「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(TVアニメ動画)」

総合得点
89.3
感想・評価
6798
棚に入れた
30622
ランキング
83
★★★★☆ 4.0 (6798)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.3

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ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

続編次第では学園ラブコメ最高傑作になり得る作品

『俺ガイル』は2013年の初視聴時は、大して期待もせずダラダラと流し見をしていた作品ですが、回が進むほどにその骨太でシリアスな心理劇に引き込まれていき、特に最終回(第12話)のエピソードには大きな感銘を受けました。

私は、自分が思いがけず感動してしまった作品は2周でも3周でもして、自分がその作品のどんなところに心を揺り動かされたのかをなるべく究明しようとするのが常ですが、この作品の場合は、

①アニメのあちこちに撒き散らされた回収されないままの伏線が多く、かつ
②2013年当時はラノベ原作もまだまだ続編が作れる程のストックが貯まっていない状態と聞いており
③数年後に来るであろうアニメ2期の結末を見ないことには全体評価が出来ない

と考えて、気になりつつも、そのまま最近まで放置していました。
今回、2015年春期に本作の待望の2期が放送されると聞いて、再視聴してみました。


◆制作情報
{netabare}
原作ラノベ      渡航(小学館『ガガガ文庫』2011年3月-未完)
監督         吉村愛
シリーズ構成     菅正太郎
脚本         菅正太郎、堂田待子、高山カツヒコ、渡航
キャラクターデザイン ぽんかん⑧(原案)、進藤優
音楽         石濱翔、MONACA
アニメーション制作  ブレインズ・ベース{/netabare}


◆各話タイトル&評価(2周目)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に納得のいかない疑問回

========= やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(2013年4-6月) ========
{netabare}
---------------- 高校2年の1学期 -------------------------------
第1話 こうして彼らのまちがった青春が始まる。 ★★ 奉仕部1◇依頼人=由比ヶ浜(八方美人で優柔不断)
第2話 きっと、誰しも等し並みに悩みを抱えている。 ☆ 奉仕部2◇依頼人=材木座(中ニ病で作家病)
第3話 たまにラブコメの神様はいいことをする。  ★ 奉仕部3◇依頼人=戸塚(テニス対決、比企谷の本気1)
第4話 つまり、彼は友達が少ない。  ★ 奉仕部4◇依頼人=葉山(比企谷と正反対の皆の人気者)
第5話 またしても、彼は元来た道へ引き返す。 ★★ 奉仕部5◇依頼人=妹&川崎弟、事実判明1(由比ヶ浜)
第6話 ようやく彼と彼女の始まりが終わる。  ★ 奉仕部6◇依頼人=平塚先生(由比ヶ浜・雪ノ下との距離1)
---------------- 高校2年の夏休み ------------------------------
第7話 ともあれ、夏休みなのに休めないのは何かおかしい。  ★ 夏休み1◇小学生との林間学校1(状況説明回)
第8話 いずれ彼ら彼女らは真実を知る。  ★★ 夏休み2◇林間学校2(比企谷の本気2)、事実判明2(雪ノ下)
第9話 三度、彼は元来た道へ引き返す。  ★★★ 夏休み3◇夏祭り(由比ヶ浜・雪ノ下との距離2)
----------------- 高校2年の2学期 ------------------------------
第10話 依然として彼らの距離は変わらずに、祭りはもうすぐカーニバる。 ★★ 文化祭1◇状況説明回
第11話 そして、それぞれの舞台の幕が上がり、祭りは最高にフェスティバっている。 ★★ 文化祭2◇少女達の意思表示(由比ヶ浜・雪ノ下との距離3)
第12話 それでも彼と彼女と彼女の青春はまちがい続ける。  ★★ 文化祭3◇比企谷の本気3、第1話とのリフレイン
番外編 だから、彼らの祭りは終わらない。 ☆ 体育祭(全くのコメディ回){/netabare}
----------------- 1期完 ----------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)6、★(良回)4、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.5


じっくり再視聴した結果として、上記のとおり本作を、☆(並の出来)の回が第2話と番外編だけで、他の11話は例外なく★付き(高評価)という、1クール作品としては他に『魔法少女まどか☆マギカ』『ガールズ&パンツァー』『響け!ユーフォニアム』くらいしか思い浮かばないほど濃密で飽きのこない内容をもった良作と評価したいと思います。

魔法その他の特殊能力が全く介在しない一般の高校生男女の学園生活を題材とした「学園ラブコメ(青春ラブコメ)」ジャンルの作品としては、私はこれまでに『氷菓』に総合4.9、『とらドラ!』に総合4.6という高評価を付けていますが、本作については、これから放送される2期の出来次第では、この2作を上回る高評価をつけることに吝(やぶさ)かではありません。


