「からかい上手の高木さん③(TVアニメ動画)」

総合得点
75.8
感想・評価
322
棚に入れた
960
ランキング
750
★★★★☆ 4.0 (322)
物語
4.0
作画
3.9
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

エイ8 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

あざとさ増し増し高木さん

『からかい上手の高木さん』(からかいじょうずのたかぎさん)は、山本崇一朗による日本の漫画作品。
第3期『からかい上手の高木さん3』は、ネット局が従来のTOKYO MX・読売テレビなどから毎日放送・TBS系列に移行・全国ネットに昇格し、2022年1月から3月まで同系列の『スーパーアニメイズム』枠ほかにて放送された。(wikipedia)

もはや苗字さん系のパイオニアにしてレジェンドと言っても過言ではなくなってきた作品の三期。彼女の登場以降数多のフォロワーが産まれてきましたが未だその座を脅かすほどの勢いのある作品は登場していないのはではないでしょうか。次点にようやく古見さん辺り?

もっとも過去には「涼宮ハルヒの憂鬱」などというフルネームさんがおりましたし、さらに遡れば『じゃりン子チエ』『エスパー魔美』『あさりちゃん』などという錚々たるガチレジェンド達は有らせられるものの、案外本当に「苗字さん」系って無くないですか?気づいてないだけ?「はいからさん」……は、あれ苗字じゃないですよね?『GS美神』は敬称略ですし……うーん、ちょっとわからないです。教えて、一休さ~ん!

それはさておき、レビュータイトルにも書きましたが彼女本当にあざとくなってきてません?一期の頃はもっと子供っぽく微笑ましい「からかい」方をしてたような気がするんですが、回を重ねるにつれ段々と「からかい」というより「あざとい」感じになってきたように感じます。こんなに女をちらつかせるような子じゃなかったと記憶してるんですがね、彼女。あんまりにも西片くんが照れ屋さんなんで強行突破の糸口を探しているのでしょうか。

高木さんガチ勢の中には西片きゅんこそ至高にして至宝という方も少なくないと思われますが、かくいうわたくし自身も本音のところ今の時代中学二年にしては貴重ともいえる彼の天使のような純朴さが汚されやしないかと毎回ひやひやしながら観ておりました。
とはいえ実際問題、彼女ちょっくら自分に自信ありすぎじゃないですか?絶対自分が可愛いってこと知ってるでしょ。その上「え、まって。西片絶対わたしのこと好きやん~wwww」とか思ってそう。じゃないとあんな「からかい」できます?実は原作の最初期あたりの高木さんってもっときつい目つきをしていて、どちらかというとギャル的な子を想定していたんだと思います。もっともすぐに今のようなくりっと大きなおめめになりましたが、多分当初は本当の意味で素朴な男子を揶揄う感じにするつもりだったんじゃないかと。それがいつの頃からか両想い的な伏線が見え隠れし始めたかと思うと高木さんがぐいぐい行き始めたんですよね。

(追記・レビュー後一巻からちょっと読み直してみたんですが……わりと初めからちらつかせてましたねwおっかしいな~、記憶と違う(;´Д`)ギャル的なからかいというのは合ってたんですが。
回を重ねるごとに高木さんが大人びていく反面、西片くんは子供っぽくなってる感がありますがアニメはこっちがベースなのでその印象が強いのかも。逆に言うと原作最初の頃は割と普通の中学生っぽいですね。)

高木さんってハイスペ女子にしては珍しく自分の方が優位に立てる男子に目を付けてますよね。現実なら彼女みたいな美人で大人びた子は年上あたりに恋するような気がします。まあ田舎すぎて対抗馬がいないというのはありそうですが。
でもあんなからかい方って本命にはむしろ出来ないんじゃないでしょうか?自分が相手よりも絶対的上位に立っているという自覚があるからこそできるからかい方な気がします。ローカーストの男子としては強く出るわけにもいかないし本気にするわけにもいかないしかといって飽きられるのも嫌だし……と、危うく非モテ陰キャの悲哀が漂う作品になるところでした。

一方で実際に高木さんがそれなりのハイカースト男子相手に今のようなあざとい「からかい」をやってたら他の女子達からしこたま嫌われるだろうなという気はします。
これは相手が西片きゅんのような人畜無害な天使相手だからこそ成立する……いや、まてよ?そういや高木さんって、女子達からも「高木ちゃん」と苗字呼ばわりされてるんですよね。うーん……やはりそこはかとない壁のようなものを感じます。表には出しませんが、やはり他の女子達も内心では疎んじてるのかも。でもこれ真野ちゃんも北条さんもですよね、オトコの存在を匂わせる女子は嫌われるんでしょうか。

