「灰羽連盟(TVアニメ動画)」

総合得点
79.6
感想・評価
1492
棚に入れた
7549
ランキング
439
★★★★☆ 3.8 (1492)
物語
4.0
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.8

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ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

思春期に「自分とは何者だろう」という悩んでいたことを思い出します。

 思春期に差し掛かった頃、そう14歳くらいでしょうか。自分とは何かと考えたことがある人は多いでしょう。本作はそれをそのままアニメにしたような作品でした。

 なぜ生きているんだろう、なぜ苦しむんだろうと。学校の日常に押し込められたような閉塞感や世の中のルールのむつかしさが面倒で息苦しくなる感じです。
 劣等感、偽りのやさしさ、自暴自棄…そういったモヤモヤとか悩みとか。そして、時間とともに通り過ぎて行く人々の無関心。だけどちょっとだけ思い出してセンチメンタルになるような感じ。

 あるいは、時代性もあって女子高生みたいな視点もあるのかもしれません。人々からチヤホヤされて気楽に楽しく生きている。だけど、それが無性にイライラさせられる。みんなサービスしてくれるけどなんか素直に喜べない。
 ヒロインがセーラー服だし、輪っか=制服で、どういう身分なのかすぐわかるサインを身に着けて生きているという意味でしょう。舞台が女子のみの学校?というか共同生活のコミュニティでした。

 壁は閉塞感と同時に大人の世界に出る前の守られた世界です。そして自分の経験と知識の浅さなどいろんなものの象徴でしょう。
 井戸は心理学でいうイドでしょう。本来無意識の中の衝動のことですが、そこまで厳密なアナロジーではないので無意識…なんでしょうね。ちょっと村上春樹的です。
 鳥や鳥の死骸は難しいですが、思い出、経験、知識、出会いなのか…この辺りは考える必要があるでしょう。本もラッカにまつわる話として暗示的に使われていました。
 時計の音は葬送は明示されていましたが、時の流れなのか浄化なのか覚醒なのか…
 壁の中の墓標とか、あの灰色連盟の大人たちとか…教師と職員室?にしては優秀ですね。ちょっと違いそうです。

 そして羽ですね。これは罪…だけではなさそうです。黒から白になると旅立つ資格を得るという意味ですね。いや、白ではなく灰色ですね。そもそもなぜ白ではなく灰色の羽なのか。

 レキのたばことか考えると青春時代の心の迷いから、マイルドに駆け落ちと言ってましたが、考えすぎかもしれませんが、性的な遊びの経験に対する罪悪感のメタファかもしれません。2人で壁を超えようとして怪我をする…が何を表しているかですね。
 ではラッカの羽が黒くなる意味は?なぜ記憶がないと黒くなるのでしょう。例えば学校に入った意味を忘れること?罪との関連でいえばやっぱり悩んでいるサイン?

 ラッカにまで性的な要素を持ち込むのは考えすぎだと思いますが、しかし壁は大人と子供の境界だとすると…しかも「西」は死へ向かう方向ですから、成長ではあるんでしょうが、エロスとタナトスというメタファはひょっとしたらありかもしれません。

 カラスが死んで埋葬すると助けられる…過去の自分の罪を自分で消化したということですね。過去の経験があるから今の自分がある…罪の問答からいって、つまり自己肯定のプロセスなんでしょう。

 そしてカラスの羽は黒い…そしてレキとラッカの羽も黒くなる。この羽が黒くなるのはなぜ?が本作の一番のテーマにつながっている気がするのですが…わかったようでわからないポイントでした。

 以上は勝手な想像ですが、そのほかいろんな象徴がちりばめられていそうです。

 青春時代に考えて考えても答えにたどり着けないもやもやを素晴らしいストーリーで表現してくれました。文学というと安っぽくなるかもしれませんが、考えるきっかけを与えてくれるという意味ではやはり文学なのでしょう。

 理由も設定も明示されていないという意味では世界系ですが、世界系の技法で思春期の内面を物語として上手に変換…昇華していたと思います。

 美しく味わい深い素晴らしいアニメーションでした。是非後世に残したいと思うレベルの作品です。



追記 いろいろ考えましたが、結論としては第一印象の通り、ラッカとレキを通じて、思春期の内面、自分の存在理由、自分は何者か、罪悪感、孤独、別れを感じるのが一番良さそうです。
 石になりたい、消えてなくなりそう、自分が自分でないみたい…または、黒い羽を切り取ってしまいたい…という部分ですね。こういう負の面を追体験すればいいと思いました。

 設定に理屈はつけれれるかもしれませんが、あまり意味が無い気がしてきましたのでこれくらいにしておきます。

とはいえ、考えたことは多少記載しました。

{netabare}
 名前=死因=夢なんでしょうね。子供の頃に死んだ魂が浄化され生まれかわる再生の物語ということですか。轢死に落下ですからね。その他の人はわかりませんが、思いを残して死ぬ、あるいは自殺すると黒くなる感じですかね。

 ただ、これは設定の話です。考察すると現世の異界なのか死後の世界なのかいろいろありそうです。

 でも、大事なのは前半のラッカと後半のレキがどうやって自分と向き合って贖罪を得たかの話でした。

 ラッカについては、誰かはわかりませんが家族なのか友なのか、誰かが助けてくれようとしたのに気が付かなかったため、罪を背負ったということでしょう。クウがいなくなったときの悲しみ方から言って、喪失に傷つきやすいということだと思います。
 井戸=イド=無意識の中で見殺しにしていた誰かの気持ちに、感謝と同時に別れを告げた時、贖罪を得ることができたのでしょう。

 レキについては、形だけでもいいから他人に施しをすることで、自分の本質になることで贖罪になったということですね。
 クラモリは暗森でしょう。名前からしてひょっとしたらという気もします。

 クウの残したのはカエルの置物でした。カエルは復活、再生、循環などの象徴らしいです
 クウが生まれ変わったようなタイミングで子供が生まれましたが、あれがクウなのかなあとも思いましたが、壁の外に出たいんですもんね。そうだとすると救いがありませんので、違うと思いたいですね。

さて、メタファの部分です。

 第一印象の通り思春期から大人になるプロセスでもあるでしょう。やっぱり学校のメタファは強く感じました。
 時計が強調されていたのは限りある時間でしょうし、働いてもお金にならない代わりに、お金が無くても生活できるという部分。壁や別れ。そしてみんなのマスコットのように扱われていました。男女共学と女子校もありました。
 外に出る=大人になるというメタファはどうしても捨てがたいものがあります。

 そしてインナースペースとしての街ですね。
 カラスですね。死後あるいは異界だとすると設定では魂なんでしょう。  
 ただ、カラスの描かれ方は、記憶や思い出、抽象的に人とのコミュニケーションというのも考えられます。外界と行き来できる、という部分にやっぱりこの街そのものが人の内面のようにも感じました。 {/netabare}
 

投稿 : 2021/11/18
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