「リコリス・リコイル(TVアニメ動画)」

総合得点
86.3
感想・評価
975
棚に入れた
2647
ランキング
200
★★★★☆ 4.0 (975)
物語
3.7
作画
4.2
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.0

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ネタバレ

ぴかちゅう さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

リコリコ最高だけど、もっと神アニメにできたかも。

その期に放映されるアニメを見る、というのは、私のように、流行には本来関心がなく、質の高いアニメをみたい、と思うひとにとっては、あまり効率がよいものではありません。最終話まで既に放映されたアニメのうち、評価が高いものをみたほうが確実だからです。にもかかわらず、その期に放映されるアニメを見てしまうのは、やはり、日本の匿名のアニメファンと(おおよそ)同じ時間軸で、来週はどうなるのか、とソワソワしながら見る、というところに醍醐味があるわけです。そして、その醍醐味が特に味わえるのが、原作のないオリジナルアニメということになります。

残念ながら、多くの場合、そうやってソワソワしようと思ってみたオリジナルアニメの多くが期待外れに終わるなか、それでもオリジナルアニメを見てしまうのは、ときどきは、素晴らしいオリジナルアニメに出会えるからであって、リコリコは私にとって、そんな素晴らしいアニメでした。

世界観の壮大さと面白さと、カフェでの日常がうまく交差し、コメディ要素もバトル要素もある、というこの作品は、やはり面白く壮大な世界観と高校生活の日常がうまく噛み合った超名作コードギアスを彷彿させるものでした。

さらに、千束役は安済知佳さん。私が初めてこの声優さんの声を聞いたのは、「クズの本懐」の安楽岡花火ですが、当時、その美声に衝撃を受けました。一般には「ユーフォ」の麗奈役といったほうが伝わるでしょうか。

ストーリーは進展するに従って、ミカの秘密、千束死んじゃうの?から、最終話での、まさかさくら死ぬ感じ?ていうか真島不死身なんじゃない?まで、とにかく気になる展開が続いて、千束やたきなは可愛いし(ミズキ笑)、ミカ強いし、くるみも大人だし、フキずっとツンツンしてるし、とても楽しめました。

【ストーリーはがばがば?】
ここでも散々書かれているように、確かにストーリー展開が不自然だったり、もっとできたのに、と思う部分もないではないです。

ただ、その一部は、わざと、という解釈も一応可能かな、と思います。例えば、12話で日本人、くるみに簡単にだまされすぎじゃない、というところは、それだけ日本人が平和ぼけしている、と言いたい、とみることもできます。全体として、政府の隠蔽工作に気づかない日本人というストーリーラインが、森友・加計問題をはじめとする近年の政治家たちの隠蔽工作(と思われる一連の出来事)を念頭においたもの、というふうに読み取ることも不可能ではありません。

また、最強のリコリスたる千束が護衛対象(松下)から簡単に目を離してしまったり、AIがウォルナットにハッキングされたり、リコリスはみんな同じ制服で簡単に敵に識別されたり、挙句の果てに最終盤ではトイレから外部へ連絡されてしまったり、といったことも、設定ががばがば、と言えばその通りなのですが、日本の治安機関のだめっぷりを晒しているような感じもしないではないですね笑 そうだとすると、この作品は、日本の脆弱な安全保障システムを嘲笑って、あえてこのような設定にしている、という擁護は可能かと思います。

他方、そういう擁護の余地があまりなさそうな、ストーリーの弱さも結構あります。例えば、真島についてはほとんどキャラの深掘りがされず、なぜ彼がこういう行動に出ているのか、言っていることも話数によって結構違うし、最後は花火だし、よくわからないままでした。現状だと、ただの狂人な感じも否めません。またアラン機関やDAについてもあまり詳細な説明がなかったように思います。特にこの作品の最終話については、かなり思うところがあります(下記に別項目を立てました)。

【最終話について】
第13話を視聴した直後の感想は、うまくまとめてきたな、というものでした。実際、この終わり方だと、アラン機関についてや日本の政治におけるリコリスの位置付けなどが十分回収されていないことがそこまで気になりません。このエンディングでは、リコリスについて知らない日本人同様、千束も重要な情報について蚊帳の外に置かれている、と読むこともできるにはできます。

しかし、他方で、よく考えると、後身の悪さは否めません。結局、吉松を殺すという作業を千束が引き受けなかった代わりに、ミカが引き受けたから。千束(とたきな)に吉松を殺せなかったのは仕方ないけれども、結局、千束が望んでいなかったとはいえ、ミカが吉松を殺した(ってことですよね)ことで、ミカが殺人という重みを背負うことになってしまっている。それで千束はよいのか、といえば、よいわけはないでしょう。

さらに、千束の代わりに他の人が汚れ役を引き受ける、というのはミカだけにとどまりません。千束はDAからexitして、自分は殺人を犯さずに済んでいるかもしれないけれど、結局その役は他のリコリスが引き受けているわけです。もちろん千束もDAに協力し続けているわけだけれども、ただやはり千束がいない分、DAでは千束の代わりに他のリコリスが殺人を行なっているはずです。そうすると、千束はその重い事実を引き受けたうえで、「命大事に」を貫くほうを選んだのか、本編からはいまいちはっきりしません。ついでにいえば、おそらく千束がDAからexitすることが許されているのは、千束が類い稀な能力を持っているからであって、普通のリコリスがDAを辞めようと思うのならば、殺されてしまうのではないでしょうか。その意味ではDAからexitするという選択肢自体、千束の特権ということになります。こういった部分について考えて悩むような千束の葛藤を描けたならば、この作品は神作品になっていたのではないかと思います。

【リコリス・リコイルの今後】
リコロスですが、多分この作品は変に2期を作ったりしないほうがいいと思っていました。しかし、新作アニメの制作が発表されましたね。まぁ確かに、新作すぐやらないにしては、リコラジ続きすぎでした。
しかし、本格的な2期をやるとなると、なんか不死身っぽい真島とまた戦って引き分けになるのが目に見えていて、微妙な感じがします。八百長疑惑も出てきかねないですし笑 むしろ、スピン・オフでいろいろやってほしいです。ミカの過去とかも知りたいし。もちろん千束とたきなが変な事件に巻き込まれる、みたいなのもありです。

【追記】
1.自分のレビュー内容(特に最終話に関して)及び自分の他のアニメへの評価と比べて、初投稿時の物語評価(4.5)にずれがあるように感じたので、物語評価を変更しています。
2. 秋から冬にかけて2回目視聴したので、タイトルと、主に後半を編集しました(点数は変更なし)。

投稿 : 2023/02/26
閲覧 : 135
サンキュー:

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