「ユーレイデコ(TVアニメ動画)」

総合得点
62.6
感想・評価
72
棚に入れた
164
ランキング
4380
★★★★☆ 3.1 (72)
物語
2.9
作画
3.2
声優
3.3
音楽
3.3
キャラ
3.0

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ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

フーコーからドゥールーズ・ガタリへ。ポスト構造主義とSNS社会。1984の現代版

 哲学・現代思想の復習をしていたのでレビューに時間がかかりました。

 最終回までみて、人間の意志は借り物でパーツの組み合わせだ、という話がありました。マークトゥエインはトムソーヤの作者ですので、このアナロジーは、トムソーヤはマークトゥエインの創作物であるというのはわかりやすいです。

 考えたときに、最後の部分でトムソーヤ島はミッシェル=フーコーの「パノプティコン(監獄)」に見えました。人間は制度=システムによって、無意識に服従するようになる。これが人間の主体だと。そこから逸脱するのが狂気であるということです。
 となったときにハックが欲望のままに動くのは、ドゥルーズ・ガタリでいう新しいやり方です。

 ここでハックルベリー=フィンという、3人の名前は所詮マークトゥエインの創作物という皮肉にも見えるし、トムソーヤの続編でありながら、文学的には自然主義そして差別批判という意味でアメリカ文学で高く評価されているという意味にも見えます。

 初めラブ値という評価により経済至上主義やポピュリズム的な批判からスタートした本作ですが、ヒロインベリィがユーレイになる、つまり社会の逸脱です。
 独自性のある言葉が社会やハックに意味性を持たせているのは、構造主義的なフレームだという意味でしょう。

 現実社会がネットワーク=SNSと「いいね」の数により人間の欲望が制御され、デオドランドされた情報が自由だと錯覚するようコントロールされる管理社会に移行しつつあります。そこから、少しでも逸脱するためにはシステムから抜け出し、実体・実態に触れようよ、好奇心を持とうよ、という話だと思います。
 逸脱の象徴として、トムソーヤ、ハックルベリーフィンの名前が使われたのでしょうか。


 評価のためにはもう1回見たいですが、そのために現代思想をもう1回勉強し直してからのほうが良さそうです。高校の倫理の教科書を手元においてみたいですね。
 再視聴したとき、遡って個々のエピソードになにが見えるのかがちょっと楽しみです。
 ユーレイとはこの構造主義の奴隷からのドゥールーズ・ガタリ的な逸脱という意味だったのでしょう…か?ここは再評価時にもう1度考えます。


 アニメとしては、作画も独自性があって綺麗です。OPは素晴らしい曲でした。
 話の構成もちょっと1話から4話の尺を10話から12話、特に12話のセリフで語っている部分を話で見せて欲しいという希望はあります。ありますが、逆にいえば10話から12話で言いたい事がおぼろげに見えたときのカタルシスは結構ありました。

 両親の愛情をどうとるかですが、非人間的に見えて、最後は…という意味では、感動がありました。その後のエンゼルフィッシュのところが愛情も作れるという皮肉に見えなくはないですけど、ここは素直に現実と虚構で感動しておきましょう。

 テーマ性はかなり深いと思います。思いますが勉強しないと伝わらないかなあ。ですけど、本作を見て本作の意味を自分で考えると、無理に哲学しなくても、人間って何?というのは考えることはできるかもしれません。

 なかなか面白い試みだったと思います。頭を使わせてもらいました。


追記 忘れてました。本作はオーウェルの「1984」のネット社会版ではあると思います。
 夫婦がやっている仕事、思考警察はそのまま主役のウィンストンだし。個人の記録をコントロールされています。テレスクリーンという思想が流され続けるネットワークもそっくりです。2分間憎悪という洗脳手段が取られます。

「1984」の男女の「野性的快楽」=肉体的な行為というのも少年少女ですからマイルドですけど、本作の2人が動物的な行動が演出されているのは無関係ではない気がします。1984の人は結果的にお互いに自分の痛みを相手に押し付けることになりますが。

 結末の希望と絶望のベクトルは逆に見えて、結局は監獄の中で暮らさざるを得ないというエッセンスは同じベクトルです。なお、1984の後書きには仕掛けがあるそうで(WIKIより)そこは希望が持てる内容みたいですね。




以下、初回時の5話までの感想です。


 SF的で超楽しそうです。が。「サクガン」「24区」など張り切っていたら、期待外れが多かったので、ほどほどにします。

 さて、メモ書き残して考察しようかと思いましたが、4話、5話を見てかなり平易にネット社会についての問題点を表現した作品なんだろうなあ、と思いました。
 なので、考察というより含意を拾って残していこうと思います。ある程度の考察はするかもしれませんけど、深読みしすぎないほうが分かりやすいし、とっつきやすいかもしれません。


3話 OPがいいなあ。トムソーヤでハックルベリーフィンだから友情?

