ERRUE さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
作家と編集の苦労が見えてくる
冒頭のアレなシーンで1話切りされそうなレベルですが、物語の内容は面白いです。
SIROBAKOが「アニメ制作陣の日常」を描いた作品ならば
妹さえいればいい。は「作家の苦悩と挫折・編集業界の闇」を描いた作品です。
原作は読んでいませんが、アレな要素を除けば面白いストーリーでした。
ここからはネタバレ
{netabare}
ラノベ作家 羽島伊月が「もし自分に妹がいたら…」という願望を叶える為、理想の妹を自身のラノベで描いていく物語。
2人の友人兼同業者「可児那由多」「不破春斗」とボードゲームや食事をしたりの息抜きのシーンも多い。
特に、ボードゲーム・TRPGは「作家・出版業界の闇」が分かる内容のゲームで、業界の事情を知らない人間には興味深く面白いです。
◎作家たちの苦悩
羽島伊月、可児那由多、不破春斗の3人は、相手が書いたラノベで人生が変わるほどの影響を受け、与え合っている。
主人公の伊月は那由多の書いたラノベに衝撃を受け、彼女の活躍をバネに自身のラノベの執筆を頑張るシーンもあります。
一方、那由多も過去に虐めで苦しんでいた時期に「伊月の書いた小説を読んで救われた」エピソードがあったなど、冒頭のおふざけ要素とは打って変わって、作家の内面に切り込んだ真面目なエピソードも描かれています。
そして3人目の不破春斗は、先の2人ほど才能には恵まれていなかったが、彼らに追いつきたい一心で努力し「自身の作品がアニメ化される」までになっていた。2人から「アニメ化作家さん」と嫉妬される場面もありますが、
春斗には「この2人が本気を出したら一瞬で置いて行かれる」不安が見え隠れしていました。
◎作家・出版・アニメ業界の闇
自分が一生懸命積み上げたものが、他者の失敗によって一瞬で崩れ去る。
さらに、他者の失敗によって作者自身がボコボコに叩かれる現状。
1話から「約束された勝利」と言わんばかりに描かれていた、春斗が書いた「絶界の聖霊騎士(シュバリエ)」がアニメ化され、深夜に伊月の部屋で皆でワイワイ盛り上がりながら見る予定だったのに、放送が始まると雲行きがどんどん怪しくなっていき、SNSでは作者の春斗までボロクソに叩かれる羽目に。
今まで、視聴者視点でしかクソアニメの炎上を見ていなかった自分には衝撃的でした。春斗が炎上で潰れていくシーンがあまりにも生々しく、「自身の作品が他者によって汚される痛み」が伝わる場面でした。
また、終盤に登場するボードゲームも見ていて「業界ではそういう事もあるんだ」と考えさせられるシーンも多かったです。
◎感想
1話切りしたら勿体ないアニメでした。度々登場するアレなシーン以外は、作家・編集・アニメ業界の闇を垣間見るシーンが出てきて面白かったですね。
特に春斗のアニメ化失敗のエピソードは、アニメ制作の失敗によって泣かされた原作者の気持ちが生々しく描かれていて見応えがありました。
{/netabare}