「ゴールデンカムイ(第3期)(TVアニメ動画)」

総合得点
79.0
感想・評価
285
棚に入れた
1189
ランキング
517
★★★★☆ 3.9 (285)
物語
4.0
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.6
キャラ
4.0

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

アニメは総合力。

【概要】

アニメーション制作:ジェノスタジオ
2020年10月5日 - 12月21日に放映された全12話のTVアニメ。
原作は『週刊ヤングジャンプ』にて連載されていた漫画作品。
著者は、野田サトル。

監督は、難波日登志。

【あらすじ】

アイヌの埋蔵金の在り処を記した暗号が掘られた24人分の刺青人皮を求めての、
主人公たち杉元一行、元新選組土方一派、鶴見中尉率いる第七師団の三つ巴の争奪戦。

網走監獄に収監されている、“のっぺらぼう”が本当にアシㇼパの父親なのか?
仲間のアイヌを殺して金塊を奪ったのは本当なのか?
真実を知るために網走に向かった杉元たち、
土方一派や第七師団らも網走に集う。

ところが、“のっぺらぼう”=ウイルクが杉元に、
アイヌを殺したのは自分ではない。
そして、金塊について重要なことを杉元に話して、
娘のアシㇼパに伝えようとした矢先に、
尾形に頭を狙撃されてウイルクは死亡、
続けて杉元も頭を撃ち抜かれて生死をさまよう重態。

父と杉元が死んだと尾形から聞かされたアシㇼパ。
杉元を裏切ったキロランケと尾形は、
唯一暗号の解き方を知っているアシㇼパを連れて樺太へ行く。
キロランケは樺太にいる昔の仲間と合流するつもりらしい。

土方は網走監獄で新たな囚人の情報を得て会いに行き、

鶴見中尉は、杉元が持っていた刺青人皮を全て手に入れて、
暗号解読に必要不可欠なアシㇼパ奪還に、
自分の部下に、脳外科手術で生還した杉元を参加させて、
追跡の旅に樺太に向かわせる。

まずは、南樺太の「大泊」でアシㇼパの目撃情報を集める杉元たちだった。

【感想】

アイヌの定義や民族・風習についてはアイヌ協会の資料に基づいてるっぽい作品ですが、
作品の第1話である1904年の26年前の1878年に来日して、北海道に一ヶ月間滞在した、
『日本奥地紀行』の著者として知られる、イギリス人の旅行家で探検家であるイザベラ・バード。

彼女の著述によると、アイヌの料理とは「いやなものばかり」
塩漬けの魚、干魚、熊の肉、なめくじ、海藻、野草、きのこ等のごった煮のシチュー。

様々な食材を特定の場所で採れる粘土でドロドロに煮込んで食べると書かれていまして、
辛辣とも言えますが、イザベラ・バードは、当時のイギリス人のアジアへの視点でありますが、
「朝鮮紀行」で当時のソウルの不潔さと民族性について忖度抜きの率直さで書かれていまして、
また、朝鮮を数度訪問してインフラが整備されて近代化していく様子も記述していることから、
客観的な資料的価値として信用できるのではないか?

逆に作中で紹介されているアイヌグルメが日本人の味覚に合っていて、
“ヒンナ!”であるのは本当なのか?

自分たちに都合のいいように歴史をでっち上げて北海道アイヌ協会は嘘ばかりついている、
そして、「ゴールデンカムイ」は嘘ばっかり!と狩猟や顔への入れ墨などの考証がおかしいと、
ひとつひとつに具体的な反証をしている、アイヌの血を引く工芸家の砂澤陣。
(アイヌ出身の彫刻家の砂澤ビッキを父親を持つ。)
その砂澤陣氏の言うところの弱者利権をでっちあげて補助金を得て公金の搾取横領を繰り返す、
アイヌ利権ビジネスの総本山であるアイヌ協会のプロパガンダ作品として、
「ゴールデンカムイ」が大いに利用されているのではないか?と。

ロシアの走狗となっている、鈴木宗男なる国会議員らの利益誘導の道具となっていることに、
フィクションをフィクションとして楽しみたいという感情に瑕疵が入ってますね。

アイヌ民族が北海道の先住民族とかいう理論は、
北方から海を渡ってきた大陸人が現住の縄文人と混血してアイヌになった。
だから純血のアイヌとはもともと存在しないと、遺伝学でも考古学でも完全否定されています。

現状のアイヌ民族運動に異を唱えると差別主義者のレッテルを貼って潰しに来るやり口が、
既視感がありすぎて、ネイティブアイヌなんて協会に殆どいなくて乗っ取られてるなて感じ。

差別されて、民族の誇りや信仰が和人(と露西亜人)に飲み込まれて失われてしまうから、
独立のために戦う!という作品の虚構も、如何にも政治的な意図にあふれているなと。

とはいえ、原作を読んでみるとアイヌと日本の対立が作品のテーマではありませんし、
明治政府に奪われるのに抵抗したアイヌの話としながらも、
最終回まで読むと落とし所として文化の共生の話になっていますかな。
作者自身は政治的な試みが薄いつもりなのかもしれませんね。

その前提のうえで、フィクションの活劇としては魅力的な作品であることを否定しません。
さて、アニメ3期は樺太が舞台で、ロシアの辺境を旅してる感じが良かったかな。
作中でも歴史的背景の説明があったとは思いますが、
江戸時代の樺太は間宮林蔵の探検談から見るにロシア人なんていなかったそうですね。

極寒の地の恐ろしさなど描かれていて、アニメとはキャラだけでなくて美術などの力も大事。
シリアスな緊迫感が演出されていて、1期や2期より楽しめましたかな。

ギャグが冴え渡っていたのも好印象。
サウナのシーンのホモ臭さとかサーカスの話とか最高に笑えましたもの。

いろんなキャラクターがいて、それぞれの思惑とか過去が入り混じっていて話が繋がっている。
あのキャラにはあんな過去があったのか!と歴史的背景を踏まえて話が作られていて、
その中でも鶴見中尉の若かりし日の過去をアニメ化するにあたって仕掛けがあって、
声優の人選にいたる経緯を難波監督がTwitterが説明してるのを読んだりしますと、
原作を理解して敬意を払ったうえで、どのようにしたら面白いアニメになるのか?
綿密に考えられて作られているのだな!と感心しました。

アイヌ文化の紹介については個人的には眉唾ものとは思いますが、
むくつけき男どもの逞しさや色気については、3期も健在。
エンタメ作品としては十分な面白さがありました。

2期までは、網走監獄の話で締めるというオーダーがあったのか、
本編に入れられなかった話が多かったという不満がありましたが、

3期相当部分ではノーカットで全てアニメ化されていて、
作画や演出のクオリティも向上して、これまででは一番充実した内容のシーズンでした。

これを最後にジェノスタジオから4期ではブレインズベースに変更。
作品は難波監督などの、これまでのスタッフの手を離れることになりました。

4期はまだ見ていませんが、引き継ぐのは大変だろうと思いつつも、
続きを見るのを楽しみにしようとは思いました。


これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2023/02/05
閲覧 : 161
サンキュー:

30

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