ERRUE さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
見る人間によっては違和感を覚える作品
正直、レビューを書くか悩みました。当時リアタイで放送されていた時は視聴を敬遠していました。巷での評価が割れていたのですが、ネガティブなコメントに躊躇していました。
モヤモヤしながら最後まで視聴しましたが、凡そ物語としてはしっかり出来ていました。キャラへの感情移入も申し分ない程伝わって来ました。
しかし「現実との乖離が過ぎる」と不快感を示す人間が一定数存在し、あくまでも”警察官の理想像”でしかない現実にモヤモヤする内容には違いなかったです。
此処からはネタバレです。
{netabare}
詳細な感想を述べる前に書いておきます。自分は”この作品に一定の不快感を感じた側の人間”であるという事です。
自分が住んでいる『滋賀県』は、皇子山いじめ事件、大学生誤認逮捕「不正勾留」、看護師冤罪事件など、新聞の一面に載るレベルの不祥事が相次いだ県です。
県民から言わせてもらえば「ウチの滋賀県警は警察では無かったのか?」と本気で思いたくなりました。
これは”本作と現実との乖離が酷すぎる”からに尽きます。
特に、後半からラストに掛けての「刑事課」が出てくる場面には違和感でした。特に「痴漢被害」「被疑者取り調べ(被害者も含む)」が絡んだお話には首を傾げることが多かったです。
これはアニメの内容が可笑しいからでは無く
「何故、滋賀県警はあんなに冤罪出しても謝罪しないし、平気なんだろうか…」
「被害を受けた側が酷い対応をされたのは何故なのだろうか?」
警察(公僕)からの不正・不法行為に苦しんだ人にはやるせない気持ちになる内容でした。
◎感想
ストーリーに関しては、現実世界で見たことがある内容ばかりなので、特に語ることは無いかなと。今作はストーリーよりも警察官キャラへの感情移入が出来たか?に尽きると思います。
河合、藤に関しては”放送禁止用語”の連発で、放送して大丈夫か?と思う言葉遣いの悪さが目立ちました。しかし、現実の滋賀県警の実態を知っていると「本気で愚痴っている警官もいるだろうな」と思ってしまう位リアルな描写でした。
一番感情移入出来たのは「牧高」だと思います。ストーリーラストで出てくるセリフに
「襲われた恐怖を完全に消し去る事は不可能だと思います。今後事件の事を思い出し夜寝られない時に、犯人は捕まって刑罰は受けたんだと思えれば、まだ救われると思います」
という女子高生の被害者に掛けた言葉が印象的でした。自分の中で「滋賀県警の刑事がこの様に親身な対応をしていたら、あんな冤罪は起きなかっただろう」と思うばかりでした。
当作品は「被害者を傷つけるのは、加害者だけでは無く警官にも言える事」を抑えていた点が良い点だと思いました。作中の被害者の聞き取り調査の場面でも、巡査長の山田は何度も叱られています。
警官の見落としや安易な判断ミスが命取りだと印象付けるシーンが多かったです。
良い意味でも悪い意味でも『警察官の日常がリアルに描けている』作品だと感じました。但し人によっては気分を害する内容を多分に含んだ作品には違いありません。
見応えのあり作品であることも事実ですが以下の方にはあまりオススメ出来ません。
・警察署や警察官の対応に傷ついた経験のある方
・誤認逮捕や冤罪、犯罪被害で苦しんでいた方
現実の警察とのギャップに気分を害する場面もあり、これはアニメだと割り切るにしてもリアル過ぎる内容なので、何かしらモヤモヤした気持ちになるでしょう。
{/netabare}