そもそもの話として相手がハイカースト男子ならお得意の「からかい」が通用するかどうか自体微妙なところでしょう。割と簡単に転がされるんじゃないでしょうか、未来の娘を笑ってられません。案外彼女、実はめちゃくちゃプライドが高くてそういう力関係が低い位置にいるのが耐えられないから安パイの西片きゅんを選んだのかも。映画を誘う時「肝心なところで勇気がでない」と嘆いておられましたが、万が一断られなんかしたらプライドズタズタですもんね~。
どうです西片くん?ここはいっちょ月本さんあたりに近づいてみては?あの子も陸上部みたいですし案外話し合うかもしれませんよ。北条さんとちょっと話しただけで焼きもち焼く高木さんはどうなってしまうんでしょうかね。たまには彼女の方をやきもきさせるのもアリかもしれませんよ。
(余談ですけど、ミナちゃんにしろサナエちゃんにしろ、ああいう色恋にまーったく興味がないってタイプに限ってある日突然しれっと恋人作ってたりする現象、あれ何なんでしょうかね?で、ユカリちゃんみたく恋愛に憧れてる子がなかなか出来ないのは。やっぱり恋に恋しちゃうとシチュエーションとかにこだわりすぎて贅沢になるからでしょうかね?)

まあ身も蓋も無いことを言えば結局のところ本作もよくある男子向けラブコメの文脈にあるわけで、そりゃ特に女子側は何があっても一途であってくれないと困るわけなんですが、あえてリアル路線に考えるとどうなるんでしょう。
バレンタインの回で高木さんは事前に西片くんがチョコ三つ貰ってたのを知ってたわけですが、その後の女心がイマイチよくわかりません。自分の男がモテるというのは価値が認められてるとの現れでもありますからむしろ得意になっても良いところでは?というか一つだけならともかくいきなり三つもだなんて彼女の慧眼をもってすれば一目でおかしいことに気づくでしょうに。実際視聴者からすればあのシーンなんて出オチさながらのオチバレっぷりでしたし。高木さんともあろうお方が何というイージーミスでしょう、やはり恋は目を曇らせちゃうようです。ですが幸か不幸か、柴崎くんのようなイケメンなら犬役しようが何役しようがモテますが、西片くんのような冴えない男子が映えまくる演出決めてカッコいいとこ見せつけたところで女子はだ~~~れひとり見向き一つしないもんなんですよね、普通は。あれ?何故だろう涙でてきた……おや?そこのあなたも?(´;д;`)

実際のところ西片くんが初めからハイスペだったりしたら浮気リスクや略奪リスクなんかもありますが、ポジション的には高尾くんや木村くんと同一線上にいるわけじゃないですか、何を心配することがあるのでしょう(失礼)。対して高木さんは文化祭の演劇でオーディションもないままヒロイン役に抜擢され異論もないという完全なるクラスの花形ポジション。うがった見方をすれば一種のいじめという可能性もありますが、まあこの作品上では無いですよね。あるとしたら木村くんの方。
それで西片くんが他の女子にでれでれしたり調子乗ったりしたらわかりますけど、それ以前の話で嫉妬しちゃってる。ものすっごい独占欲が強い子なのかもしれませんね。その一方でそのことをすぐ反省するというか、自己嫌悪しちゃうというある種成熟した精神も持っている。割と人生しんどそうなタイプなのかも。

一見すると二人は不釣り合いな格差カップルで、どちらかというと西片くんの方が高木さんに(飽きられないためという意味でも、スペックを上げるという意味でも)近づいていかなければならないところだと思うんですが、描写的に二人の仲は暗黙の了解みたいなとこあるんで外からみてるより作品の内側ではお似合いのカップル扱いなのかも。正直高木さんは恋してるが故に西片くんが過剰にキラキラして見えてるだけと思ってたんですが必ずしもそうでないのかもしれません。
実際最終回の西片くんは大長編のび太さながらの主人公っぷりでしたしね。日頃走りこんでる割によくコケるなこいつとは思いましたが。

