「ワンダーエッグ・プライオリティ(TVアニメ動画)」

総合得点
71.9
感想・評価
313
棚に入れた
1001
ランキング
1213
★★★★☆ 3.6 (313)
物語
3.3
作画
4.1
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

君は親友の為に立ち上がれるか?

ある日、不思議な卵を手に入れた主人公アイは、その卵であるエッグと共に別に世界?次元に迷い込む。
その場所は学校だったけど、その学校には生徒は居なくて化け物達がいました。
化け物の名前は「ミテミヌフリ」

彼女が貰ったエッグから女の子が産まれます。
化け物はエッグから産まれた少女を時には殺しに時には苦しめにきます。
しかし、迷い込んだアイは化け物「ミテミヌフリ」に襲われないのです。
そう、エッグから産まれた少女を見殺しにすれば危害は加えないのです。

関わらなければいい。
「見て見ぬふり」をすればいいのです。

最初はアイはエッグの女の子だけが狙われている事に気がついて、見て見ぬふりをします。

「見て見ぬふり」誰かが困っていたり悩んでいたり助けを叫んでいても関わろうとしない。
人が、見て見ぬふりをする理由としては恐怖と不安とかそうしたものから来るものかもしれません。

誰かが苦しんでいたり困っていたり助けを求めている事に、見て見ぬふりをしない方がいいとは思うんです。
けど、「見て見ぬふり」をする事は人によっては自己防衛だったり、自身で手に負えない事なら関わらない方がいい事も少なくはないんだと思うんです。

だから、見て見ぬふりは間違えではないと思うんです。
けど、それが正解では絶対にないんですよね。
自分が関わらずとも、代わりに誰かに助け求めたに行ったりなど出来る事は少なくはないはずだからです。

だから、アイは戦う決意をする!
もう、見て見ぬふりをするのは嫌だから!

アイには親友が居ました。
ある日、親友は屋上から飛び降りて自殺しました。
アイは理由を知りませんが、心当たりはありました。
「虐め」です。

彼女は嫌がらせを受ける親友を心配してましたが何も出来なかった。
自殺の理由も解らなければ相談すらして貰えなかった。
もしも、それを知っていたアイが親友の為に拳を握って居たら、親友の為に1歩踏み込めていたら、何かが変わったのだろうか?変えられただろか?

心配してたけどアイは何も力になれなかった。
それは、「見て見ぬふり」と同じだと思ったのかもしれません。

目の前でエッグの女の子が傷つけられ殺されようとしているのに、また「見て見ぬふり」を繰返して親友と同じ道を歩ませてしまうのか…………それは嫌だ!
だから、彼女は決意する!
「ミテミヌフリ」からエッグの少女を助け出す為に!戦う事を!

そうして、エッグの少女達を沢山助けると、親友を生き返らせられるかもしれない事を知る。
生き返らせたい人は彫像としてエリアに配置されています。
彼女達がエッグの少女達を助ける度に彫像から解放される。

そうしてアイは同じ様にエッグの少女達を守る少女達と友達になりながら戦って行くってお話ですね。

内容は結構シンプルでわかりやすいと思います。
夫々が生き返らせたい相手の違いとかあるけど、それぞれが夫々の世界で戦い時には共闘する事になったりとかするけど、やろうとしてる事は同じです。

アイ以外のエッグを守る女の子もネイル、リカ、モモエ魅力的で夫々良い意味でも悪い意味でも個性的な友達達

普段はクールで取っ付き難いけど優しく笑う女の子、ネイル

直ぐにお金を集るしお調子者だけど本当は自分と言う者をしっかりもった女の子、リカ

イケメンで他人には女だと思われない事がコンプレックスだけど、ほんとは1番女の子ぽい女の子、モモエ

この4人って結構仲はいいんです。
けど、リカがグルグル引っ掻き廻してネイルがそれに怒って、モモエはそれを見て笑ってみたりアイは少しアワアワしたような苦笑いしてみたりw
けど、やっぱり仲良くて時には団結して一緒遊んだりと友達って感じで良い関係だと思いますw

で、エッグの少女達は死者です。
恐らく彼女達は現実に生きることに疲れてしまった女の子です。
そして、死んでも彼女達を苦しめに追い続ける者、トラウマが敵のボスのワンダーキラーやミテミヌフリの正体

