ERRUE さんの感想・評価
4.1
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
逃げは恥ではない
荒川氏が原作の作品ということで視聴してみました。鋼の錬金術師は個人的に高評価な作品だったので、今作もクオリティに期待して視聴しました。結果面白かったですね。
◎あらすじ
主人公は札幌の進学校への受験に失敗し、周りとの学力競争に嫌気が指して高校は下宿が出来る遠方の高校への進学を希望する。
両親との仲は上手くいっておらず、父親は現実主義で主人公の八軒を正論で論破してくる姿勢から親子の溝は深まるばかり。
「家を離れてとにかく遠くに行きたい」という気持ちが八軒の中に強くなり、大蝦夷農業高等学校(通称、エゾノー)に足を踏み入れる。
周りは農家の子供、自分は普通のサラリーマン家庭の子供という、今までの生活環境とはまるで違う学校生活(農業ライフ)が始まる。
◎感想
日本人の所謂「精神論」では逃げ恥と言われてしまう主人公の境遇。今作はその考えに一石を投じる答えを出したのでは?と感じました。
本作を通じて「あなたの本当にやりたい事、目標は何ですか?」と問われた気がしました。
{netabare}
周りのクラスメイトとのギャップ、一般家庭の生活からいきなり農家の生活を送る羽目になるのに、一般人なら2,3日で辞めそうなレベルだと思ったのに八軒は諦めない。
疑問に思ったことを素直に言える、周りのトラブルを自発的にしょい込むお人よしな性格でしたが、自分は凄く好感を持てました。
農業を通じて自分のやりたい事、やるべき事を模索する、生産動物と向き合う事に必要なものは?等、クラスメイト・教師陣の客観的視点と、農業未経験の八軒から見た視点で語られるストーリーが非常に面白かったですね。
周りのクラスメイトも「そういう見方もあるのか」と納得しながら八軒が抱えたトラブルをサポートするシーンも印象的でした。
今作も自分の中では良作かなと思いました。ただ見るだけでは無く、理論的・倫理的に考えさせられる内容ばかりでした。
◎追記・ばんえい競馬について
以前に、厩務員とジョッキが馬の顔面を蹴る虐待で問題になりました。
当時は「酷いことするなぁ」と表面上のことしか見えませんでしたが、この作品を見た後だと、現地の人々が何故あんなに怒ったのかが少し分かった気がしました。畜産農家や獣医がどれだけ神経を尖らせて生産動物の世話をしているのか?獣医の決断一つで怪我した馬が殺処分なってしまう現実を見せられるので、今後生産動物を見る目が変わるのではないかと思います。
{/netabare}