「ピンポン(TVアニメ動画)」

総合得点
83.4
感想・評価
1617
棚に入れた
6589
ランキング
319
★★★★★ 4.1 (1617)
物語
4.3
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.2

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遊微々 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

磨かれた原石の輝きは、かくも非情に、されど眩く輝く

『犬王』といえば監督を湯浅政明が務め、キャラクターデザインを松本大洋が務めた作品ですが、この二人といえばやはりこの『ピンポン』は外せないでしょう。
ちなみに原作は大大大好きでして、『SLAM DUNK』『柔道部物語』『ピンポン』の三作は、私の中で勝手に日本三大スポーツ漫画と呼ばせてもらっております。

『ONE PIECE』の尾田栄一郎をして、努力だけでは絶対に描けない漫画と言わしめた、天才・松本大洋が描いた大傑作、それこそが『ピンポン』という作品です。
本作の特筆すべき点はやはり、「絶対的な才能の差と、それに起因する人々の嫉妬と葛藤」を冷徹なまでに描いているところですね。
本作、努力自体は決して否定しておらず、努力しない天才は努力する凡人には勝てないという努力の重要性を序盤から中盤にしっかり描いたうえで、極限まで努力した者同士がぶつかり合う終盤において、どうしようもない存在として立ちはだかる「才能」という壁を見せつける、これによって他のスポーツ漫画以上に「才能」というものに込められているメッセージ性は強いと感じさせられます。
そして重要なのが才能あるキャラクターの扱い。主人公のペコは自分の才能に過信して努力しないし、スマイルは自分の才能をある程度理解した上で舐めプしてわざと負けるし。普通こんなキャラなんか見てたら共感なんかできないし、好きになれるところなんて一個もないんですけど、でもペコを徹底的にまで落としてからもう努力するしかない状況にまで追い込んだ上で、対照的にスマイルをどんどん強くさせる中でアンチヒーロー的な役割を持たせたことで、一度落ち込んだ天才が再び舞い上がるというあのラストの展開が、あんなにも輝くものになったんだと思います。
あと膨大な努力によって磨かれた圧倒的才能って、もう嫉妬とかもしなくなるんですよね、凄すぎて。最後ペコと戦ったチャイナやドラゴンが満足気だったのもそれなだと思います。最近の分かりやすい例でいえばMLBの大谷翔平選手、あれとか嫉妬なんていうレベルとっくに超えてもっと輝いてるとこ見たいって思うでしょ?それと一緒だと思いますね。

アニメにおいて良かった点は、やはり風間やチャイナの描写が増えてよりキャラクターのバックボーンを深掘りしてくれていたところですかね。特にチャイナ、漫画ではそこまでだったけどアニメで滅茶苦茶好きになりました。
ラストで日本に帰化して代表の座を勝ち取っていたのはアニエオリジナルの描写なんですが、あれもすごい良かったですねー。
本作の有名な考察の一つに

ペコ=星
スマイル=月
チャイナ=飛行機
ドラゴン=竜
アクマ=悪魔

とそれぞれの名前に関連するものを出して行ったとき、それが各キャラクターの飛んでいる高さ=才能の大きさを示しているというものがあります。ここで注目すべきはチャイナ=飛行機、つまりチャイナだけは人工物であるという点です。
流石に月や星まで飛べる飛行機はないでしょうが、ドラゴンならどうでしょう?ライト兄弟が作った時の飛行機では無理でも、現代の飛行機なら竜をも超えて飛べるような気がしませんか?ラストのあの描写は、チャイナの飛べる高さがついに竜である風間を上回ったことを示唆しているのでは、と私は考えてしまいました。

あとOP映像カッコよすぎ。日本のアニメ作品のなかでも最上位のカッコよさでしょあれは。イントロ20秒の映像何回見ても痺れます。曲の「唯一人」もいい曲だし、いやーたまらんね。
個人的にノイタミナ作品の中でも最上位の本作。アニメはもちろん、原作漫画と実写映画も滅茶苦茶面白いので、見てない人マジで見て。10回は見て。

投稿 : 2022/10/04
閲覧 : 172
サンキュー:

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