「スーパーカブ(TVアニメ動画)」

総合得点
75.3
感想・評価
479
棚に入れた
1360
ランキング
802
★★★★☆ 3.5 (479)
物語
3.4
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.4

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3
物語 : 1.0 作画 : 4.0 声優 : 1.5 音楽 : 4.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

なんちゃって女子高生。

【概要】

アニメーション制作:スタジオKAI
2021年4月7日 - 6月23日に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、「カクヨム」に連載しているweb小説を改訂し、
角川スニーカー文庫から書籍を刊行されている、トネ・コーケンによるライトノベル。
原作イラストは、「明日ちゃんのセーラー服」の作者でもある、博が担当。
「コミックNewtype」にて、蟹丹によるコミカライズ版が連載中。
アニメ版の監督は、藤井俊郎。

【あらすじ】

父親は生後まもなく事故死。母親はBye.と書いた紙切れだけ残して失踪。頼れる親戚もいない。
教室では、親に捨てられたことでひそひそ話の対象で友達がひとりもいない。
奨学金の申請が通って。高校卒業まではなんとなりそうだが、お金も趣味もない。
その無い無い尽くしが、この話の主人公・小熊。(作中では名字が非公表)

高校は自転車通学の小熊は、坂道が毎度しんどいと思ってた時に、
横を通り過ぎるスクーター通学の生徒を見て、自分も欲しくなった。

原付を求めてバイク屋で品を見てみた小熊であるが、どれも自分には無理な値段だった。
出てきた店主の老人に、お金が足りないないみたいですと伝えると、
店の在庫から出してきたのが、HONDAの中古のスーパーカブ。ワケアリで破格の1万円。
それを買った小熊は運転免許を取得したり、まっさらな素人の状態からカブの扱いなどを、
ひとつひとつ覚えていく。カブとの出会いは小熊には未知の経験だらけであり、
その小熊の生活に変化をもたらすのは必定だった。
そして、礼子というカブ仲間が出来て、一人ぼっちを卒業したりする小熊なのだった。

【感想】

このアニメの第1話の印象は、『退屈でつまらない!!!』
それもそのはずで、主人公・小熊の主観の視点で映像が作られていまして、
教室でも孤立している小熊がカブに出会うまでの寂寥感を視聴者に共感してもらおうと、
敢えて侘びしく静な画作りで、漫画的な芝居と演出は邪魔なのかと、
写実的な背景の上に、まるでテレビドラマを撮影してるかのような映像を志していますね。

それが、スーパーカブをきっかけにして、どのように小熊が変わって、
彼女の灰色の世界が彩られていくのか?
小熊と周囲の人間との心の交流を描いたヒューマンドラマなのかな?と思っていましたら、
スローペースでヤマの無いままに話数が進んでいきます。

日常アニメが好きな自分の琴線に全く触れることなく20数分が1時間の長さに感じられる退屈なドラマ。
その理由にきづいちゃったのですね…。物語の先が気になるフック(ひっかけ所)が存在しない。
キャラクターへの興味や関心が全くない。
ぶっちゃけ、このアニメのキャラが何喋っても何してても、それによって好きになることがない。

もともと他人に心を開かない表情の薄い主人公が、
カブで行動範囲が広がったことでいい方向で変わっていくのかと思ってたら、
素の自分を見せるようになってからも他人に無関心で冷淡なまま。
家庭環境がよくなかったのか、母親に捨てられてグレているのか、
他人との距離をとっての人付き合いの悪さと口の悪さが、小熊の素の部分っぽい。

免許取って半年程度のくせに、途中からレギュラー入りした椎に対しては、
カブ乗りとして上から目線を見せたりしていますし、
大人とのかかわり合いも、カゴや箱などのカブのパーツをくれる、
アルバイトの斡旋、珈琲を奢ってくれる、自分では出来ない作業と、
主人公にとっての便利屋な利用価値でのみ成り立っています。

大人を利用する傍らで、修学旅行ではカブに乗らないように教師たちから釘を刺されているのに、
あっさり破って友達の礼子との二人乗り運転で交通違反。
約束を破って申し訳ないとの葛藤を見せることもないです。

大人を利用する一方で、大人との約束を簡単に破る信用できない人間。
更には交通安全を守れないのはカブ乗りとして失格。

アニメだからフィクションだから別に良いだろ!という声も無きにしもあらずですが、
もともとスピード制限や交通教則に関してきっちり説明してきたアニメじゃなかったの?

