「リトルウィッチアカデミア(TVアニメ動画)」

総合得点
83.0
感想・評価
711
棚に入れた
3303
ランキング
332
★★★★☆ 3.9 (711)
物語
3.9
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

極上のエンタメ作品。SNS、エンタメ、憧れ、夢を追うとは。

 極端なキャラ造形と雰囲気、そしてご都合主義。初めはちょっと子供向けかと思いました。

 ですけど、どうも伏線っぽい種まきとか演出とかキャラの背景とかそう言ったものが引っかかります。そして、何より面白さに引き込まれて行きます。1話1話関連がないようで、明らかにどこかに向かって進んでいるような雰囲気で、単純に子供向けに見えません。

 そして、シャリオの過去、飛べない理由、魔法が弱まっている理由、ダイアナのアッコを見る目などいろんなものが収束してゆきます。

 そして最後の3話は、久しぶりの感動のボロ泣きでした。1時間ちょっとティッシュを何枚使ったか…別に誰が死ぬとか別れとか、そういう感じではないんです。物語の展開に泣かされるというのは極めて心地が良かったです。これぞエンタメと言う感じでした。

 極上のエンタメ作品です。それでいてテーマ性も深い、名作といえます。
 成長、友情、ライバル、日常、ドジっ子などわかりやすい部分は良い出来です。そして本作が優れたエンタメ作品であると同時に、エンタメについてのテーマ性がとても良かったです。

 なお、魔法=エンタメというのは初めからシャリオで明示されています。これが後半にアナロジーに転嫁して行きます。
 SNSやネットワーク。そういったものが人の感情を奪い、また狂わせてゆく。気持ちの無い魔法=気持ちの無いエンタメ。それはエネルギーにはなりますし、モチベーションにもなりますが怒りの感情による負のエネルギーだ、と。
 そうすると魔法が弱まっているという意味は、エンタメがどんどんつまらなくなっているという意味にも取れます。

 エンタメは単純に感情を弄ぶことではない。本気で人を喜ばせたいという気持ちが大事だ、ということがテーマで語られていると思います。

 これは見る側もそうですが、エンタメの制作者側の態度に対する痛烈な批判にも見えます。感情を揺さぶる感動ポルノだけがエンタメじゃない。本気で喜んでもらいたいという気持ちがあるか。

 また、アッコのシャリオに対する憧れの気持ち。これはシャリオカードを見れば「憧れ」「スター」を表現しているのがわかります。
 ネットやSNSなどの情報のせいで、芸能人やエンタメの登場人物が等身大になった結果、スターが不在で憧れの存在がエンタメ界にいなくなったことと対比できると思います。
 誰かを目標にがんばる、というのは、憧れられるような大きな存在がいるから、その人を目標にがんばれる、ということです。

 この大きなテーマの他、エピソードの中に面白い含意がありますので、大人の視点で見ても面白いことに気が付くとおもいます。

 あ、言うまでもなく作画も演出も背景美術も何もかもが高水準です。音楽も感情を上手く乗せてくれるいい使いかたでした。


 なお、ダイアナ萌えです。最高です。


追記 SNSとエンタメだと狭いかなあ。そういう意図はあるとは思いますけど、夢と言った方がいいかなあ。

 テーマはエンタメというより広くとって夢と言いかえたほうが、正しいかなあ。シャリオカードとか冒頭のシーンにもつながるし。
 ただ、どこかに人を楽しませるというテーマ性を感じるんですよね。作家とか出てくるし。なぜかサッカーの暴動のシーンが最後の方にありましたし。
 エンタメというと言葉としては狭すぎなんですけど…夢と目標…そして憧れ。どうでしょう。SNSも批判だけでなく、人に見られることで応援されるという意味もあったので、単純ではないでしょう。憧れの存在の不在…スター、そして夢をあきらめない、夢を追う…そういった「感じ」は特に後半は感じました。

 絞らなくていいですか。いろんなことが考えられる良いアニメだったということで。

投稿 : 2022/11/06
閲覧 : 611
サンキュー:

13

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