こたろう さんの感想・評価

4.0
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態：観終わった

ソースは俺。

また長々としたタイトルのラノベで、ラブコメだの言ってるんで、よくある萌えハーレムかよ！と、思ってましたが、第一印象から想像していたものとはだいぶ違っていました。
ラブコメであることに違いはないんでしょうが、普通の好青年な主人公モテまくるお気楽な内容ではなく、非常に達観して穿ったものの見方をする主人公が、色々な連中を冷静に客観視しながら、それでも青春っぽい流れに巻き込まれていく・・・そんな感じのお話です。


近年のラノベ原作ラブコメにしては非常に落ち着いたカラーです。
キャラデザインも、萌えを意識しているというより、頭身が高くスラッとした印象で、男子向け女子向けどちらとにもウケる絵柄になっているのが好印象。
主人公もヒロイン（の一人）も、他人と関わる事から距離をおいており、典型的な表面上のコミュニケーションに対して一言も二言も持っています。
冷静で淡々としたこの２人が会話がとても絶妙。
社交辞令というものが一切ない２人の言葉は、トゲだらけではあるものの気負いや嫌味ながく（悪意はあるかもしれませんが）、直球で相手に刺さる鋭さがなんとも小気味いい。
ライトノベルといえど、さすがは活字媒体が原作。
会話の語彙が非常に豊富で、それぞれのキャラに合ったウィットさが入り交じった言葉の駆け引きがとても良くできており、主人公の脳内独白を聞いているだけでも随分と楽しめます。
エピソードの展開のさせ方も、決して派手さはなく、それ故にフィクションでありながらやけに現実感があります。


妹や腐女子、オタク、男の娘など、ベタなキャラクターは登場しますが、主役の３人や他のクラスメートが無理に創っていない落ち着いたキャラなので、ドタバタにはならないお話。
それでいて、主人公の「斜め下から」の発想で問題がサラッと解決していくのが本作の地味ないいところ。
物語っぽい派手なベストエンドではなく、出来ることの範囲でのよりベターな結果へもっていくのが敏腕の見せ場。ヒネクレてはいますが、思慮深く観察眼と応用力のある主人公の頭のキレを楽しむ作品です。

適切な例えかどうかはアレですが、『氷菓』の主人公をもうすこし卑屈で行動力のあるようにした感じ。
お話が現実的でドラマ性が薄いようなところも似ています。


ヒロインは２人。
いわゆるクールビューティと元気で社交的な普通子ちゃん。部活を同じくする３人の微妙な距離感。
ラブコメなので、メインである部活のエピソードのなかに、ほんわかとラブ要素が入っています。基本はイジられ無碍にされながらのスタンスを通しますが、だんだんと主人公に向けられる好意が膨らんでいくのが見て取れてイイ。
洞察力や思考力は高い主人公ですから、色々察して困惑する様がお楽しみ。
過去の苦い経験から学び
「ソースは俺」「ソースは私」
とのたまい、過度な期待はしないように理屈をこねながらも、なんとなく青春している。
そんな空気感が本作のもつ魅力です。

いつものお決まりパターンのラノベ原作にはない、ちょっとテンション低めなラブコメ。キャラクターの魅力が大です。
オススメ！