他の作品では改造バイクで競争するルール無用の世界観にするとかギャグで誤魔化したりする。
もしくは違反が発覚して主人公らが違反点数の加算と反則金の支払いという代償を受けるのが普通。

一方でこちらでは、アニメの中に散々リアルを持ち込んでおきながらのミスマッチを、
敢えて違反しての友情の二人乗りがエモいだろ?
アニメなんだからガタガタ言うな!と言われてもいまいちピンとこないですね。

もともと主人公が女子高生じゃなくてサラリーマンでも成立するストーリーを
女子高生の皮をかぶせて絡ませて客を釣ってるだけの作品。
主人公のカブ仲間で第5話でのカブでの富士山登頂で視聴者からのひんしゅくを買った礼子も、
全裸好きのオッサンに女子高生のアバターを着せてるだけ。
そこに作者であるトネ・コーケン氏の数々の発言を鑑みるに、
性格の悪い作者による、中身がオジサンである女子高生なりきりカブ小説をアニメ化したら、
まあこうなる!のも納得。それは『明日ちゃんのセーラー服』作者の絵面でも隠しきれてないです。

このアニメを作った「スタジオKAI」は、
みんなが大好きな「ウマ娘 プリティーダービー Season 2」の実績もあって、
映像へのこだわり、今作でも技術的な部分でもたくさん頑張ったのだとは思います。

しかし、作者の価値観で作られたキャラの振る舞いがアニメでのキャラの動かし方との相性で、
単純に性格が悪いように見えてしまう。画作りのこだわりにひきかえ、
各キャラの表情の見せ方が単調で表現力に乏しかったりするのが気になります。
更には主人公を演じるバイク系youtuberの夜道雪の芝居も一本調子で、
感情の状態による演じ分けがいまいち出来てないように思えたのは気のせいでしょうか?
ドラマを意識したアニメづくりを目指すなら声優の演技力は絶対に外してはいけません。
このアニメとは無関係ですが、個人的には石川由依さんや種崎敦美さんなどがポイントが高いです。

誰の指名で声優を決めたのか知りませんけど、
このアニメの企画プロデューサーの伊藤氏が関わった案件では、『女神寮の寮母くん。』でも、
夜道雪を含めたコスプレイヤーを集めてユニット組んで主題歌歌わせたりと、
アニメでのタレントの起用のやり方に疑問な点が多いのですよね。
過去にもアニメ演出家の山●寛や、声優の白石稔の度重なるゴリ押しの前科がありますし、
アニメをきちんとつくって良いものにしようとしたら、
趣味とコネで足を引っ張るプロデューサーは好ましい存在であるとは言えませんね。

なんでこのアニメがつまらないのだろうと考えれば考えるほど、
・原作者の価値観が良くはないのでその原作者から生まれたキャラクターが魅力的になりようがない。
・アニメスタジオの頑張りを無駄にするレベルでの業界の悪い部分が足を引っ張ってる。
と思ってしまうのは穿ち過ぎで偏見まみれでしょうか?

世間的には優れているとされている作品や自分が好む作品との違いが、
そのままに、このアニメがダメだと感じる理由となっていまして、
このアニメの内容そのものよりもむしろ、
そっちを考えるほうがメインとなって、つい熱が入ってしまいました。

と、このような感情を持っていますので、
『ばくおん!!』12巻の第79話で、どこかで見たようなおかっぱ頭のお嬢さんが、
バイク屋で貧乏アピールして1万円でスーパーカブを買おうとしたり、
その1万円で買ったのがHONDAのスーパーカブでなくてSUZUKIのスーパーフリーのために、
話がおかしな方向に転がりまくったパロディ回を読んだ時には、
オリジナルよりこっちのほうが面白いじゃない!?と思わず笑ってしまいました。


これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2022/07/10
閲覧 : 275
サンキュー:

35

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