{netabare}  今さらだけど、OPはなかなかいい曲です。最近のOPEDは秀逸な曲が多くて楽しみです。曲調からして哀愁があるけど希望感もある90年代的かな。

 折り紙の未来的な可能性的なものは装飾なのかテーマなのか。今のところ記憶デバイスは折り紙的ですけど、ギミックの域を出ない。ただ、OPは折り紙がモチーフなのでちょっと意識しておきます。

若干感想
 OPEDを合わせると、SNS時代、人がリアルで繋がらない時代のリアル回帰のラブコメ?ただ「トムソーヤ」島で「ハック」「ベリー」「フィン」ですから友情かもしれません(当然トム・ソーヤの友人ハックルベリー・フィン。宝物を見付ける話。続編は父親から死んだことにして逃げる話)。
 トムソーヤの冒険とハックルベリーの冒険を読んでおくとヒントわかるかもですね。私は面倒だし手元にないので機会があれば。

 SNSというアバターが消えたときの人間関係とは?
 ゼロ現象は人為というより1話冒頭の百の目を持つ巨人=アルゴスだと思います。今の社会が人類のためにならないと判断したのかも。
 監視して都合の悪い事は消している。ネット情報の虚偽性?あるいは政府の秘密主義か。
 電子上の「いいね」での価値ではなく、その仕組みが無くなったときに本当の価値は何が残る?という感じ。 {/netabare}



4話 ここからメチャメチャ面白い。3話までが説明なのが惜しい。

{netabare}  メインの冒険が始まったみたいですね。やっと話の本筋が見えてきたし、ヒロインの活躍がメチャメチャ面白かったです。

 1~3話も面白かったですが、舞台と設定の説明感、独特のセリフ、とどこに話が行くのかわからない感じがワクワクしながらもエンタメとしての面白さに、本作を肯定的にとらえている私ですら、3話時点でちょっと飽きが来ました。

 創作物で、設定の説明って1話でやっちゃいけないことの筆頭なんですけど、まあ、作っているのはプロですし、何か思惑はあったんでしょう。時系列シャッフルや説明不足は嫌われますし。社会の仕組みとゼロ現象を説明しないとユーレイと管理局が分からないからね。本当はSFの読み方としては保留して後から意味説明でもいいんでしょうけど…今は通用しないかもしれません。

 でも、4話が1話で構成していたら、もっとエンタメ的には成功していた気もします。最後まで見ないとわからないですけどね。

 ただでさえアート感で損をしています。作画がいい…と言われるアニメにクリエータ側ももどかしい想いがあると思います。本作の画面は相当いいと思うんですけど、あまり評判よくないですね。
 音楽性も抜群だと私は思うのですが、ユーチューブのOPの再生数も伸びてないですし。私は毎日何度も聞くくらい気に入ったんですけど。

 チャレンジングで素晴らしいアニメ作品と思いますが、いろんなところで損をしている感じですね。とにかく4話はかなり面白かったです。 {/netabare}


5話 含意が本話はかなり直接でした。やっぱり4話スタートで良かったかな。

{netabare} 現実の動物そのものがロボットの上のAR。さらにその現実の動物だと考えていたものが架空の動物。それがデータとして拡散し、人々の間でリアルになる。
 ただ、ぬえを作った博士にとって架空ではあっても、本物でした。愛情を持っていました。

 ぬえが間違った情報として拡散したときに、コロナを退治するというアマビエ様という神さまの顔をしていました。あれだけ広まったのに今やだれも見向きもしない。

 そして、動物園に対するネット上の批判。ひとつの誤解で取返しが付かなくなるネット社会。また、個人情報を覗くこと。黒歴史が消えない社会。

 フェイクとはなんぞや?リアルとはなんぞや?主観、客観、事実、ネット上の情報に伝説。我々のネット社会、SNSの縮図の回でしたね。
 非常にわかりやすかったです。考察しなくてもはっきり含意がわかりましたね。さすがに今回は意味が解らない人はいないでしょう。平易でした。4話と合わせて、こういうのがやりたいなら4話からスタートすればよかったのに…。

 博士に感情移入するとなかなか子供のころから夢見たことの結末…的なものもあってエピソードとして面白かったです。 {/netabare}

投稿 : 2022/11/02
閲覧 : 396
サンキュー:

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