「たまこまーけっと(TVアニメ動画)」

総合得点
84.4
感想・評価
2625
棚に入れた
12348
ランキング
287
★★★★☆ 3.8 (2625)
物語
3.5
作画
4.1
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.8

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ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ストーリーを第一に考えるのではなく、キャラを第一に考えている。

けいおん!の山田尚子監督による京都アニメーションオリジナル作品。うさぎ山商店街を舞台に、もち屋の娘であるたまこが家族や商店街の人々、学校の友達、そして突然出会った喋る不思議な鳥デラと織り成す日常を描いた話。

最終回まで視聴

最終回を観て、まず感じたのは、作りたいものを楽しんで作ったんだなという印象。それは本来プロとしては若干疑問符のつく方針だが、実績は充分残したのだし、今作も制作陣の自己満足という乱暴な一言で片付けてしまって良い作品かと聞かれると、全然そんな事はない。今ではすっかりイメージ出来なくなってしまった、ご近所さんとの付き合いを作品のカラーに組み込んできたのは、深夜帯のアニメとしてはやや冒険だったと思うが、そこは魅力溢れるキャラで充分に賄っていた。私はストーリーを評価の絶対的な基準に入れているが、このアニメに至ってはそれは当てはまらないのかもしれない、やがて思うようになった。そういう意味では私の中では規格外の作品だ。

元々けいおん!の頃からひしひしと感じてはいた事ではあるが、山田尚子はやはり魅力あるキャラを作るという部分にかけては素晴らしい仕事が出来るアニメーターという事を再認識した。これがストーリーで魅せるアニメであれば、彼女の良さはまったく活きなかったんじゃないかと、まず第一にキャラの魅力!次にキャラに合った世界観!という具合に、キャラありきでアニメを創造していくのだろう。私は基本的にアニメはストーリーありきだと考えている人間だが、山田尚子監督作品を見ると、その考えは間違っているんじゃないかと思う程、キャラの魅力に圧倒されてしまう。今までは原作付が主だったから、そのおかげで助かっていた部分はあるかもしれない。しかし今回は完全なオリジナルだ。そのオリジナルでここまで完成度の高い作品を突きつけられるとぐうの音も出ない。

山田尚子監督はたまこまーけっとについて、インタビューでこんな事を言っていた。

『見てくださる方が、見終わったときに「なんだか楽しかったなぁ」と思っていただけるようなアニメにできればと思っていました。 ですので、キャラクターデザインや画面の色味をできるだけポップに、おもちゃ箱がひっくりかえったような感覚というのを大事にしました。』

ここで言及している『なんだか楽しかったなぁ』という感覚はけいおん!にも通じる。ぶっちゃけて言えば、けいおん!も何処が面白いのか?と聞かれれば、具体的に言葉にして説明できる人はほとんどいないのではないだろうか。でも楽しいことは事実なのである。何処が面白いのか具体的に説明できるわけじゃないけど、何か面白かった。一見説明放棄・投槍にも見える賛辞だが、これ以上ない褒め言葉とも感じるのは私だけだろうか。最近のアニメに対する視聴者の舌は肥えまくっているといっても過言ではない。私もその1人だと思う。面白いアニメの基準は年々僅かながらハードルを無意識的に上げている、そして何処が勝因で何処が敗因だったのか。その分析が正しいか正しくないかはともかくとして、そういう事をしてしまう。けれども、この作品に至ってはそういう事が出来ない、分析できない、させてくれない作品だが、『何か面白い』のである。まあそこそこ楽しいですよ~とか前回のレビューで書いておきながら、いざ最終回を迎えるとなった時、私は胸に一抹の寂しさを覚えた。その瞬間、この作品を私はやはり楽しんでいたんだという実感を得る事が出来た。

昔、私が子供だった時はやることなすこと、何もかもが楽しかった記憶がある。それが大人になるに連れて、段々そういう生き方が出来なくなってしまった。そういった誰もが年を重ねるに連れて、忘れていく感覚をアニメを通して思い出させてくれた様に思う。最後まで『らしさ』を貫いた最終回の展開も非常に良かった。こういうアニメをもっともっと大事にしていきたいものだ。凄く面白かった!(2013.03.29)

京アニのオリジナル作品というと、一般的にはあんまり評判良くないという印象が強くて、例に漏れず私もそう思ってた人間なんですが、山田尚子監督なんで期待もそれなりに持ってはいました。現在10話まで視聴しておりますが、現時点の評価としてはそこそこ楽しめております。期待通りかと聞かれると、最終回次第になりそうなんですが。

深夜向きのテーマではないという意見も聞きますが、私としては深夜向きというよりも、曜日の関係では作品の評価もまた違ってくるのではないかと思っています。例えば私の地域ではこのアニメは水曜日なんですよ。他の地域も調べたら水曜日が多いときた。んで、ふと思ったのが、これ休みの前の日の夜にダラダラ見ると、結構面白いんじゃないかなあと思うんですよ。

それを踏まえて、アニメとは全然関係ない話に移りますが、金曜日のドラマを私今楽しみにしています。『まほろ駅前番外地』と『ミエリーノ柏木』の2作品は、話自体は対して面白いわけでもないんです。ただ全体的に作品内で漂うgdgd感といいますか、雰囲気的にダラーンとしている空気が、週末の夜の心地良い倦怠感とマッチしているというか、恐らくこの2作品は他の曜日にやられても、気分的に乗り気がしないと思うし、それに伴い見方もまた変わってくる。現在のように価値観が多様化して、視聴者のウケ所が昔以上に千差万別している中、そうした部分まで考慮して、作品を作っていくと思わぬ流れを生み出すかもしれないなあと、この2作品をリアルタイムで鑑賞しては私はそう思っています。まあ意図して作ったかどうかは真相は分かりませぬが。

何かこの作品いまいちなんだよなあ・・・と思う人は思いきって録画して、休みの前の日の夜にダメ人間になりながら、頭からっぽで見ると作品への見方が変わるのではないでしょうか?
視聴者にそこまで気を遣わせて、初めて評価できるアニメなんて、それはそれでどうかとも思いますがw

私としては、この作品は今のギスギスした世の中にあって、住人も世界もなにもかも暖かな雰囲気に彩られた所はけいおん!とも通じる部分があってコンセプトとしては悪くないのではと思ったりもしていますので、そういう意味では評価は高いですね。まだ放映途中なので、作品の内容を含めたレビューとしては放映終了後に行いますが、良くも悪くも私としてはこの作品が良かったかどうかは、最終回次第になるというラインですよ~という事を最後に付け加えておきます。(2013.03.19)

投稿 : 2013/03/29
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サンキュー:

42

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