「有頂天家族(TVアニメ動画)」

総合得点
82.2
感想・評価
1674
棚に入れた
8055
ランキング
367
★★★★☆ 3.9 (1674)
物語
4.0
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

タイトルなし

言うまでもなくこの作品は素晴らしい。
だけども、どうも映像美以外の良さとなると、これといって挙げるものが少ない気がする。
勿論、赤玉先生の偏屈じじぃっぷりや弁天の魔性の女としての魅力、海星の可愛らしさのようなキャラの良さというものはある。
でも、弥三郎に肩透かしを食らったのは僕にとって紛れもない事実。

弥三郎は四兄弟の中で最も化ける力に優れており、同時に、自分の力を使って【面白く生きること】をモットーにしている。
が、そのワリにはこの狸、ぶっちゃけ面白く生きる為に自ら率先してなにかをするということがなかった。強いていえば1話の冒頭で女姿を楽しみ、弁天に矢文を放ったぐらいであり、それ以降、彼がその阿呆っぷりを発揮した場面がないんだ。

2話で金閣銀閣と対峙した際は長男が助け、3話では弁天のもとにお使いに向かい、4話では納涼合戦でそれっぽいことをしたものの、花火を一発放っただけ(弁天に合図を送られるまで応戦する姿勢を見せなかった)、5話では面白いことをしろと強要されて芸を見せたに過ぎず、弥次郎との一件ではこれといって発言せず、偽衛門騒動でもついぞ「これこそが弥三郎の真骨頂か!」と思わせるような場面すらなく……。機転が利くのは確かだけど、あくまでも視聴者を感心させるレベルであって周りのキャラを驚かせたりするほどではない。(基本的に弥三郎が阿呆なことをしでかしてるのはドジが災いしてるだけ)

そればかりか偏屈なじじぃを甲斐甲斐しく世話したり蛙となった情けない兄のことを気遣ったり、弟を迎えに行ったりと、ただの、普通の良いヤツでしかない。
父の化ける力をもっとも色濃く受け継ぎ、なおかつ【本気出してない感】を漂わせていながら、結局のところ化けることはあっても【化かす】ことはせず、本気出してない感はとうとう【本気出さなかった】で終わってしまったのが、非常に悔やまれる。

正直、弥三郎よりも弁天や赤玉、淀川教授や金閣銀閣の方が遥かに阿呆であり、面白かった。
そんな彼らとの日常こそが弥三郎の言う【回る車輪を眺めているのが、どんなことより面白い】ということなのかもしれないけど、なんというか、肩透かしなんだよなぁ……。
周りの連中がしょっちゅう弥三郎のことを阿呆と連呼してるせいでもあるんだけど。
というかこの作品、阿呆って言葉を抽象的に使いすぎてて非常に安っぽい。阿呆って結局、どこら辺がどう阿呆なのか……。

じゃあ終盤の展開が素晴らしかったかというと、そこまで、なんだよなぁ……。このエピソードでなにが面白かったって、家族への罪悪感で井戸に頑なに引きこもっていた弥次郎が、家族が捕まったと知っても抜け出そうとしなかった彼が、お酒を飲んだだけであっさり井戸から飛び出して京都の街中を爆走したところと、淀川さんが開き直って弥三郎の母を庇った場面、それと赤玉先生の癇癪。この三つ。弥三郎関係ねー!
やっぱりここでも機転は利くけど地味であり、基本眺めるだけだったんだ……。「面白きことは善きこと也」も唐突だったし;

無駄にシリアス調にして早雲の悪党っぷりを演出しておいてオチは雲隠れだしなぁ。(そもそも序盤ではさらっと流していた、タヌキ鍋って言葉をシリアスパートでも使用している時点で相当戸惑ったんだけど……。それなら序盤の頃は「タヌキ鍋」って言葉を家族の中だけでも禁句っぽく扱っておいた方がまだ良い)


雰囲気に酔えば確かにこの作品は素晴らしい。でも、中身までもが素晴らしいかと問われると、即答するにはなにかが引っかかる。
逆に言えば、これだけ不満がありながらも結局、終始「面白いなぁ……」としみじみ思いながら観ていた時点でこの作品を作ったスタッフの技量に関しては疑う余地はないのだけど。

投稿 : 2015/07/24
閲覧 : 176

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