でこぽん さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
フリーレンの旅 それは人の心を理解しようと努力する旅
これは一見、異世界冒険ファンタジーのようですが、実はそうではありません。
人間とは何なのか、生きるということは何なのかを、深く考える物語です。
人間とは何なのか生きるということは何なのかを深く考える学問として、哲学があります。
多くの人たちは、『哲学』と聞くと、敷居が高く無縁な学問だと思いがちです。
でも、この物語を視聴すると、フリーレンの心情に少しずつ共感してきます。
私達は、フリーレンの心を理解することで、いつの間にか哲学を学んでいるのです。
このような哲学だったら敷居も低いので、いつまでも学びたいですよね。
物語のあらすじは、千年以上生きるエルフ族のフリーレンが、勇者ヒンメルの死を契機に、人間を知る旅をします。
旅の行程は、七十年前に仲間と旅をしたときの道すじとほぼ同じ。
フリーレンは今を旅しているのですが、心の中ではいつも昔を思い出して懐かしんでいます。
物語の前半では、戦闘シーンは、ほんの少ししかありません。
それ以外は、旅の途中での些細な出来事です。
その些細な出来事の際に、フリーレンはいつも昔を思い出します。
その昔の思い出が、じわりじわりと心に響いてきます。
また、一緒に旅するフェルンの心情をフリーレンが理解しようと努力するシーンが何度もあり、そこには優しさが感じられます。
そして物語の後半は一級魔法使い試験を中心に描かれており、戦闘シーンが多いように見えますが、それ以上に受験者一人一人の生き様や信念、心情を描いています。
特に北部魔法隊の隊長ヴィアベルや人を殺すことに躊躇しない三級魔法使いのユーベル、この二人の顔を見た人は、誰もが彼らを悪人だと思うでしょう。
でも、この二人は、信じられないような優しい心を持っていました。きっとこの二人は、人に語りたくないような厳しい過去があったのだと思います。
また、宮廷魔法使いのデンケンの受験の目的が実に人間的です。妻の墓参りに行くため。他の人には理解できないかもしれませんが、彼にとっては最も大切な目的でした。
私達は、人の心を理解しているようで理解していないことが多いと思います。
これからはフリーレンを見習って、身近にいる人の心を理解するように努力したいですね。