「平家物語(TVアニメ動画)」

総合得点
75.5
感想・評価
247
棚に入れた
768
ランキング
728
★★★★☆ 3.9 (247)
物語
3.9
作画
4.0
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

日本史を学ぶきっかけとして

世界観:6
ストーリー:6
リアリティ:7
キャラクター:5
情感:6
合計:30

<あらすじ>
800年の時を超える祈りの物語
《祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす》
平安末期。平家一門は、権力・武力・財力あらゆる面で栄華を極めようとしていた。亡者が見える目を持つ男・平重盛は、未来(さき)が見える目を持つ琵琶法師の少女・びわに出会い、「お前たちはじき滅びる」と予言される。
貴族社会から武家社会へ――日本が歴史的転換を果たす、激動の15年が幕を開ける。
(公式サイトより)

アニメ視聴は引き続きリハビリ中。最近の作品で見るべきものがないか調べたところ、監督が山田尚子さん、脚本が吉田玲子さんであること、自分は受験で世界史を選択していたため、日本史は詳しくなく、平家物語についても一般教養範囲でしか知らなかったこともあり、本作を視聴することにしました。

まず、良かった点からですが、OPの「光るとき」は、さわやかな曲調に、響きのよい歌声が心地よく、最後までスキップすることがありませんでした(関係ないですが、何となくハルカトミユキさんの「17才」を聴いた時のことを思い出しました)。羊文学(ひつじぶんがく)がバンド名であることすら知らない状態から入りましたが、本曲の歌詞を読んで興味を持ち、塩塚さんの制作時の対談なども拝見しました。
とても高い視座から、歴史において滅んでいった人たちを鎮魂するとともに、現代に生きる我々までをも含めて鼓舞するものとなっている良い歌詞です。
ラップは門外漢なのでEDは刺さらなかったですが、OP曲は今年のベストかもしれません。

この、高い視座は、平家物語という本作において、歴史を既に知っている我々と同じであり、他の方のレビューで、未来を見通す目を持つ主人公のびわは、我々の視点を持って物語に登場しているといったものを拝見しましたが、まさにそのような役割を主人公が担っています。

そのため、出自の不明なびわが、当時の権力者であった平家の屋敷で清盛の息子や孫たちと楽しく生活したり、重盛に重宝されたり、源平合戦の最終局面の壇ノ浦まで平家方の船に乗り込んでいるといった場面にはリアリティを感じられないのですが、より客観的に物語を追うことができ、本作を新鮮な形で視聴者に提供するための仕掛けとしては十分に機能していたと思います。

{netabare}物語は、基本、史実や原書に沿った展開となっているため(徳子が生き残って出家するという本作の展開も、一方流系諸本を採用しているようです)、大きな驚きはありませんでしたが、源義経の鵯越の奇襲や、「人間五十年~」で有名な敦盛など、所々で自分の知っていることとつながる面白さがありました。厳島神社が清盛によって整備されたこと、兵庫県の福原に一時、都が移っていたことなどは知らなかったです。その他、物語上の出来事が、史実のものか確認したり、登場人物の名前がややこしいので、平家の家系図を見て頭の整理をしたり、日本史の勉強になりました。

あと、個人的に感動したことは、京都の祇王寺の由来が知れたこと。中学時代の修学旅行で京都に行った時に最も美しく風情を感じた寺で、大学時代に再訪し、庵の中でしばらく休ませていただきました。それ以来行けていないのですが、その存在を由来とともに思い出すことができました。(苔寺は予約が必要ですが、ここは予約不要で、こじんまりとしていますがおすすめです)

さて、本作の物語に話を戻しますが、大量の原作の分量からして1クールアニメにここまでコンパクトにまとめられたことは凄いです。ただ、登場人物が多すぎであることは明らかにマイナスの影響があります。清経の身投げや、維盛の出家の上での身投げ等、それぞれに感情移入することは難しく、歴史的なイベントを辿る展開が中心に感じてしまった部分がありました。

日本の歴史に基づく物語として見る価値があると思いますが、フラットに様々な優良作クラスのアニメと比べて、強く推奨できるだけの面白さがあるかと問われると、正直微妙な面は否めません。

キャラクターデザインは好みの系統ではないものの、独自性があるのは良かったと思います。顔をアップするシーンでは眉毛が一本一本描かれていたことも印象的でした。一方、重盛を史実以上に良い人に描いていたり、宗盛がいかにも凡庸そうに描かれていたり、源頼朝が北条政子の尻に敷かれた優男にデフォルメされていた点は、登場人物の識別をしやすくするためにやむを得ないかもしれませんが、少し安易に感じました。{/netabare}

平安時代から鎌倉時代(武家社会)への歴史の転換点を、少し学んでみたい方におすすめの作品です。

(参考評価:3~11話3.7点)
(視聴2022.5~6)

<2022.6.18追記>
1つ書き忘れたこととして、本作を見て、昔の日本には「出家」という人生のスタイルがあったのだなと思いました。
戦や病で家族(子ども)や恋人を失うことも現代よりもずっと多かったはず。世俗での様々なことが嫌になったり、やるせなくなったり、そういった時に仏門に入り、祈り奉仕することに人生を捧げるのが自然な選択として存在していました。
今はその機能がほぼなくなっていると思いますが、それゆえにひきこもりや鬱などの精神疾患が社会問題となったのではないか。昔の人間のほうがメンタルが強かったというわけでもないのではないか、と。

投稿 : 2022/06/21
閲覧 : 141
サンキュー:

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