「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~(TVアニメ動画)」

総合得点
79.2
感想・評価
508
棚に入れた
2033
ランキング
505
★★★★☆ 3.6 (508)
物語
3.8
作画
3.4
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.7

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

生活水準の描写と貴族社会の設定。異能に頼らない本づくり。素晴らしい原作の丁寧なアニメ化。

 一般的な転生もので、例えば転生したら、農業やりたい、薬屋やりたいといって、魔法、魔法道具、スキル、古代の遺跡などで、必要な道具や万能道具を作り出して、農村や薬屋を営みながらハーレムというのがあります。
 そう言った作品の場合、そこで出来た品を商会で売って、異次元の金持ちの生活水準を達成する、あるいは平穏無事に何不自由なくスローライフみたいな感じが多いと思います。

 このパターンじゃない異世界ものって結構数少ないです。
 異能がないのが「戦国小町苦労譚」ですけど、異世界ではないですね。それに本作に比べて衛生観念や生活上の苦労はかなりマイルドです。

 さて、本作です。本作の凄いところは排泄などの衛生観念から始まるところですね。シャンプーやかんざしと言ったモノのの概念だけでなく、文化や生活水準を丁寧に描いています。
 マインが魔法の力を持ちますけど、それで成り上がるのは神殿に入る時くらいです。とにかく本づくりに関しては知識だけで勝負する。しかも、病弱設定で家族や幼馴染を頼らないといけないもどかしさ。

そして、すごいのが階級による価値観の違いですね。貴族とマインそして庶民。所得水準の差はわかりますがマインの現世との差ですね。ここがものの価値だけでなく、文化の違いによる道徳的な価値観の差まで表現していました。ここは他の異世界ものが現代日本の道徳的、倫理的な行動原理をそのまま移植しているだけなのに比べ、極めて物語として作り込みが高度だと思います。

 識字率や数字の扱いなどもマインの成り上がりに上手く寄与しています。この辺を家族を使って上手く描きました。ヒューマンドラマとしての家族というだけでなく、どういう世界なのかを家族を使って説明していたと思います。

 商会と仲良くなって儲け話、というテンプレの設定でなく、女性作家ならではのファッション、美への欲求を丁寧に描いて、マインがどうやって認められて立場を作ってゆくか、という話がすごく自然なのにすごく痛快で興味を惹かれるという構造になっています。

 同様に食事についてももちろん価値を生み出しますが、アニメではマイルドでしたが、原作はブタの屠殺などが描かれていまいた。匂いの描写がこれでもかとありました。動物脂由来の石鹸の匂いと植物由来の差なども描いていました。アニメでも鶏の首をはねたりしていましたね。

 で、魔法の力ですね。あの将来の愛人の道に入る少女との出会いのエピソード。これまた上手く封建的な貴族世界の女性の生き方についてと組み合わせていました。
 本作のエピソードの面白さはこういう貴族社会の設定が緻密にできているからこそでしょう。

 何より本そのものが常にストーリー、そしてマインのマインドの根底にありました。粘土板のところの絶望とか胸が本当に痛くなりました。


 アニメの出来についてです。今キンドルで原作の第1部がお安いので読んでます。で、同時にアニメの1期をポツポツと見返しています。原作と比較してどこが良いのかを考えてみました。

 で、原作を読んで関心したのがアニメは原作に忠実なだけでなく、原作の分かりづらいところはアニメの方が丁寧に作られているし、同じ場面のセリフでもアニメの方が口語として自然なように「てにをは」や句読点のつなぎが、言い換えられていました。
 それに、デフォルメマインの描写を使ってモノローグで原作ではページを費やさなければならない部分を上手く省略、場合によっては補完しています。

 そして、14話で神殿の部分まで描いています(1部兵士の娘です)。テンポの良さと丁寧さを両立しています。構成や脚本、演出のレベルが相当高いのだと思います。

 作画もちょっとマインがロリすぎて過小評価していましたが、今みると丁寧には作っていますね。ちょっとクリーチャーとか細かい描写が安っぽいところがあるものの、物語を楽しむのに必要十分だと思います。
 で、気が付きましたけど、髪のツヤってマインの洗髪の方法を知っている人だけツヤがあるですね。そういうところにこだわりを感じました。

 なお、原作では本に至る道のりを文明史における発明発見に基づいてサブタイトルがついていました。そういう順番で話が展開しています。

 ちょっと書きだしたらきりがないですね。原作読み終えて追記があれば後ほど。


 かなりの長編ですけど、これは一気に読めそうですね。でも全部集めると30冊かあ。3万円オーバー…うーん。ただ原作者リスペクトなら金は出しましょうかね…ブック〇〇…どうしましょう。

 本好きの下剋上って1320円でちょっとお高いんですよね。普通の文庫サイズのラノベにしてくれないかなあ…(1冊6,7万字じゃね?と以前書きましたが、12万~15万くらいありそうですね。間違えていました

→更に訂正 10巻くらい読みましたがどんどん長くなっている気が…20万字を超えることもありますね。400頁超で1頁が場合によっては600~700字くらいありそうです。ラノベ2冊分は優にあるかも。

投稿 : 2022/04/24
閲覧 : 467
サンキュー:

25

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

nyaroが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