「劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』[前編]君の列車は生存戦略(アニメ映画)」

総合得点
72.9
感想・評価
23
棚に入れた
155
ランキング
1075
★★★★☆ 3.9 (23)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.8
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

リサイクル?いいえ、リ・サイクル

TVシリーズから10年。
この期に及んで、まさかただの総集編(リサイクル)ってことはないよね?
一抹の不安を抱える中、上映が開始されました。
すると見覚えのないシーンから始まります。

私の場合、TVシリーズは、昨年、始めて観ました。
そして、劇場に行く前に予習で少し観返しています。
つまり、記憶は、新鮮のはず。
それにも関わらず、知らないシーンの登場です。
ああ、よかった、単純な総集編ではなさそう・・・。
そう安堵する私。

しかし、それも束の間・・・。
あれ? あれ!? あれれ!!
その後は、見覚えのあるシーンのオンパレード。
しかもTVシリーズを知らないと、意味不明と思われる展開。
しまった!失敗したかな?と思ってみたりします。
でも、好きな作品なのでスクリーンで観られるだけでも幸せ・・・だと思おう。

そんなふうに少しもやもやっとしたものを抱える中で迎えたクライマックス。
そこで、私は、この劇場版の真意を目の当たりにするのです。
後編がとても楽しみになってしまいました。


■「運命の至る場所」
{netabare}
物語の舞台は、地下鉄テロ事件の現場となった丸ノ内線をモチーフにしています。
そして、登場人物たちはこの事件に人生を翻弄された人たちです。
つまり、丸ノ内線が登場人物の「運命」そのものを表しています。

また、3人の兄弟妹の住む場所は荻窪です。
そして、妹「陽毬」が息を引き取った場所、それが水族館のある池袋です。
荻窪も池袋もどちらも丸ノ内線の終点(両端)です。
荻窪から運命という列車にただ乗っているだけだと、たどり着くのは池袋。
そして、そこで待っているのは妹が死んでしまう結末なのです。
つまり、何もしなければ、そこが「運命の至る場所」になってしまうのです。
運命を変えたければ、運命を乗り換えなければいけません。
{/netabare}


■「運命の乗り換え」が唯一の「生存戦略」
{netabare}
列車の乗り換えって面倒ですよね。
でも、もし、今、乗っている運命と言う列車の至る場所が望むべきところではない、
そのことが分かったのなら、取りうる選択肢は4つあります。

(1) それでも、そのまま乗り続け、甘んじてその運命を受け入れる。
(2) 運命と言う列車から降りてしまう。
(3) もと来た路線を引き返す。
(4) 別の運命と言う列車に乗り換え、そして、別の場所へ行く。

(1)は、物語にならないので論外ですが、問題は、(2)と(3)です。
(2)は、運命、言うなれば人生を降りてしまうのですから死を意味します。
 そもそも生きることが目的なのでこれは選択肢から外れます。
(3)は、過去へ戻る、もしくは、やり直すことを意味します。
 しかし、人生は、未来にしか進みません。
 不可逆的でやり直すことはできないのです。
 この物語でも妹「陽毬」の死は、先延ばししただけです。
 過去に戻って生き返ったわけではありません。

つまり、消去法で、「生きるため」には(4)の選択肢しかないのです。
すなわち、「運命の乗り換え」こそが唯一残された「生存戦略」なのです。
なので、この物語の登場人物達は、運命を乗り換えようと必死にがんばるのです。

列車と言うものの特性を使い、「運命」を上手に表現した物語だったと思いました。
{/netabare}


■後編が楽しみ
{netabare}
果たして、物語の後半で登場人物達は「運命の乗り換え」に成功するのでしょうか?
もちろん、TVシリーズでその答えは出ています。
しかし、本当にその通りとなるのでしょうか?
はたまた、違った展開になるのでしょうか?

TVシリーズの最後では、記憶をなくし子供に戻った兄弟が登場します。
その兄弟が劇場版で再び登場し、あることを通じてかつての記憶を辿っていきます。
それがきっかけとなり「再び(RE)」運命の「輪(cycle)」に巻き込まれていくのです。
そして、今、ここに運命に翻弄された登場人物達の"舞台"が「再び」始まるのです。

この作品は、TVシリーズを上手く「再利用(リサイクル)」しつつ、
「リ・サイクル」として、TVシリーズには無い新たな展開が期待できそうです。
後編がとても楽しみです。
{/netabare}


■まとめ

劇場版アニメを公開初日に観る日がくるなんて、夢にも思いませんでした。
1年前まではアニメをほとんど観てこなかったので、私にとっては大きな変化です。
自分の中でアニメの存在がそれだけ大きなものになっていたんだなと実感しました。
私も「運命の乗り換え」をしたのでしょうか?
・・・少し大げさでしたね。すみません・・・。
でも、少なくとも今までとは行先の違う列車に乗り換えたのは事実なんだと思います。
なぜなら車窓から見える景色が1年前とは違いますから・・・。

投稿 : 2022/04/30
閲覧 : 257
サンキュー:

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