「その着せ替え人形は恋をする(TVアニメ動画)」

総合得点
86.0
感想・評価
770
棚に入れた
2659
ランキング
218
★★★★☆ 3.9 (770)
物語
3.9
作画
4.1
声優
3.9
音楽
3.7
キャラ
4.0

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青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

好きなことを好きという勇気

福田晋一による原作漫画は、『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)で連載中(既刊14巻、既読)。累計発行部数1200万部。2020年「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞」男性部門賞。
アニメ1期は全12話(2022年冬)。監督は篠原啓輔。制作は、『SPY×FAMILY』、『ぼっち・ざ・ろっく!』などのCloverWorks。2025年に2期が放送予定(以上、Wikipedia参照)。
(2025.1.19 投稿 2.2 推敲)

リアルタイムでアニメを視聴後、原作漫画を追っかけてます。1期は漫画・アニメで見えない衣装の部分はどうなっているのか?といった衣装制作の奥深さに気づき始めたところでしたが、現在の主人公・五条新菜(CV.石毛翔弥)は、その延長線上で原作者の意図まで汲むなど、どちらかというと喜多川海夢(CV.直田姫奈)のことより衣装制作に夢中という「すごい真面目な展開」になっております。

なので、久々に1期を観て、第2話で新菜が海夢を採寸するシーンや、第3話の水着シーンや、第5話の作画するのがとっても楽しそうなヌーブラを2枚入れた「たゆんたゆん」に揺れる海夢の胸といったシーンの数々に、えっ、こんなにエロかったっけ…と(笑)

まあ、本作の場合は、エロいといっても、『ハイスクールD×D』のような直接的なエロではなく、同じ女性作家が描いた『僕の心のヤバイやつ』みたいに「思春期のDT男子の頭の中なんて、どうせこんな感じなんでしょう?」的なお姉さんに見透かされてる感じのエロさ。

そういう表現は、古典的な少年漫画だと「ラッキースケベ」(≒「のび太さんのエッチ」)であっさり終わってしまうことが多いので、その辺の男女の機微までしっかり表現しているところが女性作家らしいなと思うところでした(※あっさり終わるより、じっくり心理描写される方がエロい!(笑))。


【オタクに優しいギャルは実在するのか!?】
さて、海夢は、いわゆる18禁のエロゲーである『聖♡ヌルヌル女学園~お嬢様は恥辱倶楽部ハレンチミラクルライフ2~』に登場するキャラの「雫たん」のファンで、そのコスプレをしようとしたことが新菜との出会いのきっかけ。

もっとも、本作では、そんなエロゲーにも寛容なオタクにとって夢のような優しいギャルは実在するのか?というのが1つの問題に(笑)
(※ラブホ回の第11話で「テレビの声」として出演している声優のたみやすともえさんは、エロゲー好きを公言しています(※Wikipediaたみやすともえ参照))

賛否あるところですが、1つ思ったことは、海夢の実在性を確保するために、父子家庭という家族構成は説得力のある設定だったんじゃないでしょうか。
例えば、海夢の明け透けなところなんかは、幼い頃から女性としての振る舞いを教えてくれる人が身近にいなかったことや、異性との距離が近いので父親との良好な関係も想像できます。あと、自己肯定感が強くてマイペースなところは、一人っ子っぽい。


また、今回観直して気づいたんですが、第7話で海夢がオムライスを作って卵で包むのに失敗するシーン。新菜はすぐに見た目じゃなくて味を褒めるんですよ。見た目じゃなくて味重視。それを自然にやる。

本作で扱っているコスプレは究極の見た目重視。アニメの2次元キャラに、人体の方を少々「改造」してでも、3次元でどこまで寄せることができるかに正に「身を削っている」といっても過言じゃない世界。

でも、コスプレは「ごっこ遊び」の上位互換というか、見た目は、あくまでスーパーヒーローなり魔法少女になりきるための手段であって目的じゃない。本作からは、あくまでコスプレはキャラクターに対する愛情表現の1つというスタンスが感じられる。

また、これが海夢と新菜との恋愛関係も、見た目じゃなく中身重視という説得力にもなっていると思うんです。

人間、見た目は重要ですが、それだけで判断しちゃいけません。


【好きなことを好きという勇気】
そして、今回観直して思ったことは、実は新菜も海夢並みにレアキャラなんじゃないかということ。

まず、「ひな人形の頭師」を目指している高校生。そして、普段着が作務衣と甚平…こっちも実在が結構危うい(笑)でも、新菜は海夢より現実味があるように感じる。

その一つの要因じゃないかと思ったことは、「好きなことを好きという勇気」への共感なのかなと。
新菜は、小さい頃に「男の子がひな人形好きとかキモイ」って女の子に面と向かって言われちゃう(そりゃ軽くトラウマなるわ(笑))。

アニオタも「いい大人がアニメ好きとかキモイ」って言われてきました(笑)
最近は、大人向けの深夜アニメも増えて、そうでもなくなってきましたが、アニオタも好きなことを好きと周囲にいうことに勇気が必要だった。

そこに新菜への「強いシンパシー」を感じるから、「わかる、その気持ちわかる!」だと思うんですよね(※あくまで個人の見解です(笑))。


あと、個人的には、じいちゃん(CV.斧アツシ)が好きなんですよね。
「将来いい人形を作りてぇなら、人形だけを見てちゃだめだぞ。色んなモン見とけ。いつか必ず身になるから。」他の職業にも通じるいいセリフ。

投稿 : 2025/02/02
閲覧 : 193
サンキュー:

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