「転生王女と天才令嬢の魔法革命(TVアニメ動画)」

総合得点
73.0
感想・評価
342
棚に入れた
946
ランキング
1045
★★★★☆ 3.5 (342)
物語
3.2
作画
3.8
声優
3.6
音楽
3.4
キャラ
3.5

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ネタバレ

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

転天革命~綺麗にまとまっている。美しい世界の話。

【First impression】

 原作はまったくもって知らないです。
 ただ、脚本がなんと『俺ガイル』の原作者の渡航さん。
 転生モノで似たような設定の作品が多いなか、1話で登場人物の紹介をするのはどの作品でもありますが、説明的になりすぎず、キャラを魅力的に魅せることに成功している。
 また、2話目への引きも良い。
 そしてまた2話目にはこれはこういうテーゼですよーって分かりやすい。
 ハイスピードの1話に対して、まったりスタートの2話これは続けて観ると緩急が素晴らしいです。

 難しいコンテではなく、作画を大変にしすぎない制作の姿勢はストーリーで見せる方向性なのかもしれないですね。
 とはいえ、キャラの崩れもほとんど見受けられないので、とても安心して見る事ができますね。

 最後まで楽しませていただきます。

【second impression】

 今期ナンバーワンかもしれん。
 ヴィンランドサガ2もあるけど、あっちは作画の良さが一段上な印象だけど、逆に省エネなレイアウトに対して表情の演出最高です。総作監様だか作監様か分かりませんが素晴らしい仕事していると思います。
 なにより、話の構成と脚本が良いです盛り上がってまいりましたあああ!!
 ラノベタイトルで少し様子見の人は覗いてみて欲しいし、門外漢ですってかたもちょっとだけでも触れてみて欲しいなと…。
 とはいえ、超絶作画ではないので、あしからず。

 11話クライマックスへの期待感爆上がりです。

【Staff】

 原作者         鴉ぴえろ
 シリーズ構成/脚本    渡航
 監督          玉木慎吾
 演出          草川啓造
 総作画監督       井出直美/松本麻友子/石川雅一             

 Firstでも書いてありますが、この作品の原作は全く知らないので、軽くググりました。小説家になろうからライトノベルになり、マンガ化とアニメ化するという流れのようです。この作品の内容がどのレベルまで再構築されているのか分かりません、とはいえ、ちょっと原作も気になりましたので、なろうの方で読んでみたいと思います。
 んで、シリーズ構成とメインで脚本を書いているのが、渡航さんですね。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の原作者でもあり、『ガーリッシュナンバー』や『クオリディア・コード』でシリーズ構成、脚本を経験しアニメ業界へ進出しつつも俺ガイルの続編を出版している感じです。正直言ってファンです。今作は渡航風味を薄くしてあります。本来の彼の作風を知っていると、原作を大事にしている感じがして、とても好印象です。

 監督は玉木慎吾さんで演出も担当していました。もとは作画畑の方のようでしたので、絵コンテも描いていますね。全体的に作画に負担をかけない構図であったり、変に難しいカットを作らないように気を付けている雰囲気が感じ取れました。これは手抜きではなく、色々なバランスを調整するという監督のお仕事で、素晴らしいチューニングだったと思います。
 というのも、基本的に作画監督の名前が海外で、日本国内のマンパワーをあまり使えない、という制約を最初からある程度予想できていたからなのかもしれません。そうするとまぁプロデューサーの手腕も云々と話が広がってしまうので深堀はせず、閑話休題とします。
 こちらの監督は演出もしておりますね。また演出さんでいくと、各話数で違う人が立っていますが個人的に6話と11話を担当した草川啓造さんが素敵でした。監督の玉木さんの師匠なのかな? 分かりませんが、『あひるの空』で総監督をしています。その時の監督が今回の監督の玉木さんという所を見ると、師弟関係かどうかはさておき、影響下にあるとは思います。
 んで、何が素敵かって、本当に表情の演技がグンバツです。コミカルもシリアスもイケる。細かい動き、例えば髪の揺れ戻しなども丁寧ですね。
 次いで、総作画監督です。基本的には3人でした。
 丁寧な演出に超絶丁寧な作画が乗っており、しっかりとまとまった作品に仕上がっています。アップの作画は本当に見事ですし、アクションの作画やエフェクトも良かったです。

【Review】

 この作品は【転生×百合バディ】ものですかね。
 タイトルにある転生の文字は舞台装置であってもテーマではないですね。まぁ転生モノは大体そういうものなので、あまり気にしないのが良いかと思います。
 が! 今作の舞台装置はネガティブな使い方をしているので、これまでの異世界もののいきなり魔法使えて無双する、などの主人公ムーブとは違いますし、転生した所からのスタートではなのです、
 この世界では魔法を使える事を貴族の特権としているのですが、主人公は魔法が使えません。そのため王位継承権を早々に放棄し、弟に譲っているっていう場面設定からスタートします。

