「雲のむこう、約束の場所(アニメ映画)」

総合得点
71.7
感想・評価
846
棚に入れた
4687
ランキング
1248
★★★★☆ 3.7 (846)
物語
3.6
作画
4.1
声優
3.4
音楽
3.7
キャラ
3.5

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ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 2.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

比喩と映像で魅せる「新海節」

新海誠監督作品です。
ジャンルはSF・恋愛・セカイ系です。
「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」を見て、他の作品も気になったので視聴してみました。


北海道は「ユニオン」なるものに占領され、名称を蝦夷に変えていた。
「ユニオン」は謎の塔を創り、その存在は「ユニオン」とアメリカの緊張を高めていた。
青森に住む中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は二人で飛行機を組み上げその塔へと飛ぶことを夢見ていた。
また、それを偶然知った沢渡佐由理も一緒に乗せて塔まで連れて行くことを約束した。


作画に関しては当時の水準で考えるととんでもないほど綺麗です。
実写チックではないですが、色使いに味があり、一目見れば息をのむこと間違いなしです。
BGMの使い方もやはりお上手。
ここぞという場面ではやはり説得力のあるものを流してきます。
音楽担当は天門ですが、efシリーズが大好きな私にはなかなかツボでした。

正直、SF要素が入っているとは視聴前に微塵も思っていませんでしたが、結構小難しい単語が並びます。
基本的に何言っているかわからない場合はざっくりと「平行世界とナルコレプシーが繋がっている」とだけ押さえておけば問題はないでしょう。
SF好きならば聞きなれている単語ばかりなのですんなり入り込めるはず。
と言っても、SF要素はあくまでおまけということを忘れずに。
重要なのは浩紀・拓也と佐由理の恋の話です。


この作品はなかなか良い作品だとは思うのですが、結構気になってしまう点も多いです。
・カットの割り方(不自然に切っているように見える)
・拓也の心情描写(浩紀に比べると弱い)
・ポエム、青臭さ(これは新海作品特有なのでしょう)
・声優の滑舌(音響の大きさも相まって聞きづらい)
といったところです。
しかし、それを消すぐらい比喩の使い方や、浩紀と佐由理の心情描写は良いです。


約束の象徴としての「ユニオンの塔」。
浩紀は{netabare}それを意図的に避けて忘れようとしています。{/netabare}
拓也は{netabare}それを壊してすべてを終わらせようとしています。{/netabare}
「ユニオンの塔」はどうでもいいようなシーンに何度もカットインしています。
意図的に佐由理の存在が二人の心に残っていることを表しているのでしょう。

浩紀と佐由理は{netabare}夢の中で接触します。{/netabare}
この描写をしつこく出すことで、彼と彼女のお互いを思う気持ちが強く伝わってきます。
また、短所にもとれるポエムが二人の心情を表すのに効果的に働いています。

ラストシーンで{netabare}佐由理が浩紀を好きだった気持ちを忘れてしまったのは切なさ全開です。
目覚めの兆しと喪失の兆しという伏線がありました。
監督さんは突き放すのが好きなのかなw{/netabare}
ラストシーンの後二人はどうなったのでしょう?
前半のシーンで{netabare}墓が映っていたので、佐由理は…、なのでしょうか?{/netabare}
そこらへんははっきりしないのですっきりはしないですが、後味はそこまで悪くはないですね。


総括して、SF要素があまり邪魔をせず、恋愛主軸の話にマッチしていました。
セカイ系なので細かいところを突っ込むのはナシです。
話自体は至極単純なのでわかりやすいはず。

投稿 : 2014/05/05
閲覧 : 598
サンキュー:

43

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