STONE さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
とりあえず簡単な感想
原作は未読。
歴史もので史実とは異なる性別にすることで、新機軸を打ち出す作品があるが、本作では
主役のリチャード三世を両性具有にするというかなり大胆な設定。
先に書いたような史実とは異なる性別に設定された作品においては表向きは史実の性別で通し、
本当の性別を秘す作品がよくあるが、本作は男性として振る舞うも、女性として振る舞うも
いずれも本当であり、嘘であるといった複雑なものになっており、ヘンリー六世や
バッキンガム、あるいはアンとの関係性の感情は男女間の恋愛的なものにも、同性愛的な
ものにも思える。
こうした複雑な関係性に加え、両性具有で生まれたこと自体が母であるセシリーに
代表されるように忌み嫌われるようなものであり、そのために他者や世間にそれを隠すべき
こと自体が重荷になっていたりと、より苦悩が深いものになっている。
表向きは男として振る舞い、王位にも就くことができたリチャードだが、基本的展開自体は
本作の下敷きになっている「ヘンリー六世』」と「リチャード三世』と同じものであるために
最終的にはバッドエンドは避けられないもの。
この王位を巡る権力闘争においてはリチャードだけでなく、かなり多くのキャラが悲劇的
結末を遂げるが、こういった盛者必衰的展開は洋の東西を問わないようで、テレビ放映時に
同時期に放映された「平家物語」に通じるものがある。
王位に執着せず、一人の女性として生きたら幸せだったのか?、と考えてみたりするが、
それはそれで父であるヨーク公リチャードの意を継げなかったと終始苦悩していたように思え、
「結局はどちらに転んでも幸せにはなれないのかな?」という感が。
割と歴史ものが好きなのでそれなりに楽しめたが、終始悲劇的展開が続き、それに伴う暗さが
漂う作品で、ある程度のカタルシスを求める人には不向きな印象。
あとストーリーはともかく、アニメとしては絵的にはパッとしない作品で、この手の歴史
スペクタクル作品は合戦シーンなどが見どころの一つだったりするが、こういったところが
平坦で迫力なし。
2022/09/18