「古見さんは、コミュ症です。(TVアニメ動画)」

総合得点
71.5
感想・評価
276
棚に入れた
941
ランキング
1281
★★★★☆ 3.6 (276)
物語
3.4
作画
3.6
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.6

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ネタバレ

エイ8 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

古見さんは、「こみ」さんです。

『古見さんは、コミュ症です。』(こみさんはコミュしょうです)は、オダトモヒトによる漫画作品。
同年10月よりテレビ東京ほかにてテレビアニメ化され、2022年4月より第2期が放送予定(wikipedia)

古見さんを「ふるみ」さんだと思ってたくらい全く前提知識のない状況で視聴開始。のっけから新海な色合いの中秒速3センチぐらいのスピードでてくてくと歩いてくる美少女。主役級だろうと思われる彼女のキャラデザが何となく「恋は雨上がりのように」のあきらに似てたのでどちらかというと情緒的な作品を想定したらバリバリのハチャメチャコメディだった。

タイトルにはコミュ症とあるが、少なくともうちでは「こみゅしょう」を変換すると「コミュ障」とでる。「障」を「症」に代えてるのは何らかのコードに抵触するからか。正直、表現として「障」より「症」の方が緩和されているとはとても思えないのだが、どうも「障」の方は本当に認定された障害のようなのでそれが理由になっているのかもしれない。

主人公の只野 仁人(ただの ひとひと)は特徴のないモブキャラ属性で、最近の少年漫画系ではごくありふれた設定ではある。そしてそんな彼がどういうわけか才色兼備カリスマの古見 硝子(こみ しょうこ)と仲良くなるというのもありがちな流れ。
驚いたのはそのことを理由に彼は教室内でいじめと言っても過言ではない行為を平気で受ける描写が多発することだ。学級委員を「押し付けられた」などとギャグテイストでやっているが、正直この流れに嫌な気分になった人も中にはいるだろう。自分はそのうちの一人だ。もっともその後、コミカルに拉致監禁されたシーンを見てどうでもよくなったのだけど。

これは案外発見だな、と思った。昨今の創作ものではほんのちょっとした「嫌悪感」を感じさせるシーンすら問題になることが多いため特に創作者は色々と気苦労も絶えないと思われるが、それを覆い隠すにはより突拍子もない嫌悪感シーンを上手くコミカルに演出させればいいわけだ。教室内でハブられたり委員をやらされるなどというのは「いじめ」を想起させるが、それはある種の「不気味の谷」に似た現象と言えるかもしれない。一方でクラスメイトの女子の部屋に拉致られるなどというのはさすがに現実味が無さ過ぎてギャグとして通るため遡及的に前者の嫌な感じすら軽減させてくれることになるわけだ。(もっとも男女の役割が逆だったり、作品が「ウシ〇マくん」のような内容だったらそうとも言ってられないのだけど、それはそれで初めから別の見方をすることになるだろうから少し事情が違うと言っていいと思う。)

本作における〇心院さん(byめだかボ〇クス)こと長名 なじみ(おさな なじみ)がいてくれることにより物語はスムーズに進むことになる。というか、なじみクン(15)ががいないことには話進めるのはちょっと難しそうだ。只野くんはありがち受身形男子設定なので自分から能動的に動くことなど滅多にないし(実際、夏休みに偶然彼女と遭遇してもシカトした)、ヒロインの古見さんはそれどころの騒ぎじゃない。これがありがちラブコメとの差ではある。大人しい男子をハイスペ美女がリードするという昨今の定番ものとは一線を画する。一応最初は、只野くんはあくまで古見さんとなじみちゃんがコミュニケーションをとるための通訳として呼ばれている形で始まっているが、実際は只野くんと古見さんの間を取り持つ形としてなじみちゃんがお節介を焼いている。

現状作品はこの三キャラを中心にまわっており、他のキャラはその回ごとの扱いとなっている。山井 恋(やまい れん)のみがやや中心に近い位置取りにあるものの、彼女の仲間たちは完全にモブキャラ扱いで一人の女子に至っては顔すらなかなかまともに映してもらえないという非情な扱いを受けている。(甲冑系女子とかキャラ立ってるのに……どうして……)

尾根峰 ねね(おねみね ねね)が只野に「いじめ」を受けているのではないかと心配したのは前述したような意見が作者のもとに寄せられたからではないかと邪推している。少なくとも一度は本人の口から否定させないといけないし、またクラス全体が敵というわけではないということを示す必要があったんじゃないか、と。(というか、途中まで先輩だと思ってた……)

物語は基本的に学校生活を通じた大きなイベントごとを消化する形で進んでいく。ちゃんと設定が練られているという感じはしないが、それがマイナスに出るタイプの作品ではない。(例えば最初なじみが登場した時に「虚言癖」あるとされていたが、性別のこと以外でそれが出たと思われる描写は記憶に無い。また、古見さんがメイド服を着る時ミニスカートを恥ずかしがるシーンがあるのだが、いやいやあんた普段の制服パンツ見えそうなぐらい短いスカートやん、とか。多分掘ればもっと出てくるが、あまりどうということもないことばかりだと思う。)

えげつないレベルの「コミュ症」である彼女が受け入れられるのはそれを補って余りあるほどの美貌がそうさせているだけという不都合な真実は……まあもうみんな気づいているよね。だけど多分、この中で只野くんとなじみちゃんだけがそんなものが無かったとしても仲良くなってくれたのだろうなあ、とは感じた。
(厳密に言うとキャラ設定上、尾根峰さんや尾鶏さんなんかもそうなんだろうけど)

基本的に肩の力を抜いて楽しめるコメディ作品ではあると思う。もっとも、前述のような嫌悪感を伴うかもしれない描写があったりだとか、そもそもの古見さんが特殊すぎる等やや癖のある作品でもあるため、多少人を選ぶだろうなという気もするが。

投稿 : 2022/03/05
閲覧 : 201
サンキュー:

4

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