「有頂天家族(TVアニメ動画)」

総合得点
82.2
感想・評価
1674
棚に入れた
8055
ランキング
367
★★★★☆ 3.9 (1674)
物語
4.0
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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こたろう さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

阿呆の血のしからしむるところ

小説原作。
作者は四畳半神話大系の森見登美彦氏。
京都を舞台に平安の時代より続く、人間、天狗、狸、の奇妙な棲み分けができている設定。そこで暮らす者たちの悲喜交々を描いた作品です。
主人公は狸社会の名家、天狗すらもバカした偉大な大狸の三男坊。
牧歌的に面白おかしく生きることを信条とし、父から阿呆の血を色濃く受け継いだ主人公を中心に、家族、親類、師匠に友人・・・それぞれが絡み合う人間ドラマになっています。
まぁ、人間じゃなく狸なんですけどね(^_^;


京の町には、そこかしこに人ならざる存在がいて、その者達は普通の人間に化けて社会に溶け込んで生活している。
ジブリの映画にそういうのがありましたが、本作の方が独特。
あたかも、古都に伝わる昔からの風習のようにそれが成されている・・・といった雰囲気を醸しています。
あくもでも現代の話なんですが、大道具・小道具が少し古めかしくて(酒とか銭湯とか家屋とか)非常に味のある作風。
飄々と遊んでいるように見える主人公も見た目は現代の若者ですが、性質的には一時代前の書生風の物言いや行動。なので、京都という場所とノスタルジックな空気がものすごく合います。
古いものと新しいものが共存してる事に違和感がない作風は、この設定が大きく寄与していて素敵でした。


ストーリーは、作品タイトルに「家族」とついてるとうり家族の物語が中心です。
序盤はキャラ紹介というか、色々なキャラが登場してはその立ち位置や性格などを視聴者に理解させるための流れ。主人公の矢三郎の視点で、京都のあちこちをうろつき回って 世間話をしたり頼まれ事をしたり。
ゆるやかで平和的な雰囲気のなかで、キャラ同士の情緒ある会話でそれが自然に頭の中に入ってくるのは秀逸なところ。
要所要所で矢三郎の独白が入り、ゆったりとした語り口調で行われる解説は非常に耳に心地よく、小説原作の良さが存分に活きています。

物語が動き出すのは中盤から。
狸鍋にされて人間に食われた亡き父。その父がいかにしてそうなったのか、真相が明らかになるとともに、弥三郎と家族を巻き込んだ新たな騒動に発展していきます。
クサい表現しか思い浮かびませんが、やっぱり「家族愛」を実感する内容。
父からそれぞれの特性を受け継いだ4兄弟と母、みんなお互いを必要とし支え合っていますが、必要以上にドラマチックにはしていない。そういうところが非常に気が利いています。
あたりまえのようにそばにいて、多くを語らずとも理解している。
そんな関係を、日々の生活と日常会話で感じ取らせてくれる表現力は、他の作品よりは一歩も二歩も抜きん出ています。
もちろん作画や演出の功績も大きいですが、やばりこのへんは原作小説の素地があってこそなのでしょうね。


総括すると、序盤・中盤・終盤で段々と盛り上がり、伏線もちゃんと活きている非常にバランスの取れた流れで飽きさせることのないストーリー。
キャラを魅せる事にも手を掛けてあり、感情移入もしやすい良質な作品となっています。
少々しつこいぐらい御当地プッシュされていますが、作品カラーには合っているので、それ程邪魔には感じません。
背景作画はさすがP.A.Worksの仕事、抜かりなく美麗でした。

作品テーマもわかりやすく、コミカルさもあって非常に幅広い視聴層にオススメできます。

面白きことは良きことなり、ですね^^

投稿 : 2013/12/17
閲覧 : 414
サンキュー:

40

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