てとてと さんの感想・評価

3.8
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

姉妹の魅力と選挙題材は良し、不快展開やその他キャラの弱さ差し引いても良作

高校生の選挙戦を題材にしたアダルトゲーム原作アニメ。全12話。
主人公が廃部回避すべく立候補、対立候補のヒロインらと交流したりする。
※作品データベース様より転載

【良い点】
選挙を題材にした意欲作。学生が巨大権力云々な設定もお約束で、選挙戦を若年層向けラノベめいて分かり易く描けている。
底の浅さ自体は娯楽アニメとして欠点とは言えない。
学園物のラノベやギャルゲーらしいキャラ配置や雰囲気も親しみやすい。
女の子も軒並み可愛く、特にメインで交流する才色兼備な対立候補、女教師、虐げられる奥ゆかしい子の三人は非常に魅力的。
キャラデザもかなり可愛いし、主題歌も良い。
ストーリーも選挙戦とラブコメと陰謀劇を詰め込み気味ではあるが巧みに進行、中だるみせず全12話完結させている。

選挙の戦略や戦術、醍醐味など、中々上手い。
6話の開票で、ただ当確するだけではダメ、下位候補に落ちてもらわねば決選投票で勝ち目は無い云々な展開はリアルの選挙ぽかった。
作中での経済特待生への差別で分かり易い問題提起から、少数派の声が届かない民主主義の限界など、結構鋭いテーマ。
浮動票のいい加減な民意も含め、良い風刺だと思う。
確かに非現実的で幼稚なフィクションではあるが、高校生主人公のフィクションだからこそ描ける作劇だってある。
主人公の大島(おおじま。おおしまにあらず)の演説は稚拙ではあっても、幼い彼なりの理想、真摯さはちゃんと伝わった。
彼が巨悪に打ち勝てたのは御都合展開はあれど、真っ直ぐな在り方で味方を得ていた結果であり、王道な勝利と見ていい。

ヒロインは清廉な志を持つライバル候補のサツキちゃんが非常に可愛かった。
大島を〇島君(毎回名前いじり)呼びするからかい上手なお茶目さ、大島に惹かれつつ、姉のハヅキ先生との複雑な感情に揺れる…
正統派な黒髪優等生美少女でスタイル抜群からのギャルゲーイベントもおいしい。

酒浸りなダメ大人ながら、ハヅキ先生のヒロイン度も侮りがたし。
恋のバトルで終始妹にヒケを取らないくらいの魅力あった。
過去のアドバンテージで主人公にとって大切な女性な感があり、この手の大人ヒロインとしてはかなり存在感示した。
本作の見所として選挙よりも、東雲姉妹とのロマンスの方が魅力的だった。

苦学生として理不尽に虐げられるイサラちゃん、これは主人公が守ってあげたくなる可愛さ。
もう一人、無口系のミチルちゃんも萌える。
その他部員は賑やかしではあるがキャラは立っている、緒方恵美ボイスなBL後輩男子とかコメディー要員としてキャラが濃い。

【悪い点】
巨悪のシャレにならない暴力的な謀略に翻弄される展開が不愉快、かなり評価下がる。
まるで独裁国家で横行しているような実力行使とか、ライトな学園物として見ると興醒め。
選挙題材だったら、贈賄とか、もっと穏便なネタが無かったのか。(一応贈賄はイロモノ候補がやってるが)
リアリティーは別に構わんけれど、不快感抱かせるようなぶっ飛び方は勘弁。
あと、釘宮眼鏡っ娘が最後まで不快で溜飲が下がらない。報いは受けたが不敵さ崩さなかった、はっきりギャフンといってほしかった。
「妖怪アパートの優雅な日常」の山本小夏と憎々しい釘宮キャラのツートップ、そういや山本さんも眼鏡という共通項が…

イサラちゃんとの交流は良かったけれど、もう一歩物足りない。
ミチルちゃんは謎が多く、結局アニメ中では本領発揮出来ていなかった。
序盤命狙われたカナちゃんとミチルちゃんと治安部長の関係性など、終盤詰め込みで不十分。
そしてメインヒロインと思われるチサトちゃんが、ヤンデレで足引っ張るネガティブな印象の方が強いのも難。
イサラちゃんへの差別に怒る大島を止めたシーンは印象悪い。
大島にとって一番大切なヒロインなのは分かるが、交流が足りておらず、終盤からラストのメインヒロインな説得力が乏しい。
選挙戦で丁寧に交流したサツキちゃんに大きく見劣りしてしまう。
総じて東雲姉妹以外のヒロインの描かれ方が今一つだった。

選挙題材として見ても、6話開票以外では見所が多くはない。
ライトな学園コメディーやヒロインたちとのラブコメイベントに尺を取られて中途半端になった感も。
ヒロインとの交流はともかく、それ以外の無駄尺が目立った感。

【総合評価】6点
選挙と恋をライトに描いた意欲作ではある。
層の分厚い2012年度でも印象に残る人気アニメの一つ。
評価は「良い」