「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 ‐永遠と自動手記人形‐(アニメ映画)」

総合得点
87.2
感想・評価
517
棚に入れた
2554
ランキング
159
★★★★★ 4.3 (517)
物語
4.2
作画
4.6
声優
4.3
音楽
4.2
キャラ
4.2

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

その手紙の"宛名"には「愛」がこもっているんです・・・。

この物語は、生き別れた姉妹がお互いに手紙を出して絆を確かめ合う話です。
物語としては、それ以上でも、それ以下でもなく、平凡です。
本編に出ていたキャラもベネディクト以外はお情けで出ている程度。
ヴァイオレット自身も本編で愛を確かめた後なので、淡々としている感じです。
正直、本編からの惰性感は否めません。

しかし、観るべき対象を姉エイミーと妹テイラーに移すととたんに面白くなります。
ヴァイオレットは、もうサブキャラでいいです。
タイトルも「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」改め「エイミー」にしましょう。
まさしく「外伝」と呼ぶにふさわしい内容でした。

内容としては、本編にはなかった新しいパターンが登場します。
本編では、手紙の差出しは、どちらかと言うと一方通行でした。
しかし、この物語では、姉妹がお互いに手紙を出します。双方向です。
今までいろいろなパターンを見てきましたが、もう一捻りしてきましたね。

そして、もう一つ大切なことがあります。
それは、"宛名"にフォーカスしたことです。
今までは、どちらかと言うと手紙本文にばかり着目していました。
宛名は、手紙を出すのだからあって当然のことのように触れられてきませんでした。
しかし、この物語では、"宛名"そのものにフォーカスを当てたのが良かったです。

"宛名"は、ただの名前であり、自分の気持ちを表現した文章ではありません。
しかし、そこにもちゃんと「愛」がこもっているのです。
この物語では、字を覚えたての妹テイラーが、姉エイミーの"宛名"を書きます。
字を覚えて初めて書く自分以外の人の名前です。
それこそ、かけがえのない大切な人のはずです。
また、テイラーが書く字は、まだたどたどしいです。
しかし、エイミーにとっては、妹の成長を感じられる貴重なものとなったはずです。


最後に湖のほとりで姉エイミーが妹テイラーの名前を叫ぶシーンがあります。
私は、このシーンがとても好きです。大好きなのです。
このシーンのためだけにこの物語のすべてがあったと言っても過言ではありません。

このシーンは、本当にすごく広いところで呼んでいるような臨場感があります。
それは、エイミーの顔をアップに映しても、感じるその空間の広さは変わりません。
空の高さ、空気感、光の当たり具合、なびく髪、すべてに躍動感が感じられます。
そして、妹からの手紙を胸に抱いたエイミーの"幸せ"そうな笑顔。
このシーンの直前にテイラーは、郵便配達は、"幸せ"を運びたいと言っていました。
その願いがかなったのです。
エイミーのこんなにも幸せそうな表情を見せられると、こちらまで幸せになります。
それは、心の底から"幸せ"があふれ出ているからです。
私が今まで見た作品の中では、いちばん自然で、いちばん素直な笑顔でした。
そして、その笑顔を見ていると、なぜだか涙が出てくるのです。


妹テイラーは、姉の"宛名"に「愛」を込めて「幸せ」を伝えました。
そして、姉エイミーも"幸せ"だよと、妹の"名前"に「愛」を込めて叫びました。
きっと、その「愛」は、遠いけれど同じ空の下の妹に届いたはずです。

エンドロールに流れる茅原実里さんが歌う主題歌「エイミー」。
エイミーが叫んだときの高い空、そして、遠く離れた空の下のテイラー。
その2つの空は遠く離れていても繋がっています。
それと同じで二人もとても強い"絆"で結ばれています。
そのことを感じさせるとても良い曲でした。

投稿 : 2022/01/01
閲覧 : 229
サンキュー:

27

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