ERRUE さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
感情移入はし辛いが評価できる部分もある
The Final Seasonに入ってから時間軸が飛ぶので、原作未読の私にはちと理解が難しいです。
ストーリー全体を通して「理不尽」「絶望」を描いている点はブレていませんでした。ただ、気になった点もちらほら見受けられました。
此処からはネタバレ
{netabare}
①回想シーンが多すぎ
これが尺伸ばしというか、物語を冗長させているような気がしました。
特にSeason3から年月が経過した状態でスタートしているので、原作未読の人は戸惑ってしまう内容。
特に敵国マーレの人物については、登場回数がそんなに多くないので、現在の話なのか昔話なのか分からない部分もありました。
②キャラの印象が激変している
原作未読なので自分の勘違いかもしれませんが、作画からして雰囲気が違うので違和感がありました。ミカサに関しては別人に見えてしまいました。
特に目の印象が強くて「彼岸に行ってしまった人」の様なホラー感が出ていました。傍目から見てもちょっとヤバい人に見える人物が増えました。これはSeason1からあった表現だったと思っていますが、制作会社が変わったせいかキャラクターのサイコパス感が増した印象を受けました。
③主要キャラの行動原理が分からない
エレン、ミカサ、アルミンなどの調査兵団のメンバーの統率が壊れ始め、彼らの目的がバラバラに。しかも発言に一貫性が無く、第3者の発言一つで自我が崩壊する勢いでした。アルミンとミカサが顕著で思考放棄とも取れる反応をする場面も。
④感情移入が難しい上に謎・伏線が多い
登場キャラの表情がサイコパスに見える程不気味になり、行動原理も分からない上に情緒不安定。そこに追い打ちを掛ける様に出てくる謎要素。
エレンを始め、前振り無くいきなり人格崩壊を起こすキャラに「どうしてそうなった?」と首を傾げたくなる世界の終焉のカウントダウン。
以前の進撃の巨人にあった「仲間同士の連携」「掲げる目標」がバラバラになり、視聴しながらイライラする場面が増えました。
◎感想
The Final Seasonに入ってから改悪要素が多い気がしました。特に時間軸がコロコロ変わるストーリーは、原作未読者には厳しいと感じました。
特に主要キャラの変わり様は酷いですね。まるで「ひぐらしのなく頃に」を思わせるキャラの豹変ぶりで感情移入は出来ませんでした。
また、尺の問題なのかキャラの行動が短絡的になっていて「もうちょっと頭使えよ」と思うシーンもチラホラ。まあ、エルディア人・マーレ人との騙し合い、裏切り行為のせいで視野が狭まっているのが原因なんでしょう…。
来年に完結すると思われる今作ですが、このままだとBAD ENDになるでしょう。世界の終焉に向けて猪突猛進して最後はどうなるやら^^;
◎追記 2022/06/21
表面的な感想しか述べていなかったので追記します。
ストーリー全般で「理不尽」「絶望」が描かれているのは間違いないですが、恐らく作者が一番描きたかったのはThe Final Seasonからの”人間同士の争い”についてでしょう。
■争いからは何も生まれない
これは納屋での「ガビ」と「カヤ」との争いを見ればわかるでしょう。
ガビは酷く歴史に影響を受けている為カヤに暴言を吐きまくるわけですが、彼女だけが悪いかと言われればNOでしょう。
現代人にもよくいますが「物心ついたら物事の善悪の分別がついて当たり前」というアタオカ発言する人もいます。子供は自分からは悪人にも善人にもなれず”周りの大人や環境で起こっている事象や行為を見て”学習します。
間違った”偏見・差別・迫害”が日常茶飯事なマーレで幼少期を過ごせば「ガビ」のような可哀想な子供が生まれてしまうのは必然でしょう。
今の自分が善悪の分別が付けられるのは「周りの大人・親たちの躾があったおかげなのだ」と実感させられます。
■視野の狭さによる不利益
特定民族の思想しか知らない。外の世界を知らない。自身の都合の良い事実しか認めない。これらが引き起こした惨状が良く描かれていると思いました。
特にイェーガー派のフロックが起こした行動に視野の狭さが顕著に出ていました。壁の中のエルディア人を守る為に始めた戦争で国内で内部分裂を起こしては元も子もないです。
これはエレンにも言える事ですね。自分たちがアルミンやミカサの支えで生き残れた事実を忘れ、彼らの助言も聞かずにスタンドプレーに走るのも不利益しか生みません。
■絶望的な未来しか見えない中どのように行動すべきか?
サシャの両親やオニャンコポンの言動が参考になりますね。サシャの両親はサシャの命を奪った犯人に復讐する事を考えず生き延びる事を優先させました。
また、オニャンコポンは人種について核心をついた発言もしました。
”俺達を創った奴はこう考えた
色んな奴がいた方が面白いってな
巨人になる人間「ユミルの民」も同じさ
俺達は皆、求められたから存在する”
もうこれがファイナルアンサーだと実感しました。
■事実と向き合う覚悟
終盤になって、敵同士が団結して巨人の地ならしを止め為に動きます。
人のよっては胸糞展開だと思うでしょう。しかし、巨人がパラディー島以外の人間を駆逐したところで、残されたエルディア帝国の中からイェーガー派に続く内部勢力が生まれ、弾圧や階級社会が出来あがるだけ。
ハンジやアルミン、オニャンコポンには分かっていたのだと感じました。
戦争物語あるある
”誰かがこの負の連鎖を断たなければならない”
◆最後に
The Final Seasonはストーリーの伏線が多すぎたり、キャラデザが変わった弊害でキャラの印象まで変化していますが、
”人間が歩んできた歴史”が生々しく描写されていて、人の愚かしさ、傲慢さ、醜さを理解するには良い教材です。
感情移入はし辛いものの、第3者の立場で視聴してみると新たな発見があるかもと感じました。特にオニャンコポンの立場から見ると違う景色が見えてくるのでは?と思います。酷評もしましたが、一定の評価が得られる作品でもあることは事実ですね。
{/netabare}