「機甲界ガリアン(TVアニメ動画)」

総合得点
66.5
感想・評価
27
棚に入れた
132
ランキング
2766
★★★★☆ 3.7 (27)
物語
3.8
作画
3.6
声優
3.6
音楽
3.8
キャラ
3.7

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ネタバレ

sinsin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

オカルトUFO設定最高。

【良い点】期待を膨らませる伏線の使い方。オカルト。高橋監督らしい丁寧な演出。

【悪い点】キャラ崩れ。キャラクターの造形。キャラクターの表情(中村プロ回はまあ、良かった)

【総合評価】この作品は、大雑把なキャラ造形やキャラクターの表情は安定していないのだが、なんとも言い表せない魅力が確かにある。
そして誰にでも薦められる魅力を持った作品だと思う。

この物語は惑星アーストと呼ばれる中世的ファンタジー世界と、発掘されるロボットが混在する非常に不思議な世界観である。
さらにそこに、未来人とでも言うべきか上部世界クレセント銀河にある惑星ランプレートを設定しておりファンタジーとしてもとても奥が深いと思う。
この、高度な文明を持った異人たちが中世のアーストに対して、異文明に対しての非干渉原則とゆう掟がある。
そんな中でもヒルムカ(ランプレート人、謎の女)はその異文明非干渉原則の中で苦悩する。
ファンタジーの世界に厚みを持たせる為においてもその他オカルト未来人上部世界を創出した設定は秀逸であると感じる。
アーストの描写においても、二足歩行のダチョウのような人間が搭乗する為の生物や巨大な移動要塞(巨大車両)などで異世界感を演出している。
この時代においては、とても先進的だったであろうと思う。

機甲界ガリアンの兵器体系。
石弓、投石器、剣などの原始的兵器<ガリアンなど搭乗型ロボット(機甲兵)メカニック的近代兵器<UFO(光る船)攻城塔(重力制御要塞)未知の力によって動くオカルト兵器。
このガリアンという作品は弓矢など原始的道具から、UFOなど未知の力によって動かされるものが一度に楽しめてしまう。
面白いと思ったのはロボットアニメにありがちなロボット最強設定じゃなく、ロボットよりもさらに強い存在として「光る船」UFOを設定しているところである。その光る船も跳空間転移基(良く解らんがとにかく凄いオカルト兵器)に対しては無力というところも面白い。
そう、ガリアンの世界においてはロボットが最強じゃないのだ。ロボットもガリアンの世界を構成する一部でしかない。UFOが、主人公ジョジョの乗ったガリアンと戦った描写はないが、おそらくUFOには絶対に勝てないと思う。そのくらい明白なUFO最強描写だったと思う。
そのことによって必然的に人間のできる事の限界とゆうか、絶対的な未知の力に対しては人間は無力であるとゆうことを暗に示しているのかもしれない。
その謙虚な姿勢がいい。我々が無限ではなく、有限であるとゆうことを思い起こすきっかけになればと思う。このガリアンが。

機甲界ガリアンの世界観。
マーダル(大ボス)=変化。
対比。バランス=ジョジョ。
高度文明連合(オカルト未来人観察者)=変化しない。
マーダル曰く高度文明連合は「生きていても、死んでいるのも同じ」だそうだ。そして「生」を謳歌する為に自身惑星ランプレートからアーストに降りてきた。
それは、マーダルにとっての理想の実現の為である。
この問題は、奥が深いと思う。ランプレート人は何年たっても変化しない。ずっと同じ文明体系を何千年も続けるだけだからだ。ランプレートでは戦争など絶対に起きない。
ランプレート人たちは、自分の考えを持たないように描写されていた。殺されようとしているのに抵抗しようとしないばかりか、逃げようともしない。活力を感じない。
コレでは生命の多様性という観点から見た場合、「来るべき問題事象」に対して画一的な考えしか持たず。考えられる対応策が減っていき総体としての生命力の低下になって行くと思う。想像力のない世界では世界が衰退すると思われる。それら変化しない世界は、退化と呼べるのではないかとも思える。
高度文明連合は、勿論科学力を維持する為にあると思うのだが。
総体として、多様性はなくなっていき破局に対して弱くなってゆく事は言えると思う。
実際、マーダルに対して高度文明連合の対応策は後手にまわっていた。

マーダルは現状に満足せず、ランプレートを逃げ出した。
そして、マーダルに対してジョジョはあくまでもアーストの「平和」を願っていた。
ジョジョは最後には、アーストの平和を願いアーストに帰還したようだ。
このことからも作中ではある程度の変化も必要だが、自らの置かれている世界にも満足する事も必要だと言っているようだ。
「大切なのは、あくまでも自分の世界を守りつつも変化してゆく事で世界に対して自己が確立できない場所からは解放されるべき」というのがテーマだと感じた。

ガリアンの作画。
毎回毎回動キャラクターがよく動く。それでこんな仕事量どうゆうふうに消化してるのかと思ってスタッフロールを見て見た。
そうしたら、全部塩山紀夫さんという人がクレジットされている。コレで毎回毎回、力技とゆうか力感ある独特の動画が楽しめるのだと思う。
はっきり言って、キャラクターはかなり崩れていると思うのだが、総体として力感、迫力を感じてしまう。
どちらかというとこの塩山紀夫さん、キャラクターの表情とかじゃなくて動いた時の表現力を感じる。
ガリアンは特によく動いているので総作画枚数の都合で、作監修正の都合もあり全てに修正を加えることは難しいと思うのだが。
全話作画監督、作画チーフ勤めていて今まで見た全話独特の力感ある作画が楽しめる。
このガリアンの作画チーフ塩山紀夫さん。どうもこの人アニメの作画は、人それぞれだから違って当たり前とゆう考えを思っていたように感じる。
そして、大事な場面と力を抜いていい場面。重量感が必要な場面に適した作画の崩しかたしてると思う。

まとめ。
キャラクターの造形は、決して良くない。キャラが崩れてる。声優酷すぎるのは慢性的。キャラも演技とゆうか表現になってるか疑問。絵コンテも平凡な感じ。
84年制作のTVアニメーションに高いクオリティを求めるのは酷だと思うが。
ウーン、でもガリアンがとても面白い。
期待を膨らませる伏線の数々。次々に明らかになってゆく世界観。平凡だが解りやすいカメラワーク。よく動く動画はタップ割り感がしない。具体性のある動きでアニメーション的面白さがある。
あと、枚数を出来るだけ減らしながらも、必要最小限でよく動かしている。
全体的に高橋監督、多くのアニメーター達の職人芸を見てしまった。多少ご都合主義なところも目立っているが、演出という観点から見れば非常に秀逸な作品であると思う。とくに次回に想像力を膨らませる伏線の使い方が非常に巧いと感じた。

投稿 : 2013/08/05
閲覧 : 518
サンキュー:

8

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