「平家物語(TVアニメ動画)」

総合得点
77.3
感想・評価
341
棚に入れた
1066
ランキング
624
★★★★☆ 3.9 (341)
物語
3.8
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

とりあえずの簡単な感想

 原作は未読。
 「平家物語」というものの存在を知ったのは小学校低学年ぐらいの頃で、平家が滅ぶ様を
描いた内容だと知ると、「勝ったのが源氏なら『源氏物語』とすべきでは?」と思ったのを
記憶しています。
 その頃は「源氏物語」という作品があるなんて知りませんしたし、敗者を主人公とするという
感覚も分からなかったみたい。

 絶頂期にあった平家が壇ノ浦で滅ぶまでを描いた本作は全11話という短さもあって、
より呆気なく滅んでしまったという感が強まっている感じ。
 滅ぶに至るには「敵を作りすぎたかな」という印象で、そこには驕りや強引な反対勢力叩き
などがあったとは思うが、これまで皇族や公家のみで行われていた朝廷政治に武家が
食い込むにはかなりの強引さは必要であっただろうし、初の武家政治ということで参考にすべき
前例がないというのもハンディかなという感が。

 この平家の滅びに至る様はあの有名な「祗園精舎の鐘の声」から始まる冒頭部そのものと
いう感じだが、これは平家に限ったことではなく、平家を都から追いやった木曾 義仲は
作中において平家より早く退場。
 その木曾 義仲や平家を倒した源 義経、義経を実質的に倒した源 頼朝から始まる
鎌倉幕府将軍家三代など、いずこも同じという感じで、この辺は現代に至るまで通じるもの
なんだろうなと改めて思ったり。

 設定?としてはびわという架空の人物が主人公で、最初は「歴史もので何で架空の人物を
主人公に?」と思ったりもしたが・・・。
 史実では一人の人物が同時代の様々な出来事に関与しているというのはそうあるものではない。
 そのために実在した人物を主人公にすると、時代全体ではなくその人物視点となる人物記的な
ものになるか、あるいは主人公に「実は裏で様々なことに絡んでました」的な
フィクション要素を付加することが多かったりする。
 本作が平家全体の行く末を、原作に沿った形で描くものであることを考えると、特定の
実在人物を主役にするのは難しそう。
 本作において、平家の当事者での主人公的存在は平 重盛、平 徳子辺りだと思われるが、
重盛は話途中で死んでしまうし、徳子は高倉天皇に入内するために平家中枢にいる人物とは
言い難くなるしで、全体における主役にするには難しい感じ。
 そういう点では、当事者ではなく俯瞰的に行く末を見ることのできる第三者のびわを主役に
据えたのはなかなかの好判断だったのでは?。

 このびわだがストーリーテラーでありつつ、俯瞰的に事象を見るという点では視聴者視点に
近い存在。
 更に彼女が持つ未来予知能力は、歴史ものであるゆえに結果を知っている視聴者と同じ状態で
あり、より視聴者に近い存在になっているように思える。

 この予知能力だが、純粋なフィクション作品のSFやファンタジーであるなら、当事者が
未来を変えようと行動することが物語が動いたりするが、本作は歴史ものゆえに未来を
知ることはできても、変えることはできないものになっており、当事者であるびわにとっては
かなり辛い能力という感じ。
 終盤になってびわは自身の目的を見出すが、これが平家への鎮魂でありつつ、自身への
救いにもなっており、びわが平家のことを語り続けるという行為は、実際の「平家物語」が
琵琶法師たちによって琵琶を弾きながら語り続けられたことに繋がっており、「なかなか上手い
構成だな」と思う。

 多くのエピソードを持ちながらもそれが語られることなく終わったキャラも多く、これは
源氏サイドのキャラに顕著。
 残念感はあるのだが、先に書いたように全11話の短さで、平家の行く末に焦点を絞った
作りゆえに致し方ないところ。

2022/04/20

投稿 : 2022/04/20
閲覧 : 168
サンキュー:

13

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