そういう意味から言えば、高木さんもこちらが思ってるより自分に自信があるわけではないのかもしれません。だとすればチョコを見つけて狼狽えたのも理解できます。西片くんが誰を選ぶかはわかりませんもんね。ヘンにからかいまくってることが仇となってる可能性もあります。表向きには西片くん、あれ嫌がってますもんね。それでも尚止められないのは愛情故か一種の性癖か……少なくとも彼がドMで本当は嬉しがってると思っているわけではないようです。もしそう考えていたのなら「からかい」続けりゃ気持ちをずっと自分に向けていられると思うでしょうから。

スピンオフとはいえ他作品の「元高木さん」への言及なので一部隠します。
{netabare}
結果的に二人は結婚することになるんですが、そのまま直行でゴールを決めたのか紆余曲折あったのかは少し気になるところではあります。高木さんの西片くんに対する想いは明白ですが、西片くんの方は実はまだ微妙なんですよね。彼の精神面はまだ幼さが残っているので、今のままの関係を選択する可能性は充分あります、というか現状そうです。
実は西片くん、大人になると結構見た目立派になるんですよね。高木さんへの反発心から始めた筋トレ等が功を成してるようで体育教師へとなれるまでに至ります。そういう意味からいえば高木さんもそううかうかしてられないわけなんですよ、今度は本当に西片くんのことを好きになる女子が現れても不思議じゃなくなってきてますから。
一方それは西片くんからしても同じというか、他の男子が高木さんに目を付けないわけがないんです、普通は。幸いにも彼女は……というより彼女「も」互いのつかず離れずの関係性に居心地の良さを感じてる節があるんで、西片くんがはっきりした態度を示さないこと自体は今のところマイナス要素ではなさそうですが、恋のライバルが現れたあたりからどうなるか見物です。見物なんですが……この作品のコンセプトにはあってないんで描写されることはないでしょうね。

いずれにしろ結果的に西片くんは高木さんに成長させてもらったと言っていいでしょうから、ある意味互いにウィンウィンの関係になったと思います。結果的に若くして幸せな家庭を築くことができたのですからこれ以上望むべくもないでしょう。
ところでこれ単純な疑問なんですが中学の体育教師ってそんなに稼げるんですか?元高木さん、どう見ても専業主婦ですよね?田舎の家賃が安いとしても娘一人かかえて共働きなしでもやっていけるものなのでしょうか?

{/netabare}

残りは細かい点を少々。

・三期にもなって今更ですが何気に一番気になってるのが高尾くんの存在。何故に「高」尾?あまりキャラの登場しないこの作品でなんでわざわざ「高」木さんとややかぶりする名前つけようと思ったんでしょうね?適当につけたんでしょうがそれでも気づくやろ普通……まあいずれ何かの役に立てばというつもりで出席番号の近い名前をあえてつけたということにしときましょうか。でもちょっとキャラ描写に悪意ありすぎひん?

・先にそれとなく触れましたが木村くんについて。文化祭演芸の「ブタ」王子、「カエル」って感じがしないからブタ?木村くんに失礼すぎやろ。もう中学生なんだからその辺のTPOわきまえましょう。というか先生がそれとなく注意せえよ、何のためのコワモテだよ。

・415段だから「良い恋」ねえ……4151どころか1151でもさすがに段数多すぎだからそうしたのでしょうか。でもそれなら411段にして「良いI(愛)」の方が良くないですか?415だったら「良い子」の方が先にきそう。いやまあ、いくらなんでも細かすぎる話ではありますが。

ま、こんなとこでしょうか。さすがに空地への不法侵入なんかを咎めだしたらドラえもんディスってんの?ってことになりますし。そんな恐ろしいこと出来ませんし。

本作も三期ということで、ちゃんと視聴者を飽きさせないよう結構趣向を凝らしているように感じました。正直原作では見た覚えのない起伏ある内容の話が多かったような気がします。ただまあ、ちょっとあざとすぎではありますよね。高木さんだけでなくアニメスタッフも。EDとか毎度毎度明らかにアラサー以降世代狙い撃ちにしてるますもんね。一番若くて2014年の曲、一番古くて1974年とかwまあ「夢で逢えたら」も「学園天国」も定番中のド定番の大名曲ではありますが、案外市場調査したらアラ還世代も本作を支持してるとでたから、ということなのかも。

それではこの辺で本作のレビューを終えたいと思います。
おそまつさんでした。

投稿 : 2022/05/04
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サンキュー:

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