ガタリリス さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
岡田斗司夫氏が絶賛してたので見てみた
岡田斗司夫氏がyoutubeで絶賛してました。
それで思わず興味を持ったので視聴。
一言で表現するなら
「クレヨンしんちゃんの皮を被った文学」
といった印象を持ちましたね。
冒頭で大人たちが「20世紀博」にハマって、日常生活を放棄するシーンがかなり印象に残ってますね。
私はこれは”社会人の本音”を描いた作品だなと感じました。
一般の社会人は仕事をして色んな責務を負って生活してますが、その重圧から”逃げ出したい””子供の頃に戻りたい”と大多数の人が感じてるんだと思います。
それを暗喩的に表現してるのが本作なのかなと思いました。
子供の心に戻った大人たちは職務を放棄し、童心に戻って遊びまわる。
しかし、残された子供たちは困った様子で途方に暮れてました。
場面が進んでヒロシが正気に戻ったシーン。
この場面が本作の一番の魅せ場だなと思います。
ヒロシの臭い靴の匂い(笑)を嗅いだことで正気に戻ったヒロシ。
その時の過去の走馬灯が一番印象に残ってますね。
田舎から都会に出て来て社会人になり、ミサエと結婚して子供を産んでマイホームを建てる。
この平凡な人生をケンは「つまらない人生」と切り捨ててますが、ヒロシ自身は「この幸せをお前たちにも分けてやりたいぐらいだぜ!」というセリフが最高にカッコ良かったですね。
ヒロシにとっては、この平凡な人生こそが一番の幸せであり、守るべき存在であったという事を印象付けた名シーンでした。
20世紀を過去の子供時代の憧憬だとするなら、21世紀は大人たちにとっては未知の新世界といった感じなのでしょうか?
似たようなテーマを扱った作品に「20世紀少年」がありますが、この作品も過去のノスタルジーに浸り、黒幕の人物は過去に逃避してるような印象を持ちました。
私個人の感覚では21世紀的な価値観の方がしっくるのですが、私の親世代くらいの方達にとっては20世紀というのは不思議な魅力に包まれた時代だったのかも知れないですね。
「クレヨンしんちゃん」という事で表面的には子供向けの作品だと思いますが、奥にあるテーマは「子供時代へのノスタルジー」や「社会から逃避したい衝動」という、むしろ社会人に向けたメタファーがメインだったような気がします。
しかし、本作の大人たちは最終的には21世紀という新時代を選びました。
20世紀という幼年期を終え、新しい時代に一歩を踏み出したという事ですね。
21世紀はどんな時代になるのか?
それに期待と不安を抱きながら本作の感想を終えたいと思います。
以上、拙い感想でした(・ω・)ノ