「ウインダリア(アニメ映画)」

総合得点
65.0
感想・評価
50
棚に入れた
184
ランキング
3441
★★★★☆ 3.6 (50)
物語
3.6
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.8
キャラ
3.5

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nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

脚本は大満足。絶滅危惧種「悲劇」を含む3つの話が絡み合う。

 しっかりしたストーリーです。約100分に3つのストーリーを濃縮させ、それでいてしっかりと物語の起承転結があり、テーマと考えるきっかけを与えてくれる重厚な脚本でした。1986年の作品ですが十分時代を越えられると思います。

 1つ目はロミオとジュリエットのような話です。王子王女の悲恋ですが、重工業により経済的に発展した国と海がある自然豊かな国の対比があり、ノブレスオブリージュがあり、それぞれの立場がありと、視点が沢山あります。
 2つ目がメインストーリーである、田舎暮らしの一攫千金を夢見る若者が恋人の元を離れる話です。不遇からの一発逆転。しかし、調子にのって都会を追われ故郷の恋人の元に戻ると…という話です。
 3つ目もカップルの話で、男が莫大な報酬の代わりに10年間幽霊船の船長を務め、その間地上には降りられない、地上で男を待ち続ける女性は…という話です。

 この3つのストーリーをまとめるのが「約束」というキーワードになります。
 工業国と海洋国、田舎の村という舞台に、この3つカップルの3つの話が非常にうまく絡まって、男の選択肢と女の幸せ…あるいは女の気持ちを考えない男たちの結末のようなテーマが描かれます。

 まあ、すごいですね。芥川龍之介とか中国の故事とかそういう感じだなあ、と思ってWIKIを覗いたら「雨月物語」を題材にしたそうですね。なるほど道理で芥川龍之介っぽいと思いました。最近あまり見かけなくなった「悲劇」をちゃんと組み込んだ、素晴らしいアニメでした。

 とはいえ、アニメの画面としては1980年代のキャラデザ、作画です。マクロスとかガンダムとかその他当時の美男美女のテンプレの様な感じです。今のビビッドな彩度に慣れていると暗く感じるかもしれません。そして、大作に比べると若干作りが甘いところも見受けられます。が、1980年代の作品ですから手抜き感はなく、魅せるところはちゃんと魅せているので、不満は感じませんでした。

 見られるサブスクはなさそうですが、まあ、工夫して見てみてください。今絶滅しかけている「悲劇」を描けている隠れた秀作…貴重な作品だと思います。

投稿 : 2023/05/18
閲覧 : 317
サンキュー:

7

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