「恋は雨上がりのように(TVアニメ動画)」

総合得点
81.3
感想・評価
713
棚に入れた
3158
ランキング
409
★★★★☆ 3.7 (713)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.7

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ネタバレ

Usotarou さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ノスタルジック最高峰

陸上部に所属する女子高生橘あきらとあきらがバイト先のファミレスの店長の近藤まさみのラブストーリー。
だがこれは単なるラブストーリーではない。あきらは怪我で陸上を挫折し、近藤は小説家の夢を挫折していた。そんな二人が出会ったことによりもう一度夢に向かって一歩踏み出すまでの物語。

あきらはクールで近藤は部下の失敗にも強く怒れないような冴えないおじさん。キャピキャピ女子高生とイケメンおじさんの恋愛ではないという時点で普通の恋愛ものではないという違和感から一気に二人のことを知りたくなる。

女子高生とおじさんの恋愛なんてあまりいいイメージではないが見事に覆された。
あきらの一方的な好意から始まり、それに対し近藤は「援交だと思われる」「おじさんのどこがいいのだ」と視聴者の思っていることをそのままぶつける。当たり前だ、うっかりすれば逮捕されかねない。しかしそれでもあきらは近藤のことが好きだと言って諦めない。おじさん世代なら女子高生にこんなことを言われたらうっかりすぐに付き合ってしまいそうなものだが、それはきっと妄想での話なのかもしれない。実際にそんなことを言われたら戸惑うに決まってる。この辺りから近藤は常識を弁えた人間だとわかるが、異常に近藤に執着するあきらとそれを拒否する近藤はやはりどこか様子がおかしい。あきらも同年代の子と恋愛をすればいいし、近藤も拒否すると決めたのならさっさとスルーしてしまえばいい。この二人には何かあるのだ。

二人の恋愛模様は普通の恋愛のようにドキドキしたりすれ違ったり愛おしく感じるものではない。恋愛という名を借りたトラウマ克服物語である。しかしそれを女子高生とおじさんの恋愛として描いたのはどうしてだろうと考えた。
あきらはケガをして陸上から逃げた。そして同年代との恋愛には目もくれずおじさんとの恋愛に逃げた。
近藤は夢であり青春であった小説から逃げた。そして青春真っ只中であるはずの女子高生からの好意から逃げた。
二人の恋愛は「逃げ」の象徴であったのだ。作者はそれを意図して描きたかったのではないかと思う。

そして二人の「逃げ」と恋愛物語は進展?していくのだが、そこにタイトルにもある「雨」が一役買っているのだ。この演出と展開が美しくノスタルジックでこの作品が大好きな理由の一つだ。あきらが店長を好きになるシーン、告白するシーン、お互いがいろんな気持ちをぶつけるシーン、さまざまな重要なシーンで雨が二人の感情に合わせて降り注ぐ。雨が降るたびに二人の思いが溢れ出し、変化し、視聴者の心に降り注ぐのだ。ガラスにへばりついたり叩きつけられる雨、無惨にコンクリに打ちつけられる雨、その音、さまざまな雨が二人の心情をよく表現している。

そして物語のクライマックスでは美しい青空が360°上下左右に広がるのだ。雨の後の青空は美しいものだ、それを最後の最後の二人の切なく愛しく儚かった恋愛を締めくくるためにバシッと視聴者にぶつけてしまうのだ。こんなに美しいアニメがあるだろうか。美しいシーンになるに決まってるしそれを期待以上に表現しきった製作陣に感謝したい。あのシーンはズルすぎる!

OPとEDはもちろん映像も曲も素晴らしかったし、作画も声優陣も文句なし、サブキャラも物語をよく引き立たせてくれていたし日常シーンはほのぼのしていて全体的にかなりかなり完成度が高い超名作だと言える。

雨が降ったら雨宿りをしよう。雨が止んだら歩きだそう。そんな言葉がぴったり当てはまる作品だった。

投稿 : 2021/11/28
閲覧 : 201
サンキュー:

7

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