「うさぎドロップ(TVアニメ動画)」

総合得点
89.5
感想・評価
3854
棚に入れた
17553
ランキング
76
★★★★☆ 4.0 (3854)
物語
4.2
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.7
キャラ
4.1

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

金木犀のように咲き香る、日々

アクセントとして出て来る、金木犀の樹。
今がちょうど、咲きほこる頃。金木犀の香りは、秋を教えてくれるね。コーヒーが冷めやすくなったり、外で運動するのが気持ちよくなったり、人恋しくなったり…?する季節。


子供が育つ中で、子供が親を親に育ててくれる、そう、私も実感する。
ダイキチは順応性が高く、すくすくと「親」に育って、優秀だな!
子供主体に仕事への取り組み方も変えるって、働く男の人はなかなか真似できない。

りんちゃんのお母さん。
子供か、仕事や自分の時間か…どっちか極端な二択になってしまうのは悲しいけれど、昔から子捨ては世の中にありうるといえばありうるのだろうか。
アニメでもドラマでも、こういうのを見るのが、グロ物よりちょっとつらい。
こうはなりたくない、とか一歩間違えば自分だってなるかもしれない、と思うとモヤモヤする。
りんちゃん母・マサコさんも、反対向きに一歩なんとかなれば、面白い子育て漫画を描けたのかも、しれない。


{netabare} 以前子供と電車に乗ってたら、おばあさんに話しかけられた。
「私にも昔、子どもがあったのだけど、その子くらいの歳の時に、残して家を出たの。そう遠くない場所に生きてるけど、もう、会えないねぇ。今はもう、大きくなって…。」穏やかな語り口がいっそう寂しくて、この人が未来から来た自分だったらどうしよう、とか妙な事を思った。 {/netabare}


こうはならないように、という反面教師な見方、物語の味わい方としてはどうなんだろう…と、やはりモヤモヤしながら、
しかしりんちゃん&ダイキチのほがらか〜な日常生活の積み重ねにホッとして見ていた。

でも、「捨てた」という強烈な部分は見ないで、りんちゃんの言動のみを注目して見ていると、
「朝ごはんにおかしたべても、いいの?!」
食生活はきちんとさせてたってことかな。痩せたり汚かったりしたわけでもないし…お友達ともきちんと面倒見よく付き合えるし。
嘘ついたりしない。

少なくとも0〜6歳の子育ての初っ端の大混乱期は、マサコさんがともに乗り越えたワケだ。
「7歳までは夢のなか」というくらい、7歳までは自分の身近な世界に守られて夢見ながら、心身を育むべき、大切な混沌とした時期。
そこの根っこを大事にしてもらったから、りんちゃんはいい子なんだと思う。

{netabare} 母としての自信がない、マサコさん。彼女のお母さんが、完璧過ぎたのか、存在しないに等しかったのか、わからないけれど。
(子供っぽく他者に共感しづらい、表情の乏しい様子、独自のこだわりの強い様子から、ひょっとして、軽度の障害の可能性も、ある…?しかしまぁ、これもわからない。)
プリン食べまくってたのも、キチンとお母さんしなきゃと抑えて頑張りすぎた反動かな…と。
りんちゃんの中でいつも怒ってるイメージなのも、キチンとし過ぎてたせいでは…。 {/netabare}

マサコさんが「お母さんで居られる世界」を支えてくれていたのは、亡くなったおじいちゃんただ一点だったのだろう。その、ただ一点が失われてしまった。
人の支点は、子育てする人は(ポリシーに合わなくても)たくさんあったほうがいいんだろう、と思う。

いとこのハルコさんが、家出の時ダイキチの家へ身を寄せたように。
情けなくても、さらけ出して頼れるところがあったほうがいい。
ハルコさん、同居してるなら、家出の数回くらいはドンドンした方が、毒が出て、家族の形が馴染んでくるってもんだよ。いや、真剣に。

ダイキチとりんちゃんのまわりには、子育ての支点がたくさんあって、見ている人も安心だよね。
ダイキチ父母、ハルコさんち、お友達のコウキ君のシングルマザー、仕事場のママさん、同級生のパパ友。他、味方かはわからない仕事場や親戚の人もみんな、ダイキチの状況を知っている。知られているって、面倒もあるけど大事なこと。
何が役立つかわからない。

若い頃コンプレックスで要らないと思っていたような物事が、不思議に子育てで役立つ事がある。今、コレが活きるのか!という妙。
ダイキチもきっと、新しいようでいて知っている自分が、心地いいんだと思う。
「そういえば、こんなこと親にしてもらったっけ、こんなことが嬉しかったっけ」ってりんちゃんにしてあげている。


帰ってきた家に灯りがついていて、二人ではっと・ホッとする。
いとこちゃんちの娘が、家に近づく車の音を聞き分けて、「お父さんだ!」と気づく。
そうなんだよねー、なんだかねーいつの間にかねー…という
日々の積み重ねが生み、育む、愛着の数々が、金木犀の花のようにこぼれて、キラキラ香しい。

投稿 : 2013/10/09
閲覧 : 399

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