~キャラ~ 略称でご紹介
 本人つまり今作の主人公であるアニスは魔法が使えないからと言って諦めて腐るのではなく、魔学って名前をつけた研究をし、魔力的なものがなくても誰でも使えるように…という考えのネガティブな要素があっても負けずにポジティブに頑張る人っていう事が一話目で分かります。キャラの魅力が一話目でちゃんと紹介されていて良い脚本と演出で良作の予感を感じ取りました。
 この魔法を使えない欠点が転生した因果と結びついている点は新しいですし、本当だったらそうだよな、などと何が本当だったらなのか分からないですが、思ってしまいまして何となく説得力を感じてしまいました。
 転生モノのマナーとしては元のいた世界の知識などを駆使して無双するというお決まりのパターンで、そこはツッコんではいけませんみたいな雰囲気ですが、今作ではむしろ逆なんですね。

 さて、今作のヒロイン…というかもう一人の主人公? であるユフィはアニスの弟で次期国王の婚約者として登場します。つまり次期王妃。こちらは文武両道、才色兼備で非の打ち所がない公爵令嬢で魔法の天才です。
 一見マイナスの要素がないのがマイナスな気がしますが、彼女の表面は常にノブレスオブリージュを徹底していて、それが原因…で深く傷つくことになってしまう。
 それを救ったのが主人公でありまして、この関係性は私的にはヒロインだと思っています。

 んで、物語をドーンと展開させていくのが、主人公の弟であり、ヒロインの婚約者でもあるアル君です。
 君付けは姉のアニス様がしていたので、アル君までが名前でOKだって噂で聞きました。さて彼の一話では何やらいつもイライラしています。
 次期国王だというのにこのストレス抱えてまっせっていう雰囲気がちゃんと演出されているし演技されているのがもうね、このアニメが高得点になる所以なのです。んでこれがその後ちゃんと回収されるっていうその場その場で回されている脚本じゃない所も高得点なのです。
 どうしてなのかっていうのはちゃんと本編で分かりやすく語られているのでまだ観ていない方は是非にって感じです。

 脇役達はどうなんじゃって?
 主人公の侍女や友人、親なども出てきますが、女性のキャラのキャラデザは良いですね~性格を捉えていますね。
 とはいえ、あまりキャラの深堀っていうのは特にされてはいません。ですが、感情の表現がされているのでキャラがどういう性格なのかを推し量るだったり想像するだったりができています。この辺りは本当に演出さんや総作監さんの能力の高さなのかなって思います。脚本、絵コンテからしっかり指示されている可能性もありますが、その場合はちゃんとキャラの心情を把握している監督の解釈の度合いだったりそれを伝える能力だったりが高かったって事なのかもしれませんね。
 手を抜いたなと唯一感じたのは悪役として登場した親子のキャラです。暗躍する舞台装置ですが、キャラクターデザイン違う人なのかなー? と思ってしまいました。とはいえ、役割としては重要ですが、魅力を引き出す必要性としは薄いと感じるので、蜥蜴の尻尾をきるならこの辺りだったとすると英断だったと思いました。

~ドラマチックな展開

 紹介した3人をメインにして物語は進んでいきます。それぞれに立場があり、想いがあり、思いやりがあります。
 こうしたかった、ああしたかった。こうしたい、ああしたい。迷いがあり、決断がある。
 そして、ちゃんと終わりがある。このまとまった感が何ともいえない気持ち良さになっていて、ここにはカタルシスが存在しています。
 このレビューの冒頭【second impression】で11話目で興奮して追記してしまったほど、この溜めこみが上手いのでカタルシスが効いてくるんですー。
 ストーリーよりも生き方を描くドラマを見せる方向性なので、詰め込んでいる感じがあってもそんなに気にならなかったです。

 ああ、楽しかったよぉ。もっとアニスの活躍を―――活発な姿を観ていたい。そんな気になってしまうそんな素敵な作品でした。


【おわりに】 

 原作読んでみたくなりましたぁ。
 渡航だから上手いのか、原作者が良かったのか果たしてどっちなのか…どちらにせよ。生み出した人が神なわけで、原作者の鴉ぴえろさんには感謝するしかないです。
 今期は画のちからにキャラの魅力をひきだせなかった作品がちらほら…ありましたが、こんなに上手くいっている作品も珍しいなと本当に思いました。
 なによりも、割と省エネで制作されているのにも関わらずって点がポイント高め。いや手を抜いているってことはないので、本当にいい意味でって事です。

 唯一気になったのは背景かなー。自然は絵具たっちで良いんですが、木製の家具のテクスチャーがつやっぽすぎてブックわけで浮いて見える不自然感がどうしても気になってしまってしまいましたね。

 最近ではリコリス…は省エネではないですが、キャラの魅力を出せていて成功した事例だなって。世界観ちょっとついていけてないので、まだ最後まで観れていないのですが…。そういえば、あれも百合バディのもですな。
 そろそろ本格的なオジサンバディのもを期待しています。
 メタルギアのスネークとオタコンみたいな(笑)

 ここまで長く読んでくれてありがとうござます。
 では、よしなに。

投稿 : 2023/03/28
閲覧 : 183
サンキュー:

5

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