「映像研には手を出すな!(TVアニメ動画)」

総合得点
80.0
感想・評価
583
棚に入れた
2213
ランキング
465
★★★★☆ 3.8 (583)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

クリエイターとは何か

これは「まだまだ改善の余地ばかりだ」と、主人公のセリフを借りてみます。
それは、最終12話がちょっと拍子抜けな感じがして残念だったからです。
11話までに感じた熱量がすっとしぼんでしまったようでした。
逆に11話までは、非常に面白いと思った作品でした。


この物語の主人公は、映像研の3人の女子高生です。
・浅草みどり…アニメは設定が命が信条の監督・設定・脚本・演出。
・金森さやか…利益を生み出すことが大好きな現実主義のプロデューサー。
・水崎ツバメ…キャラクターの動きを描くことが大好きなアニメーター。

この作品は、この3人を通じてクリエイターとは何かを教えてくれました。
なるほどと思ったところを登場人物のセリフからピックアップしてみます。

{netabare}
■「重ねてみますか」

第1話で、浅草の描いた背景画に水崎の描いたキャラを重ねるシーンのセリフです。
重ねるのは、二人の絵だけではなく、アイデアや想いです。
その想いが重なると次から次へとアイデアが湧いてきて、つながっていきます。
そして、3人の目の前には、壮大なイメージが広がっていきます。
クリエイターが新しいことを始めるときには、このわくわく感が大切です。


■「やってやろうじゃないの」

第3話で、水崎がプレゼン用の作画をやることに覚悟を決めるときのセリフです。
やはりアイデアや妄想ばかりだけではだめです。
想像しているだけでは、創造(クリエイティブ)にはなりません。
創造をするためには、覚悟を決めて行動を起こすのがクリエイターです。


■「こいつら予算なくてもやるタイプじゃん」

第4話で、プレゼン後に生徒会書記が3人を見て言ったセリフです。
普通の人は、予算が無いとできませんと言います。
そうかと言って、予算を付けてもそう言う人に限って、すごいことにはなりません。
逆に、すごいやつは、実は、予算がなくても裏でやれることはやっています。
そう言うやつに予算をつけるともっとすごいことをします。
しかし、ここにも罠があります。
裏で頑張っていても、予算がついた途端しがらみで身動きができないやつもいます。
予算の有無やしがらみに関係なく、熱意と行動があるやつが真のクリエイターです。


■「こいつらめんどくせー」

第5話で、ロボ研が3人に対して言ったセリフです。
普通の人にとってみれば、どちらでもいいことに悩むのがクリエイターです。
妥協とは、一度、悩んだ人が言うセリフです。
なにも悩まずにどちらかに決めるのは、妥協ではなく考えていないだけです。
クリエイターは、妥協はしてもいいですが、考えを放棄してはダメです。
クリエイターから考えることをとったら、それはクリエイターではなくなります。


■「あんたがだめだと思うから、この作品はダメなんですよ」

第6話で、金森が浅草に言ったセリフで、この後こう続けています。
「みんなはあんたが指示したものに近づけるために最善をつくしている
 それは、あんたがいいものを想像(創造)していると期待しているからです」
クリエイターは、自分を信じ、自分を貫いていくしかありません。
また、自分を貫くからには、すべての責任も自分にある、そんな覚悟が必要です。
他人は、自分を信じられない人に対し、信じてついていこうとは思いません。


■「だれも知らない店に客なんか来るわけないんだ」

第9話で、金森が漏らしたセリフです。
いい作品だからと言って、自然と客が観てくれるわけではないことの例えです。
クリエイターが一番無頓着かつ勘違いしているところをバシッと指摘しています。


■映像研には「手を出すな!」

第4話で、金森が「生徒会には手を出すな」と言っています。
この意味は、そのくらいやっかいだから「手を出すな」と言うことです。
これをそのままあてはめると、映像研はやっかいだから「手を出すな」となります。
確かに、個性もこだわりも強いし、詭弁やら屁理屈やらで、まくし立ててきます。
面倒くさいことこの上なく、映像研には手を出さないほうが無難です。

しかし、すごいことを実現し、実績が積みあがってくるとどうでしょうか?
一転して、その意味は「手を出すな!好きにやらせろ。」に変わってきます。
クリエイターとは、最後には、そのくらい人に認められないといけないのです。
また、そうなれば、好きなこともできるようになります。

ここまでくれば、クリエイターとしては、他人から見たらゴールなのでしょう。
しかし・・・、


■「純粋な評価欲しい。この悩みは一生抱えてくんだなぁ」

第12話の水崎のセリフです。
クリエイターにはゴールは無く、一生クリエイターなんだと悟っています。
クリエイターの終わりは、クリエイティブをやめたときだけです。
{/netabare}

■まとめ

この作品は、最後が少し残念でしたが、それを差し引いても面白い作品でした。
特にイマジネーションの広がりと言う抽象的なものの描き方がすばらしかったです。
現実世界からイメージ世界へシームレスにつなぐ演出は、なかなかのものでした。

投稿 : 2022/01/22
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