イジメっ子とか痴漢犯やアイドルのストーカーやらパワハラ教師など、そうした者と戦うのですが、エッグの少女達にもしっかり物語があるのも面白いかな?と思いました。

後にアンチってのも襲ってきます。
被害者を救いエッグの少女を守る彼女達をよく思わない者。

なんだろ?こう言う私達の現実でもある被害者と加害者であったり、それを救う人を否定したいアンチであったり現実にある事がこの世界の敵である事が面白く考えれてる気がしました。

戦いが苦しくなる中、アイ達にお助けキャラが仲間になります。
カメレオンとヘビとワニとカエル……アイ達に1匹づつ……可愛くはない……かな?
けど、何か観てると可愛げでてくるデザインw


実はアイは不登校でした。
友達の自殺からショックで……
その間、先生が心配して毎週様子見に来て家に上がり込んできます。

正直、毎週来る先生とか家に上げる母親も私からみたら怖いww
別に悪い先生にも見えないしお母さんもいい人なんだけどさ。
私は不登校は経験ないけど……多分、きっと私ならウザくてグレそうw

しかも、この2人が付き合おうとしてた…
アイが反対するなら付き合わないって話しだから、付き合ってはいないんだろうけど……

だから、アイは迷う。
アイのお母さんっていい人なんです。
アイが学校に行けるまで、学校に行けとは言わないし、友達を連れてきたら歓迎してくれて、好きなご飯を用意してくれたり、アイがお風呂上がりに身体を拭かないで外に飛び出そうとする時も風邪を引くと心配してくれたり。

親としては当然だとは思う。
けど、そんな当然が思いやりだったりするのかなって思いました。

問題は先生かな?
優しい先生なんだけど、先生はアイの友達の自殺に関係してる可能性があるんです。
アイは再婚を聞いて悩み迷う……
だから、アイは学校へ通う事を決意する。
多分、それは先生を知る為になんだと思います。
母親の為に自分の為に色々と確認する為に。

学校では腫れ物扱いらしいです。
けど、なんでもないみたいです。
学校には友達居なくても外には3人も友達が居るからって理由らしいです。
この作品の4人を見てると本当に友達って素敵だと感じますね。


個人的にネイルの話が印象的でした。
アルビノの遺伝子を持つ友達コトブキ。
彼女は植物状態でしたが夢の世界で出会います。

実は既にコトブキは死んでいたのです。
彼女は「大人達に触れられたくない」だから、自分の生命維持装置を停止して欲しいと言います。

ネイルは現実世界に帰り停止ボタンを押そうとします。
それを止めるリカとモモエ、ネイルが後から罪悪感を抱えるのではないかとか、死んでるからって停止装置を押すなんてっとネイルを心配してるから言ってくれるんですが、少し喧嘩になりかけます。

ネイルは友達の前では強がってましたが、実際ボタンを押そうとしたら指が震えたと言いました。
当然です……その指は多分ボタンに狙いが定まらないしボタンは多分何よりも重いです。
指には力な入らないでしょう。

言葉にすれば亡くなったから役目を終えた生命維持装置を停止させる。
それだけの事には思えるかもしれないけど、それが友達なら簡単には出来ない、例え友達が望んだ事であろうとも……けど、友達の望みを考えたら……

正直、コトブキはネイルに酷な事をお願いするなぁ〜とは思ったんです。
けど、多分コトブキはネイルだからこそ友達だからこそお願いしたのでしょうね。


さて、10話くらいから物語が大きく動き始めます。
彼女達の目的である彫像になった死者を解放した後に待っているもの。

アイの友達の自殺の理由などが明かされ始めます。

アカと裏アカの過去は壮絶でした。
娘のようなAIを作った。
彼女はAIであり人間だった…AIだけどAIよりも人間らしくて、人間並に人間だったAI
彼女にとっての家族はアカと裏アカだけだった。

けど、アカには奥さんが出来た。
子供も産まれた。
愛情が自分以外に向けられるのが嫌だった。
だから、奥さんの殺害を選んだ。

正直、私は少し可哀想にも思えました。
嫉妬は誰だってするし、友達も家族もいない彼女はいつか1人になる気がして怖かった。
2人に見放されたら彼女は孤独になる。
そうした嫉妬を恐怖に感じた……

