「荒ぶる季節の乙女どもよ。(TVアニメ動画)」

総合得点
79.7
感想・評価
601
棚に入れた
2241
ランキング
478
★★★★☆ 3.8 (601)
物語
3.8
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

高校生って、"青春"でひとくくりにされるけど、だれが"青"一色って決めたんだ!

とても面白かったです。
そして、難しいテーマなのに、良くできた脚本だなぁと感心もさせられました。

テーマとして面白かった点は、大きく2つありました。
1つは、思春期の恋愛と"性"は切り離して考えられるかということ。
もう1つは、"青春"と言う言葉そのものに対するアンチテーゼからのジンテーゼ。
前者は良くあるテーマですが、後者はめずらしいのでここで触れてみます。

高校生って、"青春"でひとくくりにされるけど、だれが"青"一色って決めたんだ!
これをタイトルにしてみましたが、考えてみれば、確かにそうです。
もちろん、青春の"青"は、「未熟」と言う意味からきています。
しかし、その"青"そのものに突っ込むところが、この作品の面白いところです。

高校生たちは、みんな"青春"と言う言葉でひとくくりに扱われています。
この作品では、"学校"が、そのひとくくりの象徴として描かれていました。
しかし、実際は、その中で、みんな"いろいろ"なことを考えています。
そこで、"青春"と言う言葉の否定です。(アンチテーゼ)
つまり、"青"ではないと言うのです。なぜならば、十人十色だからです。
屁理屈と言われればそれまでですが、実際、それぞれ個人の"色"があると言います。

青春と言う時期は、成長を意味する"春"の手前の"青(未熟)"の季節です。
もちろん、本人たちは、それをわざわざ言われなくても分かっています。
つまり、高校生と言う時期が売りにもなるし足かせにもなると言うことを、です。
でも、だからこそ、この季節が貴重なものと言うこともそれなりに理解しています。
そんな季節にただ待っているだけなのは、時間がもったいなくてできない。
この物語の高校生たちは、そう断言し自ら行動を起こし恋愛をしていきます。

"青"一色でひとくくりにして「"青春"を謳歌せよ」なんて、大人の意見です。
しかも、大人は、そう言いつつも規律を守って良い子でいろとも言います。
そして、そんな大人が言う"青"とは、抑圧の象徴でもあります。
高校生たちは、今この季節が貴重だからこそ、そんな抑圧に屈してはいられません。
だからこそ、自分たちの気持ちのままに、大人の言う"青"に抗い、荒ぶれます。
でも、それは結局、”青春”を謳歌していることに他なりません。(ジンテーゼ)

"青"に抗い、"青"の下にはいろいろな"色"が眠っている。
そう言って"青春"を否定しつつも、"青春"を謳歌しろとこの物語では言っています。
この作品は、高校で習う「弁証法」的な方法を使ったとても面白い青春賛歌でした。
あたりまえの言葉に疑問を呈し、その意味を深掘りする脚本はなかなかのものです。

投稿 : 2021/12/02
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サンキュー:

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