「機動戦士ガンダムUC RE:0096(TVアニメ動画)」

総合得点
68.6
感想・評価
234
棚に入れた
1219
ランキング
1974
★★★★☆ 3.9 (234)
物語
3.7
作画
4.1
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.7

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ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ミネバ様とマリーダ。2人の女性キャラ最高でした。面白いですが後片づけですね。

 ちょっとまず感情が納まらないので文句を言わせてください。この文句は超ネタバレなので未視聴の方は開かないようにお願いします。

{netabare} マリーダを殺したのは許せません。あそこまで人間として女として貶めておいて、彼女の救済がないのはきつすぎます。もちろん父と呼べる人間を得られたことはいいでしょう。でも、少しでもいいから戦いが無い世界の団欒を味合わせてあげてもいいでしょう。なぜ、ガンダムシリーズは女を大事にしない?{/netabare}

 と、文句はこれくらいにして、ヒロインは天から降ってくる。「ローマの休日」の真似事。そして、中盤の「モーニンググローリー(エウレカ26話のことです)」。いいですね。王道です。ガンダムにしてはこの2人のラブストーリーは珍しくまともでした。
 ヒロイン、ミネバ様。最高です。萌えますね。ハマーン様やガンダムWのリリーナ様もいいですけど、造形も性格も最高です。
 途中の場末の食堂のコーヒーのシーン。ここが最高にカッコ良かったですね。「ミネバザビである」。危機に際して動じない帝王学の教育を受けたと思しき態度。安っぽいアニメの演出では考えられません。物語の意味的にもミネバ様覚醒です。老人と少女のお互いが尊敬しあうような雰囲気。語り合う態度、光の演出、最高でした。ガンダムシリーズ屈指の名シーンです。

 追記 なお、ミネバ様は教育を受けているのでマナーでソースまで残さなかったんでしょうね。作法通りナフキンで口を拭いていました。それを良く食べるねえ、と勘違いしたんだと思います。
 で、ミネバ様は話を聞いているとき目をそらしません。これは上流階級…日本でもそうですが目線を動かしません。そして、おじさんに挨拶してミネバザビである、と言った瞬間に柔和な表情が王族の顔になりその後振り返らない、という場面も見せていました。
 これは読み取り方は間違っていないと思いますが、こういう演出がされていたと思います。

 あとはオードリーを名乗っていたのでノブレスオブリージュで最後は…というのでドキドキしました。

 対するマリーダもいいんですよね。ちょっとプルシリーズの悲惨な設定がやりすぎ感がありました。あの地上での娼婦の経験のシーンで下腹部の辺りに変な演出がありましたね。あれって嫌な表現だったんですけど、女としての機能が…ということなんでしょうか。

 バナージはなあ、ボーイミーツガールはいいんですけど、なんか流されキャラでしたね。最後の覚醒のカタルシスのためにあえてああいう書き方にしたんでしょうか。優柔不断というわけでもないんですけどね。主体的に行動するし決断するし。
 でも、何を考えて自分の思想を固めて行くのか、の部分が最後まで弱かったかなあと。

 全体として戦争の意味、そして兵隊として人を殺す意味をバナージが突きつけられていました。シードやエウレカなどでもありましたが、戦闘中に人を殺さないで無力化する表現。これはいいのか悪いのか。ガンダムという超兵器があるからこその余裕と見れなくはありません。通常の兵器でやれば秒で死ぬでしょう。
 マリーダとの会話でバナージは戦争のパーツとして個人の人間性とは関係ないということを説かれていました。バナージを取り巻く人々も彼の兵士としての行く末を心配して時には命がけで彼を何とかしようとしていたのに…という感じです。
 最後の結末に結びつくサイコフレームの光に平和というものを乗せたかったから、バナージをそちらに誘導したということ?あとややこしいのでバナージという名前は止めて欲しい。シャアと一瞬ややこしかったです。

 このニュータイプを戦闘以外で活かしていたのってミネバ様とマリーダだった気がします。

 フルフロンタル…ですね。まあ、ガンダムシリーズですからシャア的なものが必要だったんでしょう。3つ巴にするためのモブ感がすごかったですけどね。
 それと、リディ・マーセナス。一応バナージの当て馬だったですけど、こちらも弱かったですね。お金持ちのおぼっちゃまがミネバ様ラブで暴走しただけでした。
 
 ガンダムシリーズは本当に男のキャラが弱いですね。あの通信オペレーターの女の子とかの方がよほどキャラが描けていました。あの娘、表情とか細かい演技が良かったですね。男のキャラではあの太ったプルトゥエルブの主人になった財団の人がいいキャラでした。
 あと、男の軍人がいかつくてリアリティがある分顔の判別にちょっと苦労しました。

 結論は、出典は忘れましたが読んだか見た記憶があるのですが、秘密の家宝のありかを見つけたら「おもいやり」と書いてありました、という話ですね。なんだ「思いやりかあ」という感じです。本作についてはこんな感じした。良くある話ではあります。
 出典は実は「重い槍」があって、それは〇〇で出来ていました、ということで実利があったんですけど。

 まあ、ニュータイプは一度「逆シャア」で結論が出てますからね。あるいはガンダムXみたいに逆張りの別解もありますけど。
 本作はアムロとシャア以外の人たちの総括という感じでした。ニュータイプの社会全体の話は描けていましたが、ニュータイプとは何なのか、どう発展してゆくのかまでは見えませんでした。
 それと、ミネバ様という秀逸なキャラを産み出したわりには「ジオン」に対する「ザビ家」の総括が出来ていなかったかな。ハサウエイは相当パーソナルな話ですからね。

 作画はハサウエイほど緻密すぎて見辛いということもないレベルで最高峰でした。声優さんの演技はガンダムシリーズはうるさいですね。ただ、ミネバ様はやっぱり演技が良かったですね。特に女王様の時と恋する少女の使いわけが最高でした。

 演出として、中途半端な強敵はキャラすら出さなかったですね。時折やけに強いモブのモビルスーツがいましたね。最初のクシャトリア戦とか。これは目新しかったです。ガンダムシリーズはサブキャラ出しては感情的な話をして殺してしまうようなところがありますので、この点は工夫でした。


 総評すると、本当に面白い。22話と言う尺もちょうどよかったです。作画もいいしアニメ作品の画面としては最高峰でしょう。

 が、やっぱり逆シャアの後片付けですね。NTも見ますしハサウエイも見ますが、宇宙に未来を見られた初代からはスケールダウンしている印象です。


 ロボットアニメなのにロボット=モビルスーツについて書くことねー。ユニコーンとか最早スーパーロボットですからね。リアルロボット、戦争の現実という感じではなくなってきていますね。一応エネルギー切れとかありましたが、モビルスーツの運用部分とか全く描かれていませんでした。


 追記 そういえば13話でミネバ様が高級そうなルームサービスの食事のパンと肉でオープンサンド=ホットドックを作って、バナージの名をつぶやきました。ミネバ様クラスの貴人としてはありえない無作法ですが、これでバナージと過ごした短い時間を思い出していたんだと思います(あるいは、ホットドックを食べるような世界に戻ろうという決意なのか)。
 10話の食事とコーヒーの場面、14話の空でバナージを呼ぶシーンとこのホットドックのシーンで、ミネバ様の内面が見えてきます。
 この演出だけでも見る価値がありました。

 ここがこのアニメの演出でものすごく気に入りました。あとこの前後でマリーダの件が入ってくるのが対照的でしたね。この10話から14話くらいの女性たちの描き方は本当にすごかったと思います。

投稿 : 2022/06/10
閲覧 : 334
サンキュー:

8

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