
卒は業の使い回しみたいなシーンが多く、それが祟ってかキャラクターの心理描写を旧作より描けていないです。特に業の郷壊し編や、綿明し編、神楽し編では顕著でした。

抽象的な表現もかなり多い。祟明し編で現れた北条沙都子の闇人格や、神楽し編でエウアが放った“フィーア”という言葉、そして彼女と羽入の関係性やその目的など、今作では曖昧だったり明かされていない部分が目立ちました。

良い点は作画、音楽、キャラクター。これらは文句無しです。
後はテーマ。
梨花がこれまでのことを信じた結果黒幕に足元を掬われ、かつて経験しなかった新たな惨劇に見舞われるという旧作をある種活かしたエピソード群は素直に面白いと言えます。

仲間を利用することから胸糞悪いとも取られる沙都子の暗躍は賛否ありますが、わたしは好きです。
旧作にて羽入の言葉から言われていた梨花と沙都子の共依存の危険性。
そこに着目して旧作(祟殺し、皆殺し、祭囃し)より見られた北条沙都子というキャラクターの不安定さを惨劇の黒幕として旧作とは違った切り口でより苛烈に描いたのが業、卒のテーマの一つだと解釈しています。

ストーリーはかなり荒削り。描写不足な点や違和感が多く、炎上した元凶であり、悪い点はここに凝縮されています。

以下、わたしの解釈と併せて箇条書きにして纏めます。

・梨花、沙都子がルチーアに通っていた経験のある詩音に相談しない。
→これはなぜしなかったのか謎。進学する場所の評判を知ろうとしない理由が皆無。

・業の焼き直しが多い。
→そのせいで重要な描写を描く尺が不足しているので致命的。再放送と揶揄されるのも納得。神楽し編の1、2が特に酷い。

・沙都子の動機がしょぼい。
→明確な描写は薄いですが、沙都子は梨花の辿った惨劇の追体験を合わせて彼女並みにループを経験しており、何度も何度も梨花と共にあろうとしては失敗していました。沙都子を苦しめた梨花の願いはさながら、鷹野の例で言う“絶対の意思”に他ならないでしょう。
どう足掻いても最終的にルチーアで孤立した結果、このままでは梨花と共に過ごせないことを悟った沙都子は二人の関係を壊してまで、彼女からして利己的にしか見えないであろう自分の願いを叶えようとしている梨花の心をエウアから貰った力を使い“オヤシロさまの祟り”の名の下に屈服させ、鬼騙し編より一転して梨花を殺す呪縛と化した仲間、絆の力によって雛見沢に縛り付けようとした、というところでしょうか。

・祟明し編で沙都子から分離した闇人格
→解の後日談となる礼で梨花の裏人格(魔女と呼ばれたりする)、いわゆる黒梨花と呼ばれるものと決別する描写があります。ここから考えるに、沙都子も梨花と同じく長いループを経て本来の沙都子と若い肉体と不相応に成熟してしまった沙都子が摩擦を起こして分離、梨花のような魔女としての人格が現れた、と読み取れます。
沙都子の場合は自らが起こした幾度もの惨劇を経て擦り切られた良心が呵責を起こしてしまい、梨花をものにするのに邪魔となるそれを封殺するべく、魔女人格が沙都子を乗っ取ったのでしょう。
最終回で沙都子が言っていた、この体を北条沙都子に返す〜のくだりは礼での梨花のくだりの再現といった具合でしょうか。
梨花の時と同じく、魔女沙都子と本来の沙都子の一時の別れ……と考えるとしっくりきました。

・14話がドラゴンボール
→ドラゴンボールとNARUTOでした。

他にも言いたいことはありますが、長くなり過ぎるので割愛します。気が向いたら追記していくつもりです。

総評して、やりたいことは分かるが、炎上した理由も明確な賛否両論の激しい作品です。
考察しがいのある部分も多いですが、視聴ハードルが高いしとにかく荒削り。
観るなら旧作やうみねこといった過去の竜騎士作品をある程度理解するくらいの気概が無いと抽象的な表現にもやもやすることは必至でしょう。理解があったとしても賛否が分かれる作品なので、他作品よりも評価が難しいのが現状です。

投稿 : 2021/11/23
閲覧 : 377
サンキュー:

6

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