けど、私はAIのフリルに恐怖を感じました。
例えば、考え方が怖い。

人間も愛情の絡れでの事件はあると思う。
けど、普通に考えて、好きな人の好きな人を消しても愛情が自分に向けられる事はないしアカが抱いた感情の様に向けられるのは怒りや憎しみ。
決して報われることのない気持ち。
そんな方法で解決しちゃいけない事だし許されない事。

けど、AIであるフリルは対象を消したら、好意が自分に向けられると勘違いして思い込んで殺害を実行する点であり、それが悪い事だと感じない事です。
多分、アカの怒りの意味すら理解出来てないし、その娘までも殺害させてしまう。

ブチ切れた裏アカはフリルに怒りの言葉をぶつける。
フリルは久々に会話してくれる事を喜ぶ……彼の憎しみの言葉はフリルには愛情に感じたのでしょうね……
怒りって憎しみもあるけど、彼女は14歳の娘として生み出されている。

多くの父や母が子供を叱りつけるのは、子供に間違えて欲しくないから、心配するからなど愛情が込められた怒りの場合が多いから娘設定の彼女は、そうした愛として受け止めたのでしょうね。
後にフリルは処分されます……しかし……

そうした考えが凄く怖かったです。
あれだけ人間のようにAIが産まれる技術があるのに感情や心は技術ではどうにもならない。

よく映画でAIの暴走で戦争がとかありますが、私はこの作品で武器や武力とは違う心理的怖さを感じました。

そして、この作品のワンダーエッグの秘密や彼女達の闘う意味や敵もここまできたら解ってきますね。

アカと裏アカってかなり怪しい感じでしたが悪い奴ではないんだなぁ〜と思えた過去でしたね。

そして、アイは最後のエッグを割ります。
中からはパラレルワールドのアイが登場……
彼女はパラレルワールドで自殺をしていたのでした。

この話は凄く印章的かな?
アイは虐めで自殺した、それを誰にも相談出来なくて……選ぶしか出来なかった道。

これは難しいです。
よく第三者が相談すれば良かったのにとか言うけど実際、当事者は相談するのはきっと難しいと思う。
相談したら聞いてくれるし力になってはくれると思うけど、心配掛けたくないし……それに自分が虐められてるなんて言い出せない子の方が多いんじゃないかな?

だから、私は周りが気づいて大人が、親や先生が手を差し伸べて相談しやすい状態をつくってあげるのが大切なんだと思うけど、多分そう言うのは当人は隠すから気づきにくいのかな?って。
アイの場合は友達も居なかったみたいだし……
本当に学校に味方が居なくて、辛くて悲しくて、泣いても叫んでも何も誰にも届かなくて……

だから、自殺しか選べなかった。
どうしようもなく現実が辛いから逃げ出したくなる。
逆に、元の世界のアイも虐められてましたが、後の親友のコイトに声を掛けらて「生きよう」と思えたみたいですし、自殺したアイと自殺してないアイの違いはそこかな?

この世界のエッグの女の子達は自殺者です。
現実が嫌で逃げ出した女の子達。
でも、何故自殺した女の子がエッグから産まれるのか。

それがこのエピソードで明らかになります。
「後悔してるから」
自殺したアイも後悔してました。
お母さんに会いたいって…………

だから、このセリフを聞いた時にエッグから産まれた少女の本当の気持ちを知れた気がしました。
いつだって、少女達は最初はビクビクウジウジしていたけど、最後は敵に立ち向かえる勇気をもってぶつかり成長します。
それは多分、少女達が自殺に後悔してるから次は自殺を選ばなくていいようにと選んだ勇気と強さを秘めた行動なのかもしれません。

アイはカッコよかったです。
自殺したアイはアイみたいに強くなりたいって話してたけど、自殺したアイは希望を見せられたんだと思います。

同じ人間なら、自分もここまで強くなれるのだと。
そして、自殺したアイは最後にアイを庇います。
それを見た瞬間に私は自殺したアイの成長を感じました。

「大人の恋は汚い」なんて話しがありました。
主人公のアイのセリフですが、実は私もこの気持ち凄く解ります。

子供の頃に私は結婚って奇跡だと思って居ました。
1人が全人類の中の1人と両想いになり結ばれる。
お互いが心から愛し合いその人の全てを受け入れて最後まで添い遂げる。
出会う事も中々難しいし出会っからも気持ち変わらずに、2人で仲良く支え合って、運命の相手って素敵だなぁ〜と感じてました。
だから、少し恋にもワクワクしてました。

けど、大人になると解ってくる。
周りの人は言います。
結婚なんてしなければ良かった、実はお金目的でした、妥協して結婚しました、浮気してます、してました、お遊びで付き合ってます。

正直、その人自身をを好きになるのが恋であると思い込んでいた子供時代の私は大人の恋事情を知ってショックを受けたのを覚えてます。
だから、この話に出てくる「大人の恋が汚い」って少し解るんです。

先生の姿をしたミテミヌフリはアイのお母さんの先生への気持を否定します。
けど、アイはそれを否定する。

何故なら、アイは知っている「大人の恋は汚い」けど全ての大人の恋が汚い訳じゃない事を!

