「明日ちゃんのセーラー服(TVアニメ動画)」

総合得点
77.8
感想・評価
351
棚に入れた
1015
ランキング
543
★★★★☆ 3.9 (351)
物語
3.7
作画
4.3
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

愛しのレイラ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

作者が描きたかった世界

畦道の脇に流れる水路、残雪を抱く群峰を映し出す水田
息を切らしながら、立ち止まり、深く息を吸い込み、吐き出す…
この美しい景観はフォッサマグナ西縁・糸魚川静岡構造線に位置する
長野県の白馬村や安曇野周辺で有るJR大糸線からの景観を連想させる
日本の原風景と欧州のアルペン的な光景が同居したノスタルジックな世界
上高地や尾瀬といった景勝地も国立公園という素朴さとは趣は異なるもの
一般的な庶民が暮らす地として風光明媚を追求すれば、納得の舞台とも言え
どうしても作者が、この場所を描きたかった気持ちはとても分かる
※この辺りだと仮定した文面ですので違ってたら申し訳ない(^^ゞ

◆「概要」
過疎化が進行する辺境な地で、孤独な小学生時代を送ってきた小路
かつての賑わいの痕跡が聞こえて来る、古びた佇まいの木造校舎、体育館
一歩、踏み出せば、遊びにも事欠かない大自然に抱かれたフィールドで
多感な年頃の少女が様々な経験して成長する様を描いた青春群像劇

友達を沢山作る…小学校では一人だった…凡庸な言葉に見としがちですが
冒頭の小路本人と農夫の平さんの台詞には伏線となる意味が込められており
その天真爛漫な性格で懸命に仲間を想いながら学園生活を営む様子など
淡々とした描写ながら、後半で集大成的な表現に繋がるカタルシスも見事で
全編通して初めて本作の意味合いが理解出来る仕組みになっているのが特徴

作者が本当に描きたかった世界、商業的な試みとは意図として別の意味で
92年にリリースされたクラプトンの「Unplugged」の素朴さを感じさせる

私事で恐縮なんですが…

※「Ruins」建物、集落など長期間使われず、経年劣化した光景
一時期、美しい大自然や暮らしを営む人々を題材にメインにする一方で
廃校や鉱山跡の朽ち行く美しさを題材に撮影してた時期が有ったのですが

それは本作とは真逆の環境で育った経緯からの自然や廃退への
憧れとしての感覚で有り、それは単なる表側なイメージとも言え
絵的な美しさを求めた、所謂「インスタ映え」を狙った感覚も有りました
(そんな感覚は演出として重要で否定では無く、とても好きなんです)

本作では、そういった表面上の理由ではなく、実経験に基づいた視点
過疎化の著しい地で作者の実体験による目線での表現が顕著に描かれており
薄っぺらい自己満足に満ちた、かつての自分に一石を投じる意味合いも含め
現在まで紡いだ感覚と同調する様に、無垢な少女の成長譚に置き換えた物語
もちろん女性にも推奨出来るピュアな感覚に満ちた物語でも有ります(^^♪…

◆「母親から娘へ」
ジーンズを初めワークウェア、ミリタリー、モーターサイクルなど…
開拓時代に着用された衣服を現在の技術を用いて復刻されたブーツを初め
ジャケット、ベスト、帽子など、ビンテージレプリカと言われる服が好きで
少し綻んだジーンズをリメイクしたり、大きいシャツのウエストを詰めたり
裁縫には多少なり興味が有り、そういった意味では材料となる生地から
一枚の洋服に仕立てる母親のユワさんも素敵な女性に感じました(^^♪…

◆「カントリーテイスト」
自宅の内装も木目を基調としたインテリアで、煉瓦作りの暖炉、観葉植物
フロアとなる床の材質も加工を施した化粧板とは違った劣化具合が良い風情
おとぎの国を思わせる住居も相まって随所での拘りが垣間見えるのも特徴
一歩、引いた距離で見守る父親の姿も仕事に追われる親像として好演
深紅のアルファロメオも脂の乗り切ったポストを比喩的に描くセンスも光る

◆「抒情的フェチ表現」
爪切りを嗅いだり、破れた靴下とか…ちょっとこれは(^^ゞも
本作で描かれるフェチ表現に関しては大よそ好意的なスタンスです
眼鏡を掛けた古城さんと雨宿りをするシーンは肉体的な露骨さの向こう側
雨の音、湿度までも再現した写実も去る事、性別を超えた十代の甘酸っぱい
ひと時を綴った朗読も相まり、抒情的に昇華されたシーンが見事でした

◆「素晴らしい表現」
一見、OP曲のワンシーンで見逃しがちですが、講堂での集合写真
こういう写真って割と堅いイメージか、笑顔で和気藹々的な作品が多い中
目線もレンズを意識したものでなく、明るい脚へと誘導させる表現
また、学園行事という公的なイメージを持ち、グラビアの域では収まらない
オーソドックスな記念性とリアリティ、類稀な発想故の不思議な脱力感
双方で優れ、また、どちらに属する事をも否定してる様な素晴らしい表現
本作を手短に形容するなら、この表現が適切かもしれないです

◆「美しいフィールド」
いきなり小路が湖へ飛び込んだのはちょっとビックリですが(^^♪
こういった素晴らしいフィールドで嗜好を嗜むのも、有る意味で贅沢な時間
コルクグリップのロッドが素敵なスピニングタックル、ルアーはスプーン
一方、小路は湖沼ならブルーギル、波止ならばハゼ釣りといった素朴な趣き
高価なルアーが引っ掛かると青ざめ、泳いで回収に行った経験も有り
静かに嗜むヘラ釣りのオジサンに怒鳴られた事も良い思い出でした
今考えると、よくもあんな汚染された池で泳いだもんだなぁ…

◆「往年名曲」
ギターを弾けると豪語し、そんなに時間も経っていないんだけど
一曲、弾き語れる様になったのならば充分に頑張ったと思います(^^♪
一人で練習してる時と人前で演奏する感覚とでは全く違うもので
そんな覚えたての、初めて人前で演奏する独特の緊張感は描けており
また、等身大の演技ゆえに覚束ない歌い方でしたが、そんな縛りをなくせば
かなりの実力者(声優)で有るのは聞いていて直ぐに分かりました…

短期間でFコードをマスターした蛇森さんの自信満ちた表情も清々しく
結構、真顔でキツイながらも、思いやりの有る、戸鹿野さんの好演も光る
※そして良い曲は時間が経過しても、歌い継がれる運命に有るんですよね

◆「集大成」
一連の学園生活での健気な姿と連鎖する様に小路に惹かれて行く
学園なる箱庭ながら、その姿はアイドル、セーラー服はオンリーワンの趣き
ピアノの演奏をバックに本編では描かれなかったシーンを回想させながら
ダンスと共に綴って行く訳だが、バレーボールで果敢に攻めて行く様は
当に、スポ根の熱さが有ったし、大自然に抱かれたフィールドで飛び跳ねて
培われた身体能力と学園生活を初めとする集大成的な余韻が有った

◆「その他」
気になった点では賛否両論のキャラデザくらいで
フェチ要素は特に気になるレベルではなかったですね

投稿 : 2022/09/23
閲覧 : 30
サンキュー:

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