「涼宮ハルヒの憂鬱(TVアニメ動画)」

総合得点
89.4
感想・評価
7748
棚に入れた
33159
ランキング
80
★★★★★ 4.1 (7748)
物語
4.0
作画
4.0
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.2

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ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

憂鬱のハカリカタ

北高入学の初日。

ありきたりな緊張と、相変わらずの憂鬱のさなかに、私は乗り込んだ。
そして、たまたま前の座席にいた男の子の背中を一瞥している。

全く面白みが感じられない凡庸な挨拶。
これといってかわり映えのしない風貌。

取り柄にも差し障りにもならない性格。
あだ名は、"キョン" とでもしておこう。

でも・・・。
なぜだか私に興味があるみたいで、何やかやと声をかけてくる。
不思議と私の話に耳を傾け、そうかそうかとうなずいてくれる。

こういう展開が高校生活の始まりだとしたら、私のアピールも強ち間違ってなかったってこと?
取り留めのないやり取りも、推し量っていたタイミングも、ついに巡りがやって来たってこと?

キョン、だったわよね?

この人となら、古びた退屈から抜け出せるかもしれない。
あなたとなら、新しい世界を創り出せるのかもしれない。

私に託されたSOS団のカタチが見えてくるのかもしれない。


ねぇ? キョン!
そう思うでしょ!? キョン!!


~ ~ ~ ~ ~


聴くところによると、成績は上位で、運動も万能だとか。
文化芸術に秀でていて、好奇心なぞは常軌を逸しているらしい。
おまけに行動力は一気呵成で、「全然と罰金」で事をまとめる横暴さも持ち合わせている。

そしてルックスは、なかなか・・・ではないか?


とまぁ、世界にも類い稀なるバイタリティ女子が、なぜか俺の後ろの席にいるというわけだ。

そんな奴が、どうして俺みたいな地味野郎なんかに突っかかる?
それにだ。

そんな女子に、どうして俺なんかが気を取られてしまうんだ?
それこそ意味が分からないってもんだ。

俺は、退屈さえ楽しく過ごせる毎日が、それこそ似つかわしい。

ハルヒなんぞに振り回される自分の憂鬱を、憐れみのSOSで慰めているというのに。

しかし、どうやらそれが俺の北高ライフのスタートらしい。


~ ~ ~ ~ ~


青春譚を地で行くような目まぐるしさ。
2人揃っての憂鬱も少し認められる。

文芸部という私に似合いの居場所。
本好きなポーズなら、むやみに話しかけられないだろうし、余計な関わりを持たずに済む。
万一、踏み込まれても、思念体を対極に置けばいい。

そうすれば

私は私を振る舞える。らしくいられる・・・。


部室のムードが、いつしか私に関心を持たせた。

"あなた" としか呼べない私を、私はすこし悔しく思った。
"涼宮ハルヒ" としか言えない私は、どこかに鬱屈があった。


私にも、憂鬱が認められた。

でも、私は気づかなかった。

気づけなかった。


私のSOSに、気づいてもらえなかった。


~ ~ ~ ~ ~


白と黒の2次元の世界から、彩りにあふれた4次元の世界へ。

禁則事項の連発は、私なりの下級生への心配りです。

危なっかしくて見てられないけれど、見守ってあげることしかできない。

それはちょっぴり、憂鬱でもありました。



キョン君にはお近づきになれたけれど、涼宮さんの方がいくらか早かったものね。

目には見えないかもしれないけれど、高校にも社会にもヒエラルキーはあって、それを決めるのは出会いのタイミングなんです。

駆け出しの今は分からなくてもいいけど、振り返られる年齢になった時に、みんなの時間が輝いていたことが分かります。

だから、お節介しすぎっていうのは、割と禁則事項が多いんです。

だって、曇らせてしまうでしょ。

涼宮さんのSOSの想いを。


~ ~ ~ ~ ~


機関のエージェントですか?
そうですね。そういうのもいいかもしれません。
僕は "わけあり" の転校生ですから。

まさか、涼宮さんに目を付けられるとは思いもよりませんでしたが、楽しければ僕は構わないんです。

ちょっと僕は目立ってしまうみたいなので、皆さんが周りにいてくれると安心できるのです。

ええ、行く高校を間違えてしまったようです。
憂鬱だったんですよ。ですから、決断は早かったです。

一度しかない高校生活なんですから、どんな手を使っても替わるべきだと思ったんです。

SOS団ですか?
ええ。もちろん僕にぴったりだと思います。
こういう同好会が、全国の高校にあると、救われる方たちが増えると思いますよ。

大人の世界は大人になったときに考えればいいのです。
ですから、今だけはSOS団にどこまでも関わらせていただきたいのです。
きっと、機関?にも伝えられることがいっぱいできるでしょう。


だとすると、涼宮さんには、僕のSOSをキャッチしていただいたのかもしれません。

受け入れてくださった皆さんには、感謝するばかりです。
 

~ ~ ~ ~ ~


キョン君、ハルヒさん、有希さん、みくるさん、古泉君。

5人は、心の友だちです。

「憂鬱なだけの毎日なんて、まっぴらごめん!」

そう、元気づけてくれる、わたしの楽しい仲間です。

投稿 : 2022/04/22
閲覧 : 324
サンキュー:

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