「はるかなレシーブ(TVアニメ動画)」

総合得点
74.2
感想・評価
444
棚に入れた
1633
ランキング
910
★★★★☆ 3.5 (444)
物語
3.4
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.5

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ひろたん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

これはスポ根か? 透明な青い海に汗臭さは、さらさらの白い砂浜に泥臭さは、似合わない。

この作品は、最初、スポ根かと思ったらそうではありませんでした。
なぜなら、圧倒的に「根性」が足りないからです。
汗臭いとか、泥臭いとか、血のにじむような努力、そう言ったものがでてきません。
過去と現在の間、つまり、"過程"がほとんど描かれていないのです。

スポ根と言ったら、その"過程"の中にドラマがあります。
血のにじむような努力の中から、汗臭さや泥臭さを感じます。
スポ根には、"過程"の中で、苦悩や葛藤、挫折と克服が描かれます。
この作品は、それらをスパッと切り落としています。

この話は、高校生がビーチバレーボール部で全国を目指します。
では、青春群像劇かと言えば、そうでもありません。
それは、部員どうしのぶつかり合いも、ライバルとの切磋琢磨もないからです。
練習風景等の過程がほとんどないのですから、そこにドラマもありません。
仲良く練習してアイスを食べている印象が強いです。
にもかかわらず、主人公は、いつの間にこんなにも強くなったのかと驚かされます。

主人公以外のキャラは、コンプレックスや挫折が描かれていました。
過去のエピソードで、"過程"ではありませんが、背景はちゃんとありました。
一方、肝心の主人公は、それも全く描かれていません。
主人公には、過程もなければ、背景もないのです。
私は、話が軽いなぁ、表面的だなぁ、奥行きがないなぁって思って観ていました。

しかし、クライマックスの手に汗握る決勝戦で自分の考えが一転します。
今年、東京オリンピックを観ていて思いました。
私たちは、今、目の前で行われている試合しか観ることができません。
そのため、その裏でどんな練習をどれだけやってきたかなんて分かりません。
しかし、それでも、とてつもない努力をしてきたと言うのが試合から分かるのです。
どれだけ、苦悩や葛藤、挫折があったのだろうなと想像がつくのです。

この作品は、"過程"の物語を犠牲にし、その全てを試合にぶつけてきました。
トラウマの克服、ライバルや人間関係、それらは試合の中で決着をつけるのです。
ある意味潔いです。

透明な青い海には、汗臭さは似合いません。
さらさらの白い砂浜には、泥臭さは似合いません。
きらきらの太陽の光の下では、苦悩や葛藤の陰鬱さは似合いません。
この作品は、良くも悪くも沖縄の雰囲気を壊しませんでした。
そして、全ての努力は、試合だけを観て判断しろと言ってきたのです。

これは、もはやスポ根ではありません。
でも、言葉が見つからないので、ネオ・スポ根としておきます。(スミマセン)
正直、"過程"を重んじる従来のスポ根が好きな人にはつまらなく感じるでしょう。
しかし、視点を変えるのです。オリンピック観戦のように。
試合自体から、その裏を推し量るのです。
この作品は、物足りなさを感じつつも、スポーツ中継を観ているかのように面白い。
そんな葛藤を抱えた私が出した結論でした・・・。

キャラ、作画、声優、音楽等、アニメ的要素に不満はありません。
迫力と臨場感があって面白い作品なので観ても損はないと思います。

投稿 : 2021/12/04
閲覧 : 441
サンキュー:

28

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