◆嫉妬と、自己嫌悪と、恋の慄(おののき)と - 第2期へ向けての伏線(まとめ)

※原作ラノベ未読のため全く見当外れかも知れません。

(1)まず由比ヶ浜結衣さん(八方美人)から。
{netabare}
陽乃「そう、それなら良かった。みんな最初はそう言ってくれるんだよ。でも、最後はみんな雪乃ちゃんに嫉妬して、拒絶する。貴方は、違うといいな。」
結衣「・・・そんなこと、しないです。」
(第9話)
{/netabare}

ああ、もうこれって完全にフラグだよね・・・(ノД`)・゜・。
そうか、第2期で{netabare}結衣さんは雪乃に嫉妬して拒絶しちゃうのか。
第1期の第6話(ショッピングアーケードで結衣が八幡と雪乃に鉢合わせする回)で、既に結衣さんは「空気読むのだけが私の取り柄なのに・・・全然叶わない」ってポロっとこぼしてるし、もう負けヒロイン一直線{/netabare}って、そんなことは最初から分かっていたことなのですが、やはり少し辛いかも・・・

(2)それから比企谷八幡君(ヒッキー、ハイ・スペックぼっち)。
{netabare}
「俺は自分が好きだ。今まで自分のことを嫌いだと思ったことなんてない。高い基本スペックも、中途半端にいい顔も、ペシミステックで現実的な思考も、全くもって嫌いじゃない。だが、初めて自分を嫌いになりそうだ。俺が見てきた雪ノ下雪乃、常に美しく、嘘を吐かず、誠実で、寄る辺がなくともその足で立ち続ける、そんな雪ノ下雪乃に、きっと俺は憧れていたのだ。勝手に期待して、勝手に理想を押し付けて、勝手に理解した気になって、そして勝手に失望する。何度も何度も戒めたのに、それでも結局直っていない。雪ノ下雪乃ですら嘘を吐く、そんな当たり前のことを許容できない自分が、俺は、嫌いだ。」
(第9話)
{/netabare}

比企谷君は「友達も恋人もいない『ぼっち』だ」と本作中で繰り返し強調されているにも拘わらず、実際には
{netabare}
①結衣さんの好意を何度も自分から断ったりはぐらかしており(本人曰く「フラグを折る」)、なおかつ、
②雪乃さんには「俺と(友達になってくれ)」という申込みを繰り返し行っている、
{/netabare}
という『ぼっち』らしからぬ贅沢なこだわりを持った男(悪い言い方をすれば「相手を選り好みする男」)として描かれています。
そんな自己中な彼が陥る先は、きっと深刻な「自己嫌悪」なのでしょう。
結衣さんを泣かせるお前のような奴はとことん自己嫌悪に苦しめ!!!!(怒)

(3)そして最後に雪ノ下雪乃さん(氷の女王)。
{netabare}
陽の満ちるこの部屋
そっとトキを待つよ
気づけば俯瞰で眺めてる箱
同じ目線は無く
いつしか心は白色不透明
雪に落ちた光も散る

雲からこぼれる冷たい雨
目を晴らすのは遠い春風だけ

アザレアを咲かせて
暖かい庭まで
連れ出して 連れ出して
なんて ね
幸せだけ描いたお伽話なんてない
わかってる わかってる
それでも ね
そこへ行きたいの
(OP『ユキトキ』)
{/netabare}

本作のOP『ユキトキ』の歌詞を確認すれば直ぐに分かることですが、これって主人公と一般に思われている比企谷君の心を謡った内容では{netabare}全然ない{/netabare}よね。
それこそ『魔法少女まどか☆マギカ』のOP『コネクト』が、実は{netabare}鹿目まどかではなく暁美ほむらの歌{/netabare}であったように、『ユキトキ』は{netabare}雪ノ下雪乃の心を詠み上げた歌{/netabare}であるように思えます。
※そもそも『ユキトキ』って「雪解け時」の意味ですね。きっと。

氷の女王の凍てついた心が解けてゆく・・・そのさまを2期では詳しく鑑賞できるのかも知れません。
(※なおアザレアの花言葉は{netabare}「あなたに愛される幸せ」「愛の楽しみ、恋の喜び」{/netabare}だそうです)。

これは期待大です。


*(2018年1月29日) 制作情報等追加

投稿 : 2018/01/29
閲覧 : 863
サンキュー:

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