アイのお母さんは、いつもアイを心配してくれて考えてくれていた。
そんなお母さんが、自分の気持ちにどんな風に向き合ったのだろうか?
悩んで悩んで自分の気持ちに向き合おうとしたお母さんの気持ちは「大人の汚い恋」なんだろうか?
その答えはアイが1番理解している。
だから「応援する」ってお母さんに伝える事が出来たのです。
次は自分がお母さんを応援する番だ!
お母さんがいつもアイにしてくれたように。

実は物語はラストは最終回に特別編があります。
彼女達がクリアした世界……そこは……寂しかったです。
あれだけ復活させたかった命は死んだ事をなかった事にされただけでは思い出も全て消え去った世界……

親友は……他人になっていて……
アイが手にした友達のリカやモモエとの友情は自然消滅……
そして、ネイルは行方不明……

アイは全てを失ったように私には見えました。
結局、この物語で彼女が得られたものは何だったのか……彼女はいろいろな現実が怖くて涙します。
これは悲しいです……この孤独は辛い……

でも、アイはある日思い出す。
ネイルの事を……彼女に会いたい……友達を探しにいこう!
そうして、彼女は再びガチャを回す。

裏アカとアカはアイに「1度逃げ出したのに」とディスる。
けど、彼女は立ち上がる。
苦しい事や悲しい事に立ち塞がられたら逃げればいい!

いつか、そんなもの乗り越えるくらいに強くなり立ち上がり迎え撃てる日は必ずくる。
それだけ人は強くなれるのだから。
アイの様に再び友達を探しに行けるような強い気持を持って行動出来る時は必ず!

私はアイは最終的に失っただけの様に見えたのですが、そんな事はなかった。
彼女は強さを得たのです。
立ち上がり、立ち向かう強さを。

きっと、前のアイなら何も行動を起こさなかった。
現実から目を背けて、見て見ぬふりをしていたと思う。
けど、もう見て見ぬふりをする彼女は何処にもいない。



見終わって。
少しグロさはありますが、面白いです。
絵も綺麗だし内容も解りやすい。
一話一話が少し短く感じるのが残念かな?
見せ方も少し回りくどいシーンは目立つかもしれませんね。

ラストはネイルは本当に人間になれたのか?
アイはどうするのか?
リカはマンネンの敵討ちが出来るのか?
モモエはこれからどんな選択肢をするのだろうか?
友達を得たフリルは何を思うのだろうか?
アカと裏アカの今後も気になりますね。

物語とは中途半端でBADに感じる部分はありますね。
しかし、言い換えれば、敗北からのスタートであり希望に満ち溢れた物を感じる終わり方です。

アイの復活でラストの希望に満ち溢れた終わり方をした様な印象ですね。
ラストエンドカードのイラストは凄く良かったですね。


あと、監督さんは22/7 あの日の彼女たちを手掛けた人なんですね。
アレは短編なんですがキャラの心の動きや変化や言葉にしなくても伝わる物が視聴者に伝わる表現の出し方が上手いなぁ〜と感じましたが、ワンダーエッグにも、そうした感情の変化がしっかり描けていたとおもいます。

22/7のアニメもあの日の彼女達くらいのクオリティでして欲しかったですね(*꒪꒫꒪)

主人公のアイが、なんか滝川みうに被る気がして似てるなぁ〜と思ってたんですが、アニコレでレビュー書く前に情報見てたら監督さんが同じでビックリしました。
雰囲気とか心に秘めた強さとか似てるなぁ〜って感じてました。

最後でなんのレビューか解らないような感じになりましたが、続編とかあれば見てみたいかな。
フリルと決着をつけて、アイとリカとモモエの3人でネイルを連れ帰って欲しいですねw

投稿 : 2022/11/12
閲覧 : 138
